麗(うるわ)しの配達員 -3ページ目

洗足 その8

初めての配達を終え、朝食を済ませた僕はちょっと町を見てまわろうと思った。




正直、田舎者な僕は駅前商店街というものにちょっと憧れをもっていたのだ。




東急目黒線『西小山』




ここが僕の暮らすこととなる町だ。




駅前には八百屋や肉屋や魚屋そしてラーメン屋、パチンコ店等がありとってもいい雰囲気であった。




意外なのはそんなに大きな町ではないのだが、小さな飲み屋、焼き鳥屋がかなりの数あった。




あと美容院。




こんなに必要あるのかと思う程、美容院が乱立していた。




ちなみに販売店の横も美容院であった。




ちょっと見て周った感じは、新しい建物より古臭い感じの建物が多い町だなと思った。




とても落ち着いていて、田舎者の僕としては生活しやすそうで、ちょっと嬉しくなってしまった。




散歩から帰った僕は、夕刊の配達まで少し時間があったので、部屋で軽く眠ることにした。




洗足 その7

新聞配達初日は、三井くんと一緒になった。




出勤時間は朝の3時。




コンビニで深夜勤務の経験があったので、さほど苦労することなく起きることが出来た。




「おはようございま~す」




「おはようございます。えっと今日はとりあえず後ろで見てて下さい。いきなり全部教えることは出来ないんで。」




「はい、わかりました。」




僕は言われるがままに、三井くんの作業を見学した。




まずは届いたばかりの新聞に折り込み広告を入れる作業をしているようだった。




初めて見る作業なので、どのような仕組みになっているのかよく分からなかったが、とりあえず準備が終わったらしく、バイクに新聞を積み始めた。




「バイクには乗れる?」




「はい、高校時代に乗っていたんで。」




とは言ったものの、スーパーカブにはものすごくクセがあり、運転に慣れるのにはかなり時間が掛かった。




配達の初日は、三井くんの後に付いていくのに必死で、どこをどう走ったのかさっぱりわからずに終わってしまった。




ただ、これから自分が暮らす町を見てまわるのは、とても楽しくワクワクしたのだった。




洗足 その6

続いて桂田さん




年令は1つ上なのだが、見た目はとても1つ上には見ない。




元々トラック運転手などをしていたらしく、40過ぎでも十分通用する見た目だ。




販売店には先週入ったばかりらしく、まだまだ新人であった。




次は三井くん




年令は2コ下で、僕と同じく新聞奨学生だ。




絵本作家を目指して勉強しているらしく、昼間は専門学校へ通っていた。




次は大島さん




年令は2コ上で、僕と入れ替わりで新聞奨学生を卒業することになる。




なので、一緒に仕事をしたのは一週間程度だが、引き継ぎなどで最初の頃は一緒にいる時間が多かった。




ぶっちゃけかなり変わり者で、一緒にいた期間は短かったのだがとても記憶に残る人物の一人であった。




次は大村さん




年令は30半ばで見た目は優しそうに見えるのだが…




いままで会ったことのある人間の中で、ここまで腐った奴がいるのかと思う程の最低野郎。




詳しい経緯についてはまた後ほど語りたいと思う。




最後がまかないを作ってくれる佐藤さん。




子供が一人いるのだが、旦那さんは随分前に亡くなってしまったようだった。




いつも明るく、僕らは『おばちゃん』と呼んでいた。




ちなみに口癖は「ちょっと、あんた!」である(笑)。