このページは考察の上での補足資料です。

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7つのエピソード 正確な文章

 

1赤薔薇シェークスピア全集

隣室の書斎の壁は革表紙の書籍で埋まっている。シェークスピア全集、イギリス、フランスの文学書、そして、医学に関する書籍――。下巻197

 

2赤薔薇幸せになり器を修理

その後も、つらいことがある度に繰り返し、この”幸せになり器”を鳴らし続けたので、ある日、とうとう壊れてしまった。ステアとのつながりが切れたような気がして、打ちひしがれていたが、それを後日、いとも簡単にあのひとは修理してくれた。下巻238

 

3赤薔薇冒険談を聞いて大笑い

アメリカに戻るまでの旅で起こった出来事を話したとき、はじめは大笑いして私の話を聞いていたあのひとは、ふいに真剣な表情になるとわたしをきつく抱きしめた。

よく無事だった、と――下巻148

 

4赤薔薇象嵌細工の宝石箱

わたしはキャビネットの奥から、象嵌(ぞうがん)細工の宝石箱を取り出した。小ぶりの宝石とマザーオブパールで装飾されたこの大きな宝石箱は、あのひとの家に代々伝わるものだという。

こんな美しくて高価な宝石箱はわたしには似合わないわ・・・・。そう言ったのだが、あのひとは笑って譲らなかった。だったら、きみの好きなように使えばいい、と。

わたしが使うには贅沢すぎるその箱には、だから、わたしの大事なものだけを入れている。

思い出の品々。新聞や雑誌の切り抜き、そして手紙の束――。 下巻149

 

5赤薔薇ロンドンの蚤の市で見つけたスリムの絵

わたしは机の前から立ち上がると、ゆっくりコンソールの前に向かった。手製の額で飾られた10号の油絵。あのひとはどこからでも見える場所に飾ってくれた。数年前、ロンドンの蚤の市でその油絵を見つけてくれたのは、あのひとだ。なんと素敵な贈り物だったことだろう。上巻7

 

6赤薔薇エイボン川が流れ、ラッパ水仙のある家

エイボン川が春浅い午後の光をあびて、ゆるやかに流れていく。川からのひんやりとした風が、熱をおびて波打つ想いを穏やかにしてくれる。庭のラッパ水仙の香りが漂ってくる。わたしは胸いっぱいにその甘い香りを吸い込む。庭の木々の間が黄金色の光を放っているように見えたのは、たくさんのラッパ水仙が満開になっているからだ。ささやかなばら園では、今、ばらのつぼみがふくらんでいる。ばらの手入れだけは、わたしは庭師に任せない。上巻231

 

7赤薔薇近くにいて欲しいと望む人

今もポニーの家には相変わらず、孤児たちがあふれている。もっとポニー先生たちの役に立ちたいのだが、今は――なによりいつもわたしが近くにいることを望んでいるあのひとのそばをわたしも離れたくない。上巻233

 

テリィの手紙

 

キャンディ
変わりはないか?
・・・・・・あれから一年たった。
一年たったら君に連絡しようと心に決めていたが、迷いながら、さらに半年がすぎてしまった。
思い切って投函する。
――ぼくは何も変わっていない。


この手紙が届くかどうかわからないが、どうしてもそれだけは伝えておきたかった。


T・G

 

下巻283

 

 

キャンディの出さなかった手紙

 

テリィ・・・・・・

いつも心の中であなたと向き合うと、わたしの心は熟れた甘酸っぱい杏の実のようになってしまうの。かすかな風が吹いただけで、地に落下してしまいそうで呼吸さえできません。

「ハムレット」の大成功、おめでとう!

ロングランに次ぐロングランですね!あちこちで絶賛の特集記事を目にします。

―誰もが想い描いていた「ハムレット」そのもの!いや、それ以上だ!

 

(中略・アルバートさんが大おじ様だった話)

 

テリィ、あなたを追ってイギリスから帰ってきた時の冒険談、いつかゆっくり話したいと思っているうちに結局、話せませんでした。テリィに送った手紙はほとんどが届いていなかったなんて―。

でもテリィはたくさん手紙をくれましたね・・・忙しいのに。

宛名はいつも、ターザンそばかす―。

からかうようなことばかりで、もっとロマンチックな手紙がほしかったけど・・。

でも、テリィの心のうちはわかっていたつもりです。

からかいながらも、やさしさと思いやりにあふれた手紙―。

ありがとう、テリィ・・・・・・。

今も大切にしまってあります、でも読み返すことは、まだ出来ないの。

 

(中略・密航の話し)

 

ニューヨークの夜は寒かったけど、降りしきる雪はあたたかかったです。

あなたの胸のぬくもりが背中に残っていたからかしら。

――幸せにならないと承知しないからな・・・・。

テリィ、そう言ってくれましたね。

わたしはしあわせです。

そして、テリィ、あなたももっと幸せになってね!

