ヒット商品を作れ! | 今、私が考えていること

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毎日の出来事を、新聞やネット上の記事からピックアップして、私なりの意見などを書き綴ります。

経済の基本的な話ですが、儲けを生み出す仕組みはどうなっているのかということ。そもそも商品を売らなくては始まらない。売れれば代金が入る。しかしそれが全部儲けになるのかというとそういうわけではない。メーカーならば商品の製造原価を回収しなくてはならないから、その分を差し引いた残りが利益となる。小売店では仕入れに掛かった原価を差し引く。そういう仕組みだから、利益を上げるためにはどうすればいいのかというと、まず一つは売り上げを増やすこと。これは量的に増やすことで「大繁盛」を意味する。もう一つは原価を削減すること。原材料費を安くしたり、電気代や人件費などのコストを削減することである程度は可能。バブル崩壊以降に日本の企業が取り組んだのがこれ。特に人件費の削減のためにリストラという大義名分のもと多くの従業員を解雇してきた。この方法は売り上げが伸びなくても一定の利益を確保できる点だが、やり過ぎると従業員の負担が重くなり、その影響で製造事故や製品の品質低下などを引き起こす。しかし日本ではこういう経営を30年以上もの間ずっとやってきた。

 

ところがここにきてコロナ禍とウクライナ戦争などの影響から世界的な資源不足から原材料費が値上がりしました。その後コロナがワクチンで鎮静化し景気が戻ったアメリカでインフレが進行し、FRBはインフレ抑制のために金利を大きく引き上げた。それが日米の金利差拡大を招き、円売りドル買いがすすんだために著しい円安が進行した。その結果、日本では物価が高騰。人手不足で人件費も高騰し製造コストが著しく増大したため儲けが激減している。大手企業は海外での売り上げで儲けているのでそれほど影響を受けていないようだが、国内販売の比重が高い企業や小売店は経営が厳しくなっている。

 

そこで次に問題になってきたのが日本の低すぎる賃金水準の問題だ。以前は物価が上がらなかった、むしろデフレで物価が下落していたから賃金が上がらなくても消費者が困ることはなかった。しかし今度は劇的に物価が上昇し始めたから消費者は困るようになった。メーカーは背に腹を変えられず価格を引き上げるなら、その分賃金も引き上げなくては購買力が低下してしまう。

しかし賃金を払う企業が経営難なので賃上げにも限度がある。

 

そこで3つ目の儲けを増やす方法は、ヒット商品を作ることだ。これはもちろん売り上げが量的に増えることを意味するが、同時にヒットの理由が新しいニーズを喚起したことにある。儲けというのは消費者の立場から言うと、満足感である。これが欲しいと思うのは、それを手に入れたらうれしいと思うからです。それが大きいと利益を多めにして価格を設定できる。例えば値引きはしなくても飛ぶように売れるのだ。かつて日本にはそういう画期的な商品が次々と生れていた。しかしここのところ新製品はほとんど見ない。これは企業が研究開発に力を注がずに、保守的な経営に終始しているからだ。そんな経営では会社全体に錆が出てきてしまい、新たに取り組もうとしても動けない。リストラした熟練従業員の穴を埋める若い人材は確保しているのか? 

 

これからでも遅くない。日本の企業は内部留保を使い果たし、借金してでも世界的なヒット商品を開発すべきだ。国は授業料の無償化に金を使うより、新しい技術の研究開発に資金を投ずる方が日本の未来に効く。若い人を人材として育てることから始めないといけないかもしれない。