「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。
年末は年間で最も客単価を上げやすい特別な月です。忘年会、会食、家族利用など来店動機が強く、価格に対する心理的ハードルも下がるため、単価アップ施策が最も成果につながりやすいタイミングといえます。コース料理への誘導、ワインリストの上位ランクの提案、スペシャルデザートの追加、限定メニューの投入など、普段は通りにくい提案も、この時期は自然に受け入れられやすくなります。12月は売上を取りにいく月であり、遠慮は不要です。
同時に、グルメサイトやGoogleマップ、SNSの閲覧数が一気に伸びるのも年末の特徴です。お店を探す人が爆発的に増えるこの時期に、写真が古い、紹介文が弱い、メニュー情報が不足していると、それだけで大きな機会損失になります。料理写真の入れ替え、コース内容の見せ方、予約導線の整備など、オンライン上の第一印象を磨き上げることが、年末集客の土台になります。
一方で、年末年始は仕入れ価格が高騰する時期でもあります。いくら、リブロース、カニ、和牛など需要が集中する食材は、仕入れの遅れが即売上ロスにつながります。早めの数量確保と同時に、原価上昇を前提にした価格見直しも不可欠です。売れるからこそ、原価管理を緩めるのではなく、むしろ神経質なほどに管理精度を高める必要があります。
さらに最重要課題が人材です。どれだけ需要があっても、人が足りなければ売上は取りこぼします。年末は体力的にも精神的にも負荷が高まるため、直前のシフト調整では間に合いません。11月の段階で早期交渉と個別面談を行い、出勤率の安定、掛け持ちの調整、体調管理まで含めて準備することが不可欠です。人が最大の販促であり、最大のボトルネックでもあります。
12月は売る月。そのために11月は準備の月です。メニュー、価格、写真、仕入れ、人員、販促、すべてを前倒しで整え、現場が販売に集中できる環境をつくることが、年末商戦を制する唯一の方法です。準備の質が、そのまま最高月商に直結します。
