こんにちは、ふじおです。
今日は最近考えていることを書いてみようと思います。
今年2月にシネマ・クレールで「<主婦>の学校」という映画が上映されました。
私は仕事の都合で結局見ることはできませんでしたが、パンフレットだけは購入することができました。
このタイトルにもある通り、主婦の学校がアイスランドに現在でもあります。
アイスランドと言えば、世界経済フォーラム公表のジェンダーギャップ指数ランキングで12年連続第1位!のジェンダー先進国です。ちなみに日本は第120位(2021年)!
1942年に創立され、1990年代には男性も入学できるようになり、男女共学です。
1学期(3ヶ月)定員24名で、寮での共同生活を送りながら生活全般の家事を実践的に学ぶことができます。
学習課目は、調理・栄養学・手芸(編み物、裁縫、刺繍、織物)・洗濯・清掃、です。
教育プロジェクトとしては、
・クローベリー摘みなどの日帰り旅行
・アイスランド南部への修学旅行
・中心部の歴史的・文化的スポットを訪問する街歩き
・羊毛工場見学
・トレーニングコース(5コースから選択):フェルトでマフラー作りなど
・火災対策:消火器の使い方
・テーブルマナーと一般的礼儀作法
・身だしなみの整え方
・セックスと避妊
・薬物乱用防止
・平等や信教の自由、いじめとその解決
・お金とクレジットカード などなど
日常生活を送る上で知っておくべき内容を学ぶことができます。
1997年にこの学校に在学した男性で、後にアイスランドの環境・天然資源大臣となった卒業生は、この学校に入った動機を「自分の面倒は、自分でみたかったから」と言います。
私は常々、多くの日本人男性に欠けているのは、日常生活における身の回りのこと(家事)のスキルや知識だと思っています。
もちろん小・中学校を通して、「技術・家庭科」で一応学びますが、ホンのさわり程度。さほど身に付くモノではありません。
家庭科で習った玉結びや玉留めを今でもできる成人男性はどれほどいるでしょうか?
この家事のスキルや知識の欠如こそが、家庭における女性の家事負担の比重の多さに繋がっているのだと思います。
もちろん夫の中には、家事をしっかりこなしている方もいると思います。しかしそれはホンの一握りで、大多数はそうではないでしょう。
確かに家事は面倒です。可能ならばやりたくはありません。
でも、それは妻も同じです。
夫婦共働きが普通の現代日本において、仕事で疲れている妻は、帰宅しても食事や洗濯、子どもの世話をしなければなりません。
その一方で、夫はというと、仕事帰りに同僚と一杯ひっかけて、夜遅くに帰宅。その頃には子どもは就寝で話す機会もなく……といった感じ(昭和的なステレオタイプかもしれませんが)。
家事の大変さは、やってみないと実感はできません。
やってみて初めて、妻に共感できるのです。
こうした日本の家族環境を変えるためには、学校のカリキュラムの中で、いわば「家族学」といったことを教える必要があるのではないかと最近考えています。
私が考える「家族学」は、
①主婦の学校のような日常生活に必要な家事のスキルや知識を身に付ける。
②男性と女性の思考的差異を学ぶ。
③子育てについて学ぶ。
の3柱です。
①の必要性は述べた通りです。
②は、男性と女性では思考の仕方が違うということです。
2020年10月28日のブログで『察しない男 説明しない女』という本を紹介しましたが、生来男女で考え方や思考の方法が違うということです。
その違いから生じるすれ違いや勘違いが蓄積し、やがて大きな溝となって、最悪離婚というケースに発展します。
子育てのことなど、どうせ夫に言っても解ってもらえないと、端から諦めている女性はいませんか。
夫婦が相手の考え方をある程度予測できれば、衝突を事前に防ぐことができます。できないまでもダメージを最小限におさえることができるかもしれません。
これは子どもにも応用ができます。
家族間のコミュニケーションを円満にするために、男女の思考の特性を学ぶことは有意義です。
③の子育ては、どうしても母親に比重がかかりがちです。
最近は、参観日や運動会に参加する父親は増えています。昭和の頃に比べると、父親の考え方も随分進歩しています。
家族での父親のあり方を提唱する「父親学」なる研究分野もありますし、関連本も出版されています。
でも、参観後の学年懇談会やPTA活動への参加はどうでしょう。
私が参加する限り、父親を見かけることはほとんどありません。まだまだ母親が中心です。
父親の育児や学校への積極的な参加は、母親の負担の軽減に繋がることはもちろん、情報の共有にも繋がります!
父親に比べ、母親の方が子どもにより密着した存在であることは、生物学上・生理学上やむを得ません。
しかし、父親にも、母親とは違った役割を担うことができます。
例えば、母親が子育てしやすいような環境を作るとか、子どもに外の世界を教え視野を拡げるとか。
父親は、家庭環境を保ちつつ、母親と協力して子育てをすることが大切です。
父親の役割については、2020年2月8日のブログ(「かなりや卒園児保護者研修会に参加しました」)や2020年3月2日のブログ(「新型コロナウイルス感染拡大に伴う一斉休校について」)や2020年6月21日のブログ(「もし別の子育ての方法を選んでいたら…」)のコメントに対する回答にも書いているので、よろしければそちらもご笑覧下さい。
夫婦で、父親の役割、母親の役割といった具合に、家事や子育ての役割分担を決めます。
そして、子育ての一環として、子どもが小学生になれば、徐々に家事の手伝いをしてもらったら良いと思います。これが子どもの役割です。
昭和の高度経済成長期までは、子どもが家(業)の手伝いをすることは当たり前でした。
手伝いのために学業を疎かにする程でした。
しかし、一億総中流と言われ、受験戦争が激化する中、子どもは家のことはせず、勉強さえすれば良いという風潮が主流になってきました。
確かに昭和までのように学業を疎かにするのも問題ですが、かと言って、全く手伝いをしないというのも行き過ぎだと思います。
我が家では、子どもに毎日洗濯物をたたんでもらうことにしています。難しいことではありません。洗濯物をたたむという家事ぐらいなら大きな負担にはならないでしょう。
小さなことでも良いから家事を子どもにも分担させることにより、家事への参加を自覚させ、家族の一員であることを意識することができると思います。
家族である以上、家事は家族全員で分担するのです。
①~③について、子どもの頃から学ぶことによって、異性を思いやる気持ちが芽生え、社会人となって、やがて家庭を持った時に活かされるだろうと思います。
何をどの段階(年齢)でどれくらい時間をかけて教えるかは、今後の課題ですが、家族学を進めることによって、日本もアイスランドのようにジェンダー先進国に仲間入りできると確信しています。
私は子どもが産まれてから、父親とはどうあるべきか、どうやったら円満な家庭が築けるかをずっと考えてきました。
今回、映画「<主婦>の学校」で、主婦の学校の存在を知ったことをきっかけにして、家庭での家族の役割について、最近こんな「家族学」なる学術領域を勝手に夢想しています。