クローライフ | 薬剤師アイの生活日誌 

薬剤師アイの生活日誌 

 調剤薬局という特殊な職場の、実情について書きつづったブログです。

 意外に知られていないくすりに対する様々な知識などもアップしていきます。

 世間知らずといわれないように読んでいる、政治経済の本なども紹介していく予定です。

 こんばんは、アイです。

 7月ですね。まだ東京は梅雨のようですが、だいぶ蒸し暑くなってきました。
 去年の冬に、開業祝いであちこちから胡蝶蘭の花を頂いたのですが、なんかまた
咲き始めました。
 


  花が枯れた後も、家に持って帰るのがメンドーでずーっと薬局におきっぱだったのですが、
 患者さんたちが口々に、

 「室内に置いたままじゃ駄目だ。外に置いてよく陽に当てたほうがよい」

 「直射日光はまずい。室内で管理したほうがよい」

 「室内では育たない。風通しのいい外の日陰に放置しとくとよい」
 
 「あまり風を受けると葉が痛む。一定の温度が保たれる室内で大丈夫。」


 どいつもこいつも好き勝手言いやがって。
 

 せっかく言ってくれたのになんもしないのも感じ悪いんで、何度も入れたり出したりしました。
 結局動かさなくてよかったんじゃねーか?なーんて気にもなりましたけど。花瓶動かす時に
落っことしてちょっとヒビ入っちゃった。

 まあ、でも。やっぱり咲くと、うれしいです。
うふふ(≧▽≦) きれー。

 

 
 あくまでアイ的な考えなので、真に受けなくてもいいんですけど。
 調剤薬局の待合室って、余計なものを置く必要、ないと思うんです。

 せいぜい薄型テレビの1台でも壁にかけとけば、いいんじゃないでしょうか。
 
 患者さんが退屈しないように、雑誌や新聞とか置いてるところもありますけど。
 
 座ったまま待たなきゃいけない美容院じゃあるまいし。場所を取るし、
いろんな人にさわられた雑誌や新聞は、よれよれになってて見苦しい。

 壁中べったべたと掲示物だらけになってるのも、美しくない。
 情報の発信?誰も見やしねーよ。アイドルの宣伝になってる薬物乱用防止のポスターとか
超いらねー。




 それよりは、見飽きることのないような、絵や写真を飾りたい。
 
 患者さんのジャマにならないようにそっと、花を飾りたい。



 調剤薬局って、どうしても病院のように、患者さんと関っていくことは難しいですけど。
  
 コミュニケーションって、「きれいなお花ですね」とか「この絵は誰が描いたんですか」
とか、たぶんそういうことから、始まるんじゃないかと思うんです。

 
 



 
 アイの薬局では、先月まで、医療事務のお仕事を手伝ってくれた女のコがいました。
まあ25歳を、女の子というには弊害があるかもしれません。四捨五入すりゃ30だ。
アイとたいして変わんねーなんて。

 
でもわずか149センチしかない身長といい、昔のヒロスエみたいに短くされた黒髪といい、
いっつも同じパーカーとジーパン姿といい、とうてい成人女性には、見えないコなのです。

 開業当時から、そのコのことは知ってました。
 
 だいたい朝8時。薬局の前を、セントバーナードとかいうやたらデカいタレ目の犬にヒモで
引っ張られて、通り過ぎていくのです。舌出してハァハァいって、かわいいなー、ヒトって。
毎朝コーヒー飲んで外を
眺めながら、イヌに連れてかれるそのコを見送ってました。

 
 
 患者さんとして処方せんを持ってきたのは、春のこと。

 交通事故で、クビをやってしまったのです。自賠扱いになりました。
 
 毎朝この前を通ってますよねーなんて、そんな話をしてると、実はそのコは薬局の
すぐ近くにある実家に住んでいて、いまはコンビニのバイトだけしかしてないとのことでした。

 クビの怪我で、しばらくはあまり動けなくなってしまったこともあり、じゃあそんなら
ちょっとウチで事務の仕事でもする?コンビニの時給と同じだけ出してあげるよということで、
彼女があいてる時間に、手伝ってもらうことになったのです。

 アイはめんどくさい忙しいので、なかなかゆっくり話す時間はとれなかったのですが、
母親が嬉々としてかまってました。

 
 母親から彼女の話を聞くともなしに聞いてたのですが、なんか、のんびりした人生
送ってるようです。



 アイと同じ中学を出て、某W大の政経を卒業した彼女。

 その後なぜか、実家が東京なのに北海道飛んで、牧場に就職。酪農に憧れたそーです。

 でも、やっぱりというか、田舎出身のアイにはわかります。
 第一次産業って結構大変なんだよ(x_x;)

