源平和泉
『行きたいですか❓️』
金色に見える銀色の宇宙人は蔵人の返答も待たず、泉を指差すと蔵人は銀色の弾になって泉に向かって発射された。
虹の柱を中を銀色の弾丸が泉を突き抜けて淵の底に向かって落ちて行った。
泉の周りの五人にとっては一瞬の出来事だったが、蔵人には五人の表情や会話の内容がはっきりとわかった。
『あっ、あの光はなに⁉️』
小野ユキが明るくなった空を仰いで叫んだ。
『落ちてくる‼️』
久蔵の顔は少し強張っていた。
他の四人も緊張の面持ちであった。
上から見守っている意識で世界を見ていた五人は、まだ上の世界があることを思い出した。
銀色の弾丸が音も立てず飛沫も上げず泉に飛び込んだあと光る玉が泡のように浮かんできた。
光る玉の中に文字が入っていた。
"源"
『ゲン❓️ミナモト❓️』
サっちゃんが呟くと玉は文字とともに消えて、次々と玉が浮かんできては消えた。
"平"
『ヘイ❓️タイラ❓️ゲンペイかな❓️』
"和"
『ワ❓️ナゴミ❓️』
"泉"
『セン❓️イズミ❓️出てきた順に並べると』
源平和泉
『なんだろう❓️』
スギちゃんにもわからないようだ。
『この泉の名前かしら❓️』
沙織の言葉が終わると、蔵人の意識は泉の下に向った。
泉に向かって階段を昇っている洋美の内面も手に取るようにわかった。
(なるほど洋美さんは情報を抱え込み過ぎていたんだ、生き埋めのイメージが湧いてきたのも、そのためか。
要らない情報を篩いにかけて落としながら階段を昇ってるんだな。)
蔵人の意識はさらに下に向かって速度を上げて落ちて行った。
落下する感覚が静かに止まった。
そこは銀色の宇宙人がめり込んでいた所だった。
(こんなスピードでめり込むわけないよな。嘘つき宇宙人め。)
蔵人が呟いた刹那、明るくて暖かくて自由な雰囲気が漂い始め、めり込んだ跡は消滅した。
(この感覚は太陽の中心と同じだ。ここは地球の中心か❓️どちらも中心はべらぼうに熱いんじゃなかったっけ❓️……そうだ、ここは物理世界じゃなかったな。
物理の世界でこの説を唱えた人って現場に行って確かめたのかな❓️)
つまらぬこと少し考えたあと、蔵人は身体を前後左右上下にグルグル回して観察した。
夥しい数の色とりどりの小さな光が不規則に配られていた。
配置は不規則だったが大きさは揃っていた。
(あの光は人間か、星みたいに見えるけど太陽から見える惑星とは違う感じだ。どの光も同じ距離に見える。地上のどこにいてもここは真下になるのか。)
蔵人は右側に強い光を感じた。
右を向くと光がクローズアップされた。
浅黒い肌に白い布をまとった人物が、静かに立っている。
視線を正面にもどすと、へその延長線上に、金色の髪を揺らしながら、濃紺の上着を羽織った女性が雑踏の中を歩いている。
真下に視線を移すと、さらにひとつ。
褐色の肌の少年が裸足でボールを蹴り、笑い声が光の粒となって中心に届いていた。
(やっぱり人間だ。あの人たちから俺は見えているのかな❓️
ここは真下だ、見ている人はほとんどいないだろうな。)
蔵人は最後に頭上を見上げた。
階段を昇っている洋美と泉の周りの五人が見えた。
頭上の六人にも蔵人は見えていないようだった。
視線を正面にもどすと白い螺旋階段と反対周りの銀色の線の正体がわかった。
それは透明なチューブで白い螺旋階段の反対側に入り口があった。
つづく
月3000円で毎晩「遠隔ヒーリング」が受けられるオンラインサロンI’m yours, you’re mine




