「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
飲食店の現場では、毎日のように大小さまざまな問題が発生します。クレーム、欠勤、仕込みミス、発注ミス、機器トラブル。現場に立っていれば、問題がゼロになる日はまずありません。だからこそ店長に求められるのは、問題をなくすことではなく、「問題への向き合い方」です。ここで最初に区別すべきなのが「処理」と「解決」の違いです。
処理とは、その場を収めるための応急対応です。欠勤が出たから自分が穴を埋める、クレームが出たから謝って終わらせる、発注ミスが出たから慌てて他店から融通する。これらはすべて必要な行動ですが、あくまで火消しにすぎません。原因に手を付けなければ、同じ問題は必ず形を変えて再発します。
一方、解決とは「二度と起こさない仕組みをつくること」です。なぜ欠勤が起きたのか、なぜ発注ミスが起きたのか、なぜクレームにつながったのか。その背景を掘り下げ、誰がやっても同じ結果になるようにルール化し、基準として残すこと。これこそが本当の意味での問題解決です。
ルールは現場の失敗、事故、トラブルといった過去の経験から生まれた、企業にとっての知恵の結晶です。問題が起きた瞬間は、実は最大の改善チャンスでもあります。その出来事を感情論で終わらせず、言語化し、基準化し、全店舗に共有する。この積み重ねが、組織を静かに、しかし確実に強くしていきます。
問題を放置すれば、現場は混乱し、品質や安全は揺らぎ、やがて信頼を失います。逆に、問題のたびに仕組みを一つずつ積み上げていく店舗は、トラブルが起きるほどに強くなっていきます。問題は必ず起きる。その前提に立ったうえで、「処理で終わらせず、仕組みで再発を防ぐ」。これが、強い飲食店の店長に共通する姿勢です。
