北海道の地名には大きく分けて2種類あります。
1つは元々付いていた名前、もう一つは後から付けた名前です。
「そんなの当たり前だろ(--;)」って言われそうですが、突き詰めて考えてみると意外と奥が深いんです。
ご存知の通り、北海道の先住民はアイヌ民族です。ですから、「元々付いていた名前」とはアイヌ人による呼び名=「発音」です。
何といってもアイヌ人は文字を持たない民族ですから、彼らの言葉は先祖代々口頭で伝承される発音のみです。
その発音に、和人が漢字を当てはめてきたというカラクリです。
月寒という地名も、アイヌ語の「チ・キサ・プ」(我々が擦るもの)または「チ・ケシ・サプ」(丘のはずれの下り坂)ではないかと言われています。
もう1つの「後から付けた名前」とは、北海道開拓の為に本州から乗り込んできた入植者の皆さんが、自分たちの故郷に因んで付けた名称です。
例えば札幌近郊のベッドダウン「北広島市」は広島県から集団移民が行われた際に命名された名前です。
オランダ人がアメリカのマンハッタン島に入植した際に故郷のアムステルダムに因んでニューアムステルダムと命名したのと同じですね(その後、イギリス人が支配し、ニューヨークと命名。当時のイングランド国王ジェームズ2世=ヨーク公に因んだもの。ヨーク公はイングランドの都市ヨーク市に由来)
月寒の住居表示には、月寒中央通・月寒東・月寒西の3種類があります。アイヌ語由来の「月寒」に後から中央通・東・西を付け足したということで、まぁ所謂ハイブリッド地名ということになりますね。
余談になりますが、アイヌ語由来の地名って実は北海道の専売特許ではありません。
例えば、大御所時代の徳川家康のお膝元であった静岡に今も昔も豊富な海の幸をもたらしてきた「駿河湾」。
このスルガという名前も実は元々アイヌ語です。スルガとはアイヌ語で天国とか楽園の意味だそうですが、この地域は昔から豊かな土地で狩猟民族であるアイヌ人にとってはまさに天国のような場所だったことから、このように呼ばれたのでしょうね