前回の「専属ではないマネジメント契約・所属契約・タレント契約とは 」において、アーティストやタレント等がプロダクションと交わす契約が、専属ではないという場合の意味や内容等について解説をしました。

 

 


今回は、そうした専属ではないマネジメント契約・所属契約・タレント契約の具体例を挙げてもう少しここら辺を解説したいと思います。

 

 


 

 

【ケースは非常に少ないが大別すると2つ】

 

 

前回も書きましたが、専属ではないマネジメント契約・所属契約・タレント契約というケースは、割合としては非常に少ないので、専属ではないこれらの契約をアーティストやタレント等がプロダクションと交わすケースというのはレアケースといえます。

 

 


そのようにレアケースであるため、専属ではないマネジメント契約・所属契約・タレント契約の具体例というのも実はさほど多くないのですが、概ね次のようなケースに大別できるように見受けられます。

 

 

 


① 契約対象のアーティストやタレント等が既に一定のアーティスト活動や芸能活動を行っていて、プロダクションに頼らずに自ら仕事をとってこれるような場合。

② 所属するプロダクションがさほど大きくないプロダクションで、そのプロダクションがあまり仕事をとってこれないような場合。


 

 

 

①のケースについては、契約対象アーティストがクラブDJやダンサー等の場合において見受けることがあります。ダンサーの場合でいうと、既にダンサーとして一定の活動を行っていて、自らイベント出演やダンス講師といった仕事をとってこれるような場合ですね。専属契約ではない場合、そうしたダンサーが自ら獲得してきた仕事を、プロダクションを通さずにダンサーは行えるわけです。

 

 


専属契約ではない場合、ダンサーが自ら仕事をとってきて、そしてそのための交渉や契約を第三者とし、仕事を実際に行った場合はその報酬をダンサーが自ら得ることができます。こうした一連の流れを、プロダクションを通さずに行えるというわけです。

 

 


しかし、プロダクション側が設定及び管理しているスケジュールというものがありますので、実際には、ダンサーが自ら仕事を獲得してきた場合は、いついつにこういった仕事をします、といったことをプロダクションと情報共有する形が多いです。そういう意味では、全くプロダクションが関与しない活動というのは、現実的にはほぼありえないように思います。

 


 

また、例えば定期的に1週間のうちで月曜日と水曜日はダンス講師としての仕事があります、という場合も、そうしたダンス講師としての日程をプロダクションと情報共有します。

 

 


マネジメント契約・所属契約・タレント契約を締結する時点でそうしたダンサーのダンス講師としての仕事やその他定期的なアーティスト活動その他芸能活動等が既に決まっている場合は、そうしたダンス講師等としての仕事についてはプロダクションのマネジメントの対象外とする、といったことを予め契約書に定めることもあります。

 

 

 


結局のところ、仮に専属ではないマネジメント契約・所属契約・タレント契約をアーティストやタレント等がプロダクションと交わしたとしても、完全に自由にアーティスト活動や芸能活動を行えるというわけではなく、情報共有の義務や部分的な事前承諾等の何らかの制約があるといえます。そういう意味では、実態としては半専属契約、という形になるのかもしれません。

 

 

 


 

 

 

ということで、3回にわたって専属マネジメント契約の「専属」というキーワードをもとに専属の定義や専属契約の意味合い等を解説させて頂きました。次回は、プロダクションのマネジメントに基づきアーティストが行ったアーティスト活動及びその他芸能活動全般により発生した著作権、著作隣接権その他権利の取り扱いについて解説をしたいと思います。

 

 

次回「アーティスト活動や芸能活動により発生する権利の取り扱い 」につづく

 

 

 

 

専属マネジメント契約書の作成、チェック、修正、ひな形提供その他のご相談については、当事務所(藤枝法務事務所)ウェブサイトの専属マネジメント契約書のページをご覧頂ければと思います。
 
 

 

 

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