「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
人件費が高い店舗ほど、皮肉な現象が起きています。忙しい時間帯ほど人が余り、逆にヒマな時間帯ほど人が足りない。この状態は偶然ではなく、ほぼ100%「配置設計の失敗」が原因です。そしてこのズレを修正できるのは、店長以外に存在しません。配置は現場で起きている出来事であり、その最終責任者は常に店長だからです。
多くの現場では、シフト作成が気合いや根性論になりがちです。人が足りないからとりあえず増やす、クレームが出たから不安で厚くする、欠勤が出るのが怖いから常に多めに入れる。こうした判断は一見正しそうに見えて、結果として人件費率の悪化を招きます。シフトとは感情で組むものではなく、数字で設計するものです。
シフト設計で必要なのは、売上予測、人時売上、適正配置、この3つの理解です。まず、その日の売上はいくらを想定しているのか。次に、1人1時間あたりいくら売れるオペレーションなのか。そして、その売上を達成するために、何人が、どの時間帯に必要なのか。この3点が揃った瞬間、店長の目線は「人を入れる」から「人を設計する」に変わります。
例えば同じ50時間の労働時間でも、5人が10時間働くのと、10人が5時間ずつ働くのでは、オペレーションの質も売上もまったく別物になります。大切なのは、ピークタイムにどれだけ労働時間を集中できているかです。ピークに薄く、ヒマな時間に厚い配置ほど、人件費が高く感じられる店舗はありません。
また、アルバイトの希望シフトをそのまま組み合わせただけのシフトは、経営的にはシフトとは呼べません。まず先に「お店として実現したい理想のシフト」を描き、そこに人を当てはめていく。この順番を間違えた瞬間に、配置は必ず崩れます。
配置の改善は、数あるマネジメント施策の中でも即効性が最も高い分野です。明日からでも数字は変わります。人件費に悩んでいるときほど、採用より先に、シフト設計を疑ってみてください。人件費率は、現場の配置設計の鏡です。店長の設計力が、そのまま利益に直結しているのです。
