前回の「専属ではないマネジメント契約・所属契約・タレント契約とは 」を含めて、これまで連続で3回にわたって、アーティストやタレント等がプロダクションと交わす専属マネジメント契約の「専属」について諸々解説をしました。

 

 


ここまでの解説で、「専属マネジメント」という言葉のうちの「専属」と「マネジメント」それぞれの意味合い等がおおよそ確認できたかと思います。よって、今回からは、専属マネジメント契約・所属契約・タレント契約に記載する内容のポイントをそれぞれ個別に解説していきたいと思います。

 

 


まず今回は、アーティストやタレント等がアーティスト活動及びその他芸能活動を行ったことにより発生する様々な権利が実際どのように取り扱われるか、ということを解説したいと思います。

 

 



 


 


【そもそもどういった権利が発生するのか】

 


 

 

プロダクションのマネジメントに基づき、プロダクションが取ってきた仕事(アーティスト活動及びその他芸能活動)をアーティストやタレント等が実際に行うことで、様々な権利が発生します。どういった権利が発生するかといいますと、著作権関連が主となりますが、およそ次のような権利が発生するものと考えます。

 

 


①作詞や作曲、編曲その他音楽創作を行うことで発生する著作権。

②歌ったり演奏をしたりその他音楽的な実演をすることで発生する著作隣接権。

③原稿や書籍、ブログ等を執筆する事で発生する著作権。

④テレビドラマや舞台等における演技の実演をすることで発生する著作隣接権。

⑤アーティストやタレント等の肖像等を利用して制作したアーティストグッズ及び広告宣伝物等の著作権及び所有権等。

⑥その他アーティストやタレント等がアーティスト活動及びその他芸能活動を行うことで発生する著作権法上の権利。

 

 

 

 

上記のような権利について、誰が権利者となるのか、といったことを専属マネジメント契約・所属契約・タレント契約において定めることが望ましいです。


 

 



【一般的にはプロダクションに権利が帰属する】


 

 

そこで、実際どういう権利の取り扱いをするかというと、一般的にはプロダクションが上記の権利の権利者となる、というように専属マネジメント契約・所属契約・タレント契約において定められることが多いように見受けられます。

 

 


しかしながら、例えば上記の権利のうち①の権利については、アーティストやタレント等から音楽出版社に権利譲渡され、そして音楽出版社がJASRACに著作権管理を信託するという流れが割りと多いので、厳密にはプロダクションは権利者にならないことも多いです。JASRACに信託をしないという場合は、そもそも音楽出版社に権利譲渡することもほぼありませんので、その場合は専属マネジメント契約・所属契約・タレント契約において、上記の権利がプロダクションに帰属すると定められていれば、プロダクションが権利者になると考えます。

 

 

 


また、②の権利についても、アーティストやタレント等から別に専属実演家契約をするレコード会社に譲渡することが一般的ですので、これもプロダクションが権利者にならないことが多いです。こちらも専属実演家契約をするレコード会社がいない場合は、プロダクションが専属マネジメント契約・所属契約・タレント契約において上記の権利がプロダクションに帰属すると定められていれば、プロダクションが権利者になると考えます。

 

 


これらのことから、専属マネジメント契約・所属契約・タレント契約における契約上はプロダクションに上記の権利が帰属するとしていても、実態としては別に存在する契約に基づきレコード会社や音楽出版社又はその他関係会社等に権利が帰属するものも多いです。

 

 

 

 

よって、基本的な形としては、別に存在する契約に基づきレコード会社や音楽出版社又はその他関係会社等に権利が帰属するものはそれらの会社等に権利が帰属し、それ以外の権利については、専属マネジメント契約・所属契約・タレント契約の内容に基づきプロダクションに帰属する、というような形になっているものと考えます。

 

 

 


 

 


 


今回は、アーティストやタレント等がアーティスト活動及びその他芸能活動を行ったことにより新たに発生する権利の取り扱いをざっくりと解説しました。このブログは著作権について考えるブログということもありますので、次回以降、上記の権利の実務上の取り扱いをもう少し具体的に個別に解説していきたいと思います。

 

 

 

次回「作詞・作曲・編曲により発生する権利の実務上の取り扱い 」につづく

 

 

 

 

専属マネジメント契約書の作成、チェック、修正、ひな形提供その他のご相談については、当事務所(藤枝法務事務所)ウェブサイトの専属マネジメント契約書のページをご覧頂ければと思います。
 
 

 

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