売らない俳優
『突き当たりを右ね』
二人を乗せたシズカちやんは丘を降りて海岸道路を西へ向かった。
『このクルマ意外と静かね
おシズさんって呼ぼうかしら…』
『どうぞどうぞ
僕はシズカちゃんと呼んでますよ』
『あんた役者やめたの❓️』
『やめたつもりはないんですが断り続けていたらオファーが来なくなっただけです
それより先生はなんで姿を消したんですか❓️』
蔵人は映画の仕事が終わったあと小野ユキを訪ねて何度も自宅や別荘を訪れていたがとうとう今日まで会えずにいたのだった。
『突然こんな姿になっちゃったからよ』
小野ユキは自分が望んだこととはいえ
まさか一夜にして変わってしまうとは
それこそ夢にも思わなかった。
そして誰も彼女だと気づくことができなかった。
『今のあんたやスギちゃんは気づいてくれるけど、都市伝説を自然の法則にしちゃった人たちには都合が悪い存在だったようね姿を消したわけじゃない、消されたの
目の前にいるのに存在を認めてもらえない小野ユキは見える透明人間なのよ
何回も訪ねてきてくれたのに居留守使ってごめんなさいね
スギちゃんとサっちゃんも何度も来てくれたわ
あんたたちにも認めてもらえなかったら
って思うと怖くて会えなかった』
『そうだったんですか』
『ところであんたなんで断り続けたの❓️オファー』
『あの映画のあと主役の話が来たんですよ
だけど内容が気に入らなかった
主役なんだから口出ししてもいいかなと思ってそれをいうと、条件を変えてくるわけですよギャラ上げるとかね
そうじゃなくて内容を変えて欲しいんだっていっても一向に変えようとはしない
「ちょっと売れたからっていい気になるなお前の話題性が欲しいだけなんだよ」
っていうのが伝わってきて嫌んなっちゃって断ったんです
その後もそんなオファーばっかりだったんでもう受けないことにしたんです』
『そうだったの流石クロちゃんね
あ、そこ左に入って』
シズカちゃんはヨットハーバーに入っていった。
つづく





