ALS患者の私が恐れることのひとつに『蘇生後脳症(低酸素脳症)』があります。
嚥下障害があると、本人が気管切開と人工呼吸器の装着に踏ん切りがつかずにいる間に誤嚥して 呼吸困難になり、救急搬送され、気管切開と人工呼吸器装着の処置を受ける場合があります。
処置されるまでに時間がかかると『間に合わない』か 助かっても『蘇生後脳症』の後遺症が出ます。
怖いのは後遺症で目の動きが悪くなり、視線入力意思伝達装置や透明文字盤が使えなくなることです。意思疎通が極めて困難になります。
本人が気管切開をしないつもりでも同じです。呼吸困難で意識を失い 誰かが救急要請すれば、搬送先で人工呼吸器を装着されるでしょう。
私は踏ん張りがきかなくて転倒したことが何回かあります。最後は起こしてもらうまで息ができませんでした。
マスク型の人工呼吸器を着けている頃に呼吸器のバッテリーが切れた事もあります。呼吸器が止まってから ものの1分で意識を失いました。
その後 最悪の事態を避けるため、予め日程を決めてから気管切開の手術を受けました。
気管切開しても痰吸引されるのが遅いとカニューレが詰まり息ができません。酸素飽和度がすぐに70以下になります。
ALSになり手足が動かなくなっても死にはしませんが、意識があるのに意思疎通ができない状態を想像すると怖いです。TLSになる前にそのようになるのは避けたいです。
気管切開をしないつもりなら意思表示を明確にしておくことです。
そうでなければ、望まぬ事態を避けることが大切です。
ALSは過酷な病気です、盆も正月もChristmasもありません。
常に危険と隣り合わせです。
転ばぬ先の杖が大事です。
私は杖につまづいて何度も転んでいましたが・・・(笑)