「飲食店経営をマネジメントとマーケティングの力で加速させる」NEXT5コンサルティングの雑賀です。

12月の繁忙期が近づくと、多くの店舗は集客施策や単価アップ、販促企画など攻めの準備に意識が向きがちになります。しかし、本当に結果を左右するのは、ネガティブストーリー、つまり最悪の想定をどれだけ事前に潰しておけるかという視点です。年末は通常月とは比較にならないほど、想定外のトラブルが発生しやすい時期です。当日欠勤、機器トラブル、漏電、発注ミス、納品遅延、交通トラブル、体調不良の連鎖など、どれか一つ起きるだけでも現場は一気に不安定になります。

このときに最も危険なのが、起きてから考えるという姿勢です。繁忙期は考える時間そのものがなく、判断の遅れがそのまま売上ロスやクレーム、離職につながります。だからこそ12月に入る前の段階で、もし起きたらどう動くかまで決め切っておくことが重要になります。

例えば、店長不在時の緊急連絡網は誰が最終判断者になるのか、当日欠勤が出た場合に誰に連絡するのか、どのポジションを最優先で埋めるのかを事前に決めておく必要があります。発注ミスや納品遅延が起きた場合に備えて、代替できるスタンバイ商品を決めておく、仕入れルートを複線化しておく、冷凍ストックを戦略的に持っておくことも有効です。機器トラブルに関しても、業者の緊急連絡先がすぐに出てくる状態なのか、応急対応は誰ができるのかまで落とし込んでおかなければ意味がありません。

また、こうした行動基準は店長だけが知っていれば良いものではありません。副店長、時間帯責任者、アルバイトリーダーまで共有されて初めて機能します。誰が見ても同じ判断ができる状態にしておくことが、繁忙期の混乱を防ぐ最大のポイントです。

準備とは、良い未来をつくることではなく、悪い未来を起こさないことです。ネガティブストーリーを一つひとつ潰しておくことで、トラブルが起きても売上を落とさず、現場の混乱も最小限で食い止めることができます。12月の結果は、当日の頑張りではなく、11月までにどれだけ最悪を想定したかで決まります。準備の質こそが、最高月商を取れるかどうかを決定づける最大の要因なのです。