さようなら中村メイコさん | 極楽ブログPart2

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世の中に寝るより楽はなかりけり浮世の馬鹿が起きて働く(「母の教へ給ひし歌」なのです)

中村メイコさんの歌声を初めて知ったのは、「田舎のバス」だった。小学校に入る前だったと思う。




改めて聴いてみると、結構難しいメロディを達者に歌っているねえ。大したもんです。


メイコさんのお父さんは、中村正常サンという作家で、実にユニークな教育をメイコさんに施したという。例えば・・・


「お父さん、夕焼けってどうして赤くなるの?」

「それはね、お空が恥ずかしがってるんだよ」


こうして純粋培養され、世間知らずに育ったメイコさんは、当時雑誌編集者だった吉行淳之介サンに失恋し、作曲家の神津善行サンと結婚した。


神津サンは、大きな心でメイコさんを見守り、その頓珍漢さを面白がっていた。父Safuroもそんなところがあったな。


中村メイコ作詞、神津善行作曲のこの歌は、2人の仲睦まじさが現れている。梵天丸もかくありたい。




メイコさんの2人の娘、カンナさんとはづきさんは、義務教育を受けていない。両親にはそれなりの考えがあったんだろうけど、これは、如何なものかと思ったな。


5月に生まれたから五月(メイコさんの本名)、10月に生まれたからカンナ、8月に生まれたからはづき。この一族の命名は、なんともユニークというか安易だよね。


メイコさんは、七色の声の持ち主と言われた。その片鱗を示す歌は、コレ。




新年のTV番組で、枡酒が振る舞われたことがある。金井克子サンなど、真っ赤になって眼を充血させて、「ノーチェ・デ・東京」を歌っていたが、メイコさんは、顔色ひとつ変えず、飲み干した枡を次々に積み重ねていた。酒豪だったんだよね。




メイコさんは、市民教養講座の講師として、わが田舎を訪れたことがある。その時、たまたまホテルの玄関から出て来るメイコさんと遭遇した。メイコさんは、「このホテルは、いつ出来たんですか?」などと質問していたっけ。


ともあれ、天衣無縫の一生であった。


さようなら、中村メイコさん。