●政府や霞が関の中央官庁は、野党や国民から証拠書類の提出を要求されると、決まつて肝心な部分を「黒塗り」にしたペーパーを出してくる。
一面「黒塗り」だから視覚的に印象が悪く、何かを隠蔽してゐる感じが一層濃くなる。
黒塗りではなく、青塗りや黄塗りにすれば、いまの塗料はコピーして下の文字が透けることはないから、少しは「悪の隠蔽」のイメージが和らぐだらうに。
●オーストラリアで「黒い白鳥」が発見されたのを機に、それまで当たり前とされてきた常識が覆されることを「ブラックスワン現象」と呼ぶ。
日本でもし「白いカラス」が発見されたら、ネコの目を突いたり家庭ゴミを道に食ひ散らかして、やたら人間にとつて迷惑で、いいところのない不良な鳥といふ常識が覆され、カラスほど華麗な集団乱舞を見せ、人と親密に生活する美しい鳥はゐないといふことになるかもしれない。
●刑事が犯人の動かぬ証拠を握つたとき、「やつぱりアイツはクロだ」とつぶやく。
なぜ「アカだ」とか「アオだ」ではいけないのか。犯行の証明が成立したのなら、むしろ「アカだ」といふはうが的確な気がする。
●事情をよく承知してゐる人をクロウト、あまり知らない人のことをシロウトと呼ぶのは、実は反対ではないか。
白日の下のごとく事情を弁へてゐる人を「シロ」ウト、その事象に暗い人のことを「クロ」ウトと呼ぶはうが適当ではないか。
●大きな犯罪の背後にゐる男(あるいは女)を「黒幕」と呼ぶ。
なぜ「黒幕」なのか。「白幕」でも「灰色幕」でもいいし、もし女性ならば「赤幕」だつていいではないか。
●夜、飲み屋街で働くボーイたちは、俗に「黒服」と称されるやうに、毎日毎日、宵の口から深夜まで黒い服を着てゐるが、あれは何日同じ服を着ても黒がいちばん汚れが目立たないせゐだらう。
ただし、ファッションにウルサイ女性たちに言はせると、実は黒ほど汚れが目立つ色はないといふ声もある。
●弔事である葬式も、祝事の結婚披露宴も、社会に認知されたファッションが同じ「黒服」なのは、昼に葬式に出て、夜に結婚披露パーティーに出なければならない超多忙人間がネクタイだけを替へれば済むからではないか。
