"BlueLetter"

  
桃子と東雲は原稿を読み終えた。


『猿田さん
時折姿を見せるあの青い文字……
あれが、どうにも曲者ですね』

『ええ、そうね』

『あの青い文字に触れると
物語が遡ったり
見知らぬおじさんが話しかけてきたり……
そうだ、そのおじさんの話には
聞いたことのない英語のような言葉が
たくさん出てきましたが
 言葉の意味はわからなくても
言葉ではないものが直接頭の中に
大量に流れ込んできて
その衝撃的な新しい知識が
親や学校、軍隊によって
刷り込まれてきた価値観と対立を始めて
それがどうにも抜き差しならぬところまで達した刹那
気がつけば鼻血を滴らせておりました

……ですが正気を取り戻したあと
残りの原稿を読む時には
何の違和感もなく
スラスラと読むことが出来ました……

あ、小野先生お帰りなさい


小野ユキが屋上から帰ってきた。


『東雲くん、全部読んだみたいね』

『はい、おかげさまで目が覚めました
おはようございます』

『おはよう
突然ですが
この"平和泉"は売らないことにします
その代わり……』

小野ユキはもう一つの原稿を取り出した。

『これを先に出版してもらいたいの
売れに売れた4作目よ
どうかな桃ちゃん』

『そうか
3作目は売れなかったのね
その時の私は
どのような判断をしたの❓️


『……割とあっさり、出してみましょうか
 みたいな感じだったわ
危険な作品なんて言ってなかったわ
もしかしたら
全然違う物語だったのかも知れない

だって東雲くんとは
もっと後に出会うはずだったし
"平和泉"の記憶だって
新しく創られたものかも知れないわ

……そうだ75年分の記憶を年表にして
"平和泉"の付録にしよう』

『なるほどその年表と実際に起こることを較べて記憶が新しく書き換えられたものかどうか確かめるわけね

…だけどユキちゃん
"平和泉"は売らないんでしょ
なのに付録まで作っちゃうの❓️』


『だってそのまま売り出したら
書店は鼻血の海になっちゃうでしょ』


『……立ち読みした人が
他の本まで買い取らされそうね……


それで、売らないでどうするのよ』


『……配るのよタダでね……


『タダで配って寝かしつけられた人たちを目覚めさせようってわけ❓️』


『そんなことはどうでもいいのよ
もっと大事なこと
75年後の6人の友だちに贈りたいのよ
この6人に
桃ちゃんと東雲くんにも
是非会ってもらいたいのよ』

『75年後もユキちゃんみたいに
若いままでいられるのかな❓️』

『いられるわよ
だから私のわがままに付き合ってよ
いいでしょ…』

『わかったわ、それじゃ、まず
その4作目の原稿を読ませてもらうわ
東雲くん
ユキちゃんと年表作りを始めて』

『御意のままに』



つづく
 

 

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