新年明けて、自分のバイク(SS900ie)車検整備をしましたが、
それが終わってすぐバイクが入ってきました。
カワサキのZZ-R1100 Cタイプです。
「それが終わってすぐ」と書きましたが、昨年11月からお待ちいただいていたお客様です。(ご迷惑をお掛けします)
ご依頼の内容は、エンジンが暖まってくると、フューエルワーニングと
オイルプレッシャーワーニングが点灯すると言うもので、
ご来店いただいた時は、外気温が低かったので、症状は出て
いませんでした。
ZZR1100は既に3回目なので資料が手元にあり、事前に配線図を
確認していましたが、このワーニングに関係する回路は、
・オイルプレッシャスイッチ~ワーニングランプの回路
・フューエルセンサー~フューエルリレー(2個)~ワーニングランプの
回路
・上記2回路を結ぶダイオード
しかありません。
エンジン始動前、オイルプレッシャスイッチが動作していると、
オイルワーニングが点灯すると同時に、ダイオードを通して
フューエルセンサー回路も構成されるので、エンジン始動までは
両ワーニングが点灯する回路です。
その回路を調べる前に、このバイク(ZZRに限らず同年代のカワサキ車)の持病、ジェネレーター配線の焼損が無いか、チェックをします。
テール側のカウルを外し、コックを閉めてガソリンチューブを引き
抜いたら、タンクを外します。
同年代のほとんどのバイクで、画像に写るジェネレーター出力配線のコネクターが焼損しています。
が、このバイクは問題無し。 変色がありません。
元に戻して本題に取り掛かります。
今度はフロントカウル内のメーター側コネクタを抜き、先に外した
テールカウル内のフューエルワーニングリレーのコネクタを抜きます。
オイルプレッシャースイッチのギボシを切り離せば、2つのワーニング
回路は、ダイオードで接続された形で、他の回路から分離された状態になります。
この状態で、アース間の導通を測れば、配線の異常が分かります。
導通がありません。
途中でアースして誤動作する可能性は無いって事ですね。
続いて、この状態でダイオードの機能を確認。
フューエルワーニングリレーからオイルプレッシャーワーニングに
向けて、ダイオードの順方向電圧を測定します。
順方向 : 0.52V → 正常
続いて逆方向測定。
逆方向 : O.L(オーバーレンジ 導通なし) → 正常
これで、ダイオードがいたずらをして、おかしな電流が流れている
可能性も無し。
残るは事前の予想通り、オイルプレッシャスイッチの不具合。
お客様からの聞き取りで、オイルに何を使ったかを聞いています。
カワサキ純正オイルだとの事で、低粘性オイルによるプレッシャー
スイッチ動作の可能性も小さい。
車体下を覗き込み、プレッシャースイッチ周りの配線を探します。
すると、何も保護されていない電線が、ガッチリとフレームにインシュ
ロックにより固定されています。
インシュロックを切り、引っ張り出すと
ギボシ端子(メス)のすぐ横で、被覆がむけています。
これが原因?
確かにここでアースすると、今回の現象が起こります。
温度が上昇すると、フレームが温度上昇すると、被覆が柔らかくなり
被覆の破れた銅線部分がフレームに接触する事もあるでしょう。
が、今回の事象はアイドル付近でワーニング表示するけど、
エンジン回転を上げると復帰するとの事でしたので、この被覆傷で
復帰するはずはありません。
とりあえず、傷のある部分は切り飛ばし、新たなメスギボシ端子を
取り付けます。
ギボシの保護チューブはビニルだと不安なので、ゴム製の物に交換。
電線はエンジン近傍なのでガラス保護チューブに通します。
この状態にしてから、フレームに固定しスイッチ接続。
さあどうなったかな?
キーONとともにワーニングが点灯するはずが・・・
点灯しない!(;^_^A
今接続したギボシを切り離し、メインハーネス側(メーターパネル側)をアースさせると、ちゃんとワーニング表示します。
プレッシャースイッチ側はアース間で導通を測ります。
本来ならば導通が有るはずですが、導通無し!
完全にセンサーの異常ですね。
センサーにはギボシ端子までの短い配線が付いていて、これが断線
していると、同じ現象になるので、この電線を確認しましょう。
上のゴムキャップの付いている電線が、今までの物。
下が取替のために用意した電線。
取り替えて今までの電線を確認しました。
被覆が硬化しヒビ割れが生じていましたが、断線は無し。
やはりセンサーがダメですね。
ゴムキャップ内はゴム劣化で水分やスラッジが多量に侵入。
これがワーニング不要表示の原因かもしれませんが、いずれにしてもオイルプレッシャースイッチは交換が必要です。
この作業の事前打ち合わせで、プレッシャースイッチの不良が判明
した場合について打ち合わせ済みです。
原因箇所が分かったら、当店で修理せず報告し、別途修理となって
いますので、報告書に記載して引き継ぎます。
ワーニング回路をすべて接続し、機能を確認します。
他の電装機能も全て確認。
外装をすべて元に戻して、もう1度機能確認。
エンジン始動も確認。
機能は正常で、問題となったオイルプレッシャーワーニングも
いつの間にか正常動作しています。
連絡をしてお客様にお引渡しです。
作業内容と調査結果を報告。
お客様側でオイルプレッシャースイッチ交換をして、症状が改善すると良いのですが・・・
おしまい