 田舎で農業やって暮らすのをスローライフとカン違いしてるヤツ、たまにいるようですけど。
それは単なるリタイヤだから。趣味でやるのと、仕事でやるのとでは、全く違います。
農業でも、とか。酪農でも、とか。・・・・・・でも、やってみるかなんて、ナメたこと考えて
いられるほど、そう甘いもんじゃないです。

 案の定、彼女は1年で酪農の仕事を辞めました。

 ただ友達はたくさんできたようで、本人体ちっちゃいくせに、

マジちっちゃいんだけど、
 

スカイラインとかいうスポーツカーをローンで買って、北海道の都心部でバイトしながら、
友達と走り屋めいたことをしてたようです。

 その後、親に呼び戻され、でもなかなかしたい仕事が見つからず、ていうか
そんなに働きたいわけでもなく、なんとなくバイト生活と家事手伝いを続けてたとのことでした。
 
 そして首都高の分離帯で、別のクルマとトラブルを起こして、アイの薬局に来たと
いうわけです。


 
 さすがに某W大でてるだけあって、彼女、頭のキレは、いいです。

 妹の恵ほどじゃないですが、アイよりもちょっと賢いぐらいでしょう。

 正式に雇おうかとも、考えたんですけどね。 

 友達付き合いが結構あるようで、特に北海道にはまだ借りた家と、
クルマが置いてあるとのことでした。(事故ったのは実家のクルマらしい。なんてこった
仕事を手伝ってもらったこの3ヶ月の間、4回ぐらい1週間、北海道に遊びに行ってました。

 なにあっちに彼氏でもいるのー?とそりゃ当然聞いたのですが、
クルマが彼氏ですと言ってました。よくわかりませんが。まあ確かに似たようなもんだな。
 
 
 お父さんは、どっかの大学の教授さんらしくて。

 実家にいるなら、彼女がバイト生活を続けても特に何も言わないそうです。
 働くのも遊ぶのも、好きなようにしたらいいと。本人の自主性に任せるとか。
 実家、でかいもんな。まあ生活にはこまってないんだろ。




 
 
 アイには、悪いクセがあって。

 つい、他人と自分を、比べてしまいます。容姿でも、能力でも、立場や環境でも。

 考えてしまうんです。もし、アイが彼女のように、わりと何でも自由にできる人生だったら、
どんな青春時代を、送ったんだろうって。


 
 
 忙しい毎日。アイはささやかな楽しみとして、週末にはマッサージやエステを
受けます。

 お金はどんどん貯まってくし、欲しいものはだいたい買ってしまって、これからも買える。
 後は体のメンテナンスぐらいしか、使うところがありません。ていうか週末筋肉痛になるほど
ジムで鍛えたりゴルフクラブ振り回してるから、ちゃんとやってもらわないと、まずいの。


 普段は夜ベッドに入った瞬間、もう朝になってるほど、寝つきのいいアイですが。
 
 横になって施術を受けて、うとうとしてる時、よく夢を見ます。



 だいたい思い出すのは、ロクでもない過去のこと。

 フラッシュバックするたびに、震えを感じます。

 初恋がどーとかいうより、周りに敵しかいなかった。

 


 アイの人生は、少なくともアイにとっては、そう充実したもんじゃないと感じます。

 いっつも何かに追いかけられている気がして、必死に走ってる感じ。 
 
 地に足がついてるどころか、少しでも自分を大きく見せようと、
つま先だちで立っているような感じ。歩くどころか立ってるだけでも疲れてしまう。
足は強くなってるようだけど、そんな程度じゃ、まだ全然足りないって、そんな気がして。

 

 

 彼女には、ふたり姉がいて、3人姉妹。アイと家庭環境が似てます。

 お姉さんふたりも、結婚せず、定職につかず、バイトしたり、なんか環境運動とか
よくわからんコミュニティに参加したりしながら、まだ実家で一緒に暮らしてるそうです。

 何が正しいとまで言うのはおこがましいけど。

 家族の影響というのは、とても強いのでしょうね。
 アイの家では、定職どころか浪人すら、父親は時間のムダだと斬り捨てて
許してくれませんでしたから。


 浪人生活に価値があるというやつは、ただの錯覚だと、バッサリでした。
どうせその1年は心の底から笑うことも、ないって。
 
  
 


