知らないままでよかった

「この声で落ち着くなら
動画、観てみますか?」
そうすすめられて
はじめて
画面越しから動く姿を見た
知らない制服
知らない表情
私が見てきたのは
ほんの、
切り取りの一部
だったのだと知る
ここでの顔とは
違う雰囲気で
別の言葉で
理路整然と伝える姿

なぜだろう?
胸の奥に
貼りつくような重さと
時が止まったような
虚しさだけが残る
若さゆえ
まるで止まることすら
知らないほど
可能性の光に包まれた
その姿
私にも
若葉のような
そんな季節が
あったはずなのに
今の私は
どこに
いるのだろう
ただ、
声に救われている
だけのひとなんて
現実は
なにも動いてはいかない

二つ、三つ
動画を追う度
心に
小さな穴が空くようで
ひとさし指で止めた
ストップボタン
知らないままで
よかった
ここでの姿だけを
知っていれば
十分だった
いちばん
残ったのは
こんなことをしている
自分が
好きになれなかった
この胸を
締めつける
想いのまま
今はただ
こうして
言葉を紡ぐことでしか
進めないのだと知る
この感情は
わたしだけの
ものなんだろうか
それとも
誰かの胸にも
響くのだろうか
※私two-miracleの綴る詩は
内にある記憶や感情と、創作の中で重なり合う様々な愛のかたちを、丁寧に描いています。
この詩に触れた方が、 それぞれの心と記憶に、
静かに響きますように。
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