〜過去の詩より〜

この詩は、過去に書いた作品を今の私が選んで紹介しています。制作日はタイトル末尾に記しています。


ふたつの体温




「仙骨には

副交感神経にはたらきかけて

リラックスする作用があるんだ」


その手が

そっと仙骨に触れたとき


触れられるだけで

こんなにも安心できるのかと

からだでわかった


ちゃんと

理由があったこと 


そこに

安心が重なって

痛みや不安が

やわらいでいたのだと



そう

この安心感——

どこかで

知っていた気がする


余韻のなか

わたしは記憶をたぐりよせる



鍵っ子で

寂しがり屋だったわたし


毎週金曜日

祖母の家に

泊まりにいくのが

楽しみのひとつ


ほのかに漂う

線香の香りと共に


夜は祖母と

せんべい布団を

二組並べて

一緒に眠る


寝つけないと

「ばあちゃんと一緒に眠りたい!」


そうせがんで

祖母の布団に

もぞもぞ

もぐり込んだ


「おいで」といって

布団をあけ

わたしを迎えいれる


足元には

スヌーピーという

犬の名をもつ猫が

丸くなっている


幼いわたしは

ふたつの体温に

安心しきって

眠りについたんだ



記憶の旅から

ここに戻ると

胸の奥が

ほのかにあたたまる


「眠るまで撫でてくれる

ロボットがあればいいのに」


冗談まじりに

こぼれたけど

ほんとうは知っている


それじゃ足りない


仙骨のぬくもりは

理由のいらない

安心の記憶だった



※私two-miracleの綴る詩は

内にある記憶や感情と、創作の中で重なり合う

様々な愛のかたちを、丁寧に描いています。

この詩に触れた方が、 それぞれの心と記憶に、 

静かに響きますように。


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