図書館で取り置きを予約していた佐藤愛子サンの「思い出の屑籠」の順番が、やっと回って来た。
今度は、お知らせメールもちゃんと届いた。当たり前だけど。
昨年11月10日に発行された初版本である。なんだか可愛げのない女の子の写真が表紙になっている。これが幼い頃の愛子サンか。なるほど。
本を開くと、大きな活字が使ってある。愛子サンが100歳を前にして書いた本だが、読者も年寄りばかりという訳でもなかろうに。
内容は、愛子サンがヨチヨチ歩きだった頃から小学校時代までの思い出話である。
幼い頃の愛子サンは、佐藤紅緑の末娘として裕福な暮らしをしていた。
愛子サンは、父親には溺愛されていたが、母親には冷たくされていたらしい。何しろ佐藤家の血縁関係は、訳ありなのである。
結論:これは、棺桶に半分足を突っ込んだおばあちゃんが、思い出すまま書き散らした、本人曰く「絞り切ったダシ殻」、まさに屑籠のような本である。
愛子サンは、何かあるとすぐに泣き出す感受性の強い子であった。後年の男まさりの強気な言動は、その裏返しであろう。
愛子サンの記憶力の確かさは、驚くべきものがある。幼少時から作家の眼を持っていたのだろう。
これは、恐らく、佐藤愛子ファンにとっては、楽しい本であろう。ワタシは、そうでもなかったけど。
次の読者のために、早く返そうね。
おしまい。