 以前ちょっと触れましたが、今度、知り合いの先生が開業することになり、
医療事務を急募してるとのことで、アイは彼女を、医療事務として雇ってみてはどうかと
もちかけました。

 彼女は、そんなとこで働きたくない、いまのままでいいといってましたけどね。
アイは、彼女にもう手伝ってもらうつもりはありませんでした。

 アイのとこで働けば、間違いなく安定した生活ができたでしょうが、
たまたま家の近所にいいとこがあってそこで世話になるなんて、人生ラクすぎだろう。


 困った時に、助けはこない。
 
 苦しいことに、慣れて平気になることはない。

 不幸はいつでも3連コンボ。


 
 アイの人生は、そんなことばっかしだったので。

自分より若いコがハッピーだと、
単にムカツキます。

 

 
  
 アイのところでは、医療事務の仕事はそのほとんどをオートメーション化して
簡単なものにしてるので、仕事はラクであり、あまり知的刺激のあるものではありません。
ドシロウトの母親でも手伝えるぐらいだし。

 ところが、今度開業する先生は、もともと大学病院の先生であり腕は確かですが、
しょせんは元サラリーマンです。レセプトのしかたも知らないし、カルテの整理もできない。
そもそも就業規則とか、給与体系とか、ぜーんぜんわかっちゃいません。

 内覧会にも参加しましたが、医療事務経験者もいません。看護師もどっかの
病院を定年したおばあちゃんです。あとは某医薬品メーカーに勤めてた
元MRのオヤジが経理とか、なんかダメそうなラインナップでした。先生も先生だけどね。
給料いくら欲しいのって、面接時に聞くセリフじゃねー。

 

 ノーマニュアルの状態で、おそらく相当苦労することになるでしょう。


 
 長持ちしないようなら、それまで。でも正社員です。最初にして唯一の医療事務員です。
 
 世の中って、うまくいったのなら最初の人が一番トクをするようになってます。
 アイがいままで勤めた調剤薬局は、処方せん1日300枚以上くる大型店舗のところばかり
だったのですが、最初の立ち上げの時からずっと働いてるという事務員がだいたいいて、
その事務員はみんなから1目置かれていました。

 結婚して子供産んだりして1度離れたとしても、その事務員はやっぱり頼りにされてて、
いろんな大事な仕事を任されていました。



 彼女もそんな風になって欲しいなんて、別に思ってません。
 もともとその病院の開業じたいがまだうまくいくかもわかんないんだし。

 アイのしたことは、単なるお仕着せです。
 そんなに高い給料でもないだろうし、もうこれからは北海道にも気軽にいけなくなります。
いままでせずに済んだケンカやイライラさせられることも、きっと度々あるでしょう。
かわいそうに。なんてざまあみろなの。
 
 世の中なんて、自分のしたいように最初からできることなんて、ないから。
 
 ・・・まぁ、後のことなんて、知ったこっちゃねーや。               




 
 毎朝8時。

 開業は9時からなんですけどね。アイは薬局を開けます。

 といっても、患者さんを待ち構えるでもなく、受付で日経新聞読みながら
コーヒー飲んだりして、ぐだぐだ過ごしてます。

 最近は、セントバーナードが人を連れて散歩する時間が、不定期になりました。
 彼女のお姉さんの、どっちかのようです。たまに顔が違うので交代でしてるみたいですが、
どっちもちっちゃくてそーかわんねーし、まあ覚えなくてもいいやってことにしてます。


 彼女とアイは、長い人生でほんの一瞬、すれ違った、それだけの関係。

 散歩役が回ってこないというなら、きっとがんばってんでしょう。
アイの、知ったこっちゃないや。

 


 新聞をじっくり読み終えると、8時30分。

 1日のスケジュールを立て、アイは仕事を始めます。

 事務方の仕事はラクでも、薬剤師としてアイにはやることがたくさんあります。
忙しいのよマジで。


 あと3ヶ月もすれば、彼女のことも、すっかり忘れてしまうかもしれません。

 会うことがないなら、元気な証拠だ。たぶん、きっと。

 

 「・・・・・・・・・・○月×日
 本日も♪ 通信試みるが 応答は無し。
わたしはどんなに離れても いつもあなたの周回軌道上♪」


夜空に星を放り投げた あの泣き声は いつかの自分のもの
記憶に置いていかれても 活動は続く 遠く

応答願う 命ノ地表から 打ち上げられて 随分経つ。
ずっと 通り過ぎる星の 数を数えて 飛んできた
その度覚えた 音を繋ぎ メロディーを送る





 
 
  to be continued・・・⇒