これまで、アーティストやタレント等のいわゆる芸能人がプロダクションに所属する際に、プロダクションと交わす契約が専属マネジメント契約である、ということを解説した上で、前回、「専属マネジメント契約の「マネジメント」とは何か 」において、マネジメントの定義というものを解説しました。

 

 

 


今回は、「専属マネジメント」という言葉のうちの、「専属」に焦点を当ててみたいと思います。よって、まずは「専属」の意味を確認した上で、プロダクションと専属契約を交わすことでどういった効果が生じるのか、ということを、専属性という観点から解説したいと思います。

 

 

 

 


 

 

 

【専属とは、プロダクションが独占的にマネジメントを行うということ】


 

 

専属マネジメント契約という場合の専属とは、所属することになるプロダクションが専属的に、すなわち独占的にその契約対象のアーティストやタレント等のマネジメントを行うということを意味します。

 


マネジメントの定義は、前回具体的に確認しましたが、おおざっぱに言えば、契約対象のアーティストやタレント等のアーティスト活動及びその他芸能活動全般に関する売込み(仕事の獲得や交渉等)や管理全般を行うことです。こうしたことをプロダクションが専属的に(独占的に)行いますよというのが、専属マネジメント契約なのです。

 

 

 


よって、専属マネジメント契約をプロダクションと交わした場合、他のプロダクションを通じてアーティスト活動及びその他芸能活動を行ってはならないのです。他のプロダクションからアーティスト活動及びその他芸能活動に関する仕事をもらってはいけませんし、アーティスト活動及びその他芸能活動に関する約束や交渉・合意・契約といったこともしてはなりません。


 


 

 

【専属契約を交わすとプロダクションを通さずに芸能活動を行えなくなります】

 

 


 

 

専属マネジメント契約をプロダクションと交わすと、基本的に、その契約期間中は所属プロダクションを通さないアーティスト活動や芸能活動が行えなくなります。仮に所属プロダクションからではなく自らアーティスト活動や芸能活動に関する仕事を取ってきたとしても、プロダクションの承諾を得ずに勝手にそれを行ってはならないということになります。

 

 


尚、専属マネジメント契約はプロダクションと交わす契約ですが、アーティストやタレント等がCD等を制作・発売することに関しては、プロダクションとは別にレコード会社と契約を結ぶことが割りと一般的です。この契約も「専属実演家契約」といって「専属」という言葉が付きます。

 

 

 


実演家とは、以前「歌うことや演奏することで発生する権利と実演家 」においてヴォーカルや演奏者のことを指すと解説しましたが、「専属実演家契約」の「専属」とは、そうした実演家が、CDを制作・発売することに関しては、契約をするレコード会社のためだけに実演を行うようにすること、という意味合いがあります。


 

 

よって、専属実演家契約を交わすと、契約をしたレコード会社以外のレコード会社・レーベルその他第三者のために歌ったり演奏をしたりして音源を制作し、そしてその音源をもとにCDを発売又は音楽配信等をすることができなくなります。但し、契約をしたレコード会社が事前に承諾をすれば可能ですので、こうした承諾に基づき、レコード会社の垣根を越えたアーティストのコラボレーションが実現したりすることがあります。


 

 


 


 

 

ということで「専属マネジメント契約」という言葉のうちの「専属」について今回解説をしました。さて、この「専属」についてはもう少し解説したいこともありますので、次回は、専属ではないマネジメント契約、というものを解説したいと思います。

 

 

次回「専属ではないマネジメント契約・所属契約・タレント契約とは 」につづく

 

 

専属マネジメント契約書の作成、チェック、修正、ひな形提供その他のご相談については、当事務所(藤枝法務事務所)ウェブサイトの専属マネジメント契約書のページをご覧頂ければと思います。
 
 

 

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