ー―テリュースの復帰を支えた、スザナの愛!

そんな記事も読みました。

テリィ、スザナはすてきなひとです。何よりもあなたを愛し続けていることが、すてきです。

そして、そんなスザナを選んだテリィ、あなたも。

 

もちろん、こんな手紙はだせるはずないわね・・・・。

わかっています。

でも、テリィの成功がうれしくて、出せなくても書かずにはいられなかったのです。

テリィ・・・・・。

アメリカの片田舎にテリュース・グレアムの熱烈なファンがいることを忘れないで。

あなたが舞台に立つとき、力いっぱい拍手するわたしがいることを忘れないで――。

 P・S テリィ・・・・・好きでした。

 

下巻274~

 

小説キャンディ・キャンディFINAL STORY

発行所 祥伝社

著者 名木田恵子

発行日 平成22年11月10日

 

※ファイナルは只今絶版で入手困難につき、転記させて頂きました。

再販が決まった折には、速やかにスモークを掛ける予定です。

 

 

名木田先生へのインタビュー

 

「あのひと」につながるヒントもあるかも・・

※日本語で読めます

 

 

 

 

 

イタリア語版の前書き

 

子供の頃、私はイタリアの音楽や映画に囲まれていましたが、その豊かで美しい映像に、説明できないほどの衝撃を受けました。 キャンディ・キャンディは、40 年前に漫画として誕生しました。

当時は「水木杏子」のペンネームを使用し、4年間続いた連載中に、皆さんが手に持っている小説を十数冊書けるほどのページ数を書き上げました。

いがらしゆみこさんのキュートなイラストも相まって、この漫画は大ヒットし、アニメ化もされ世界中で放映されました。 このようなことが起こるとは思ってもいませんでした。 それは本のページにも書ききれない夢でした。

 

おかげさまで、イタリア語で皆さんとコミュニケーションをとることができるようになりました。

この小説の初版本は 1978年に日本で出版され、2003年に再版されましたが、原作の草稿に基づいており、明らかに元のテキストから引用しています。

しかし、私はまだ伝えなければならないことがたくさんあると長い間考え続けていました。

キャンディの漫画は非常に若い読者を対象としていたため、多くのルールに従う必要がありました。 物語がその形だけで残っている限り、内容を変える機会はないと確信していました。

 

しかし、数年が経ち、思いがけず、新たな小説を書くという機会が訪れました。 まるで話せるようになるのをずっと心の中で待っていたキャンディ(私の物語の中に生きている人)が、「私についてもっと何か書いてよ」と言っているように思えました。

実際、その頃には成長していたキャンディでしたが、連載が終了した後もずっと私のそばにいて話しかけてくれました。

私たちの(秘密の)会話から生まれたこの小説によって、私は彼女を生き返らせ、彼女を漫画に縛り付けていた束縛から完全に解放することができました。

ただ、紙に書いてしまうと話が尽きなくなってしまう……それなので、あまり詳しく書かない形で残すことにしました。

 

物語の世界は無限です。 国境を越えて広がり、その可能性は無限大です。

イタリアの読者の皆さんが、心の中に息づく広大な世界に羽ばたいて、この小説を存分に楽しんでいただければ幸いです。

 

本当に、この作品が生まれてから長い時間が経ちました。

もう何十年も前になりますが、昔、私は漫画家と編集者と一緒にあなたの国を訪れる機会がありました。

その際、「なぜ日本人なのに外国人の女の子の物語を描きたいと思ったのですか?」という質問を何度かされました。

私の答えはいつも同じです。「恋に落ちること、愛、そして私たちを他の人に結び付ける感情は、世界中で同じです。」

この小説を翻訳するにあたり、多くの方々のご協力をいただきました。

皆様、本当にありがとうございました。  「モルテ・グラツィエ!」

 

 名木田恵子

(2014年11月)※イタリア語版ファイナルストーリーの前書きより

 

 

 

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