最初から主人公が大人だったことから、ドラマの本題がすぐに始まり、そのまま楽しく見ることができました。そしてあっという間に半年がたってしまったという感じです。最終回を見終えて、感想文を書こうと思っているのですが、不思議なことに何を書こうかと悩んでしまいました。
それはたぶん、後半に入ってから、いろんな社会事件や差別の問題を次々と取り上げて、まるでオムニバスのような話の展開になってから、見る側の立場が難しくなったことに原因があります。
私はその変化に違和感を覚えてしまい、脚本家が好きなように書いているのではないかと思いました。しかし昨日、名古屋から新幹線で帰ってくる車