『BLACK BOOK ジェフリー・エプスタインはなぜ「消された」のか?』(マイケ
ル・サノ』読了。
一時期、SNS上でかなりの注目を集めたエプスタイン事件も、(少なくとも日本の)
旧メディアで取り上げられることはほとんど無く、SNS上でも徐々に取り扱われる
ことが少なくなっている。
ただ、結局、あれはなんだったのだろうという疑問は心に残っており、真相を知る
ことが出来れば良いなと思っていたところ、本屋で同書を見かけて購入した。
洋書のようなペーパーバックのような装丁と、表紙の下に小さく印刷された苫米地
英人の写真と「インテリジェンス界の表裏に精通する、マイケル・サノの分析に
刮目せよ!」とのコメントに若干のうさん臭さを感じるが、まあ気にするまい。あと、
版元がサイゾーということも、まあ気にするまい。
などと揶揄するような書き出しになってしまったが、この本は、とても面白かった。
エプスタイン事件に多少でも関心を持っている人は、手に取って損は無いと思う。
本書の内容は大まかには前後半に分かれており、前半(1~8章)ではエプスタイン
を中心に作られた情報収集「システム」について語られ、後半(9~14章)では、
エプスタインの残した情報が、アメリカの政策を中心に、世界にどのような影響を
与えているかが語られている。
オレとしては、前半が特に面白く、思わず成程と感心することが多かった。後半も
興味深い内容ではあったが、ちょっと無理のある考察だと思う箇所も多かった。
オレがエプスタイン事件を知った時にまず感じた疑問が、「こんなことが個人レベル
で起こせるのだろうか」「個人では難しいとした場合、誰が仕掛けたのだろうか」と
いう疑問だった。
エプスタインの情報収集システム(エプスタイン島やロリータエクスプレスと呼ば
れるプライベートジェットなどのインフラと、王室・政財界とのネットワーク、餌
となる少女を集める仕組み)を構築するに大きく寄与したのがレスリー・ウェクス
ナーとロバート・マクスウェルとの関係であることは、海外のニュースまたはSNS
の発信でも取り上げている。そこから、この事件の背景には「特定の国家」がある
のではと想像していたが、本書では、この点が深堀されており面白かった。
ただ、エプスタインのターゲットが広範囲に広がっており、それぞれの利害関係を
考えると、単純に上記の「特定の国家」だけが関わっているのなら、辻褄が合わな
いところも出てくる。複合的な存在が背景にあるのかと考えると、所謂ディープス
テート的なものが浮かび上がるのだが、これについては想像に過ぎず、興味深いが
解答の出ない問題なのだろう。