再会(後篇) | 極楽ブログPart2

極楽ブログPart2

世の中に寝るより楽はなかりけり浮世の馬鹿が起きて働く(「母の教へ給ひし歌」なのです)

「脚を骨折しちゃって、治るまで髭を伸ばしてるんですよ」

「あら、主人も足を捻挫しましたよ」

「今、どこにお住まいですか?」

「熊本です。息子に車で連れて来て貰いました」


などと話していたら、向こうからご主人が、ひょこひょこ歩いて来た。エビハラ先生である。


「お久し振りです」


「懐かしい」を連発する2人と話していたら、今度は、愛想の良い髪の薄いオジサンが現れた。


「ケンスケです」

「えぇっ!ケンスケくん⁈」


驚いた。ケンスケくんは、半世紀前、トモさんに抱かれて、大学へ出勤するお父さんに手を振っていた。可愛い赤ちゃんだったんだよね。


そうそう。


ワタシは、エビハラ先生の電気工学の講義を受けたんだ。ワタシにしては珍しく真面目に勉強し、試験では、優を貰った。


Safuroの「息子は、ちゃんとやっていますか?」という問いに対し、先生は「いい成績でしたよ」と答えていたっけ。余計なことを訊くんじゃないよ。


そんな話は、しなかった。


それから。


お互い写真を撮りあった。先生から名刺を貰ったので、後でメールしよう。


途中でケンスケくんは、車のところに引き揚げ。どこに置いたのかな。


ひとしきり昔話をして、ときわ公園に行くという2人に分かれを告げ、門まで帰って来たら、先に車を降りていたTukoが出て来た。


「随分遅かったわね」

「エビハラ先生に出会ったんだ」

「まあ、挨拶しときましょう」


エビハラ先生のことは、Tukoに話したことがあるので、大体のことはわかっている筈。後はTukoに任せて、引き揚げた。


後で、Tukoが言うには。


「本当に品のいい夫婦ねえ。あんな風にならなきゃ。上がって貰えばよかったんだけど」


目下わが家の応接間は、腕白な孫2号が怪我をしないように、テーブルを片付けていて、お客をもてなすようになっていないのだ。


「アナタ、ああいう人たちと付き合いなさい」

「はいはい」


(おしまい)