〇三(卯)式戦闘機は皇国陸戦軍の主力戦闘機。


◆前史
 陸戦軍の次期戦闘機として計画されたものである。

 当時、主要国(民主連邦や二重帝国)の戦闘機は先進的な見た目の単葉機であった。これに対して皇国陸戦軍の主力戦闘機は複葉の〇一(庚)式戦闘機であり、見た目も性能もひとまわり時代遅れであった。そのような状況下、陸戦軍内でも高性能な単葉戦闘機を求める声があがりはじめた。

↑陸戦軍が保有する戦闘機「〇一(庚)式戦闘機」。多数が生産されているが、性能的には平凡なものであった。

 


◆開発
 本機は、ヒ34の仮称で設計が開始された。機体にそのまま翼を生やすのは強度面で問題があるとされ、一体成型の主翼を機体上部に取り付ける「パラソル翼」が採用された。


◆性能・装備
・飛行性能
 前述の通り、強度の問題でパラソル翼機となっている。水平飛行時の安定性に優れるが、小回りが効かない。
 揚力を稼ぐため主翼はかなり大ぶりとなった。その翼を支える支柱が多数設置され、空気抵抗が大きい。
 とはいえ、発動機に強化型を採用したため、一応は高速度を実現し、当初の目標を達成したと言える。
 なお、後続距離は従来の戦闘機より少し長い。離着陸距離はやや短い程度。




・武装
 前方に7.7mm機銃を2丁装備する。これは今までの戦闘機と同様である。

・その他
 下方視界が良い。


◆評価
 速度が少し早いものの、基本性能は従来の複葉機・〇一(庚)式と大して変わらない為、「単葉機が欲しくなった陸軍の自己満足的な飛行機」と評されている。しかし一方で、翼が一枚であるため整備がしやすくなったという現場の声もある。

 量産・配備されている〇一(庚)式戦闘機を置き換えるほど生産されていない。実態としては、同機を主戦力としつつ、並行して要所で運用されている(いわゆるハイ・ロー・ミックス)。
 仮にも皇国陸軍の最新型戦闘機であるため、新聞などに登場することも多い。

↑基地で発進の準備をする本機



◆配備
 首都近郊の飛行場に配備されている。
 ・戦空師団
  ・第一戦隊 第二小隊

五三式軽爆撃機と同じくらいの大きさである。支柱などにみられるように、技術的にも共通点があり、両機はこの時代の皇国機を代表する存在である。

なお、ほぼ同じ大きさであるが五三式は複葉であるためより多くのの爆弾を運ぶことができる。

 

第一次南洋危機に際しては、各島の飛行場に配備され、監視に当たった。戦闘機であるが、下方視界がよいため、他国の軍艦をいち早く見つけることができた。

さらに、離陸距離が短いため、島に急造された簡易的な飛行場からも飛び立つことができた。また、頑丈につくられた固定脚も、粗い滑走路での運用に耐えうるものであった。

 

なお、当時は陸戦軍の戦闘機が制空の要であった。海防軍飛行隊は哨戒機や攻撃機を主に装備しており、陸上戦闘機を保有していなかったのである。第二次南洋危機の頃には、海防軍が航空巡洋艦を就役させていたので、陸戦軍戦闘機の出番は減った。


 

■あとがき■
 九一式戦闘機を参考元にして作ってみたパラソル翼の戦闘機です。

長らく複葉機メインだった中では珍しい単葉機……ではありますが、支柱が多いので複葉機と近いものを感じます。

後ろ姿が結構すきです。


 これと言って新しい組み方は取り入れず、今までの技術を淡々と使った感があります。

機体は4ポッチ幅で、尾部はスロープ積分、主翼タイル張り、尾翼だけ赤色……という具合ですね。

 

↑全体的なスタイルもうまくできました。

機体をスロープパーツ多用で滑らかにできたのもよかったです。1x2カーブスロープのとこは2x2にしてもいいかな……。

足の作りは、シンプルにそれらしい固定脚を表現できたので満足しています。
 

 ↑後ろ半分はまるごとひっくり返っています。

 

↑エンジン

エンジンも過去作と同じような組み方ですが、直径4のラウンドプレート(黒色)の使用で、締まりのある雰囲気になったかと思います。

 


 パラソル翼は固定方法に悩みました。

①操縦席のガラスで2ポッチ分を固定し、②両翼それぞれ後ろ側の支柱を介して左右一箇所づつ固定しています。

過去作では支柱をダミーとしてつける事が多かったですが、今回はちゃんと支柱が支えをしてるわけです(前側2本はダミー)。

↑支柱と翼の固定状況。裏打ちはターンテーブル上部を使用。上部だけに丈夫。

 

↑フラップ

前級の〇一(庚)式戦闘機が量産用・小型・デフォルメであったのに対して、今作は一点もの・やや大ぶり・リアルよりスケールと、対照的です。複葉の軽爆撃機や双発輸送機と同スケールです。

この二機は「一機を細かく作る」というコンセプトの作品です。

あんまりまとめて出す機会がなく、並べて撮るのは初でした。

 

個人的には、けっこう出来の良い飛行機だと思っています。

 

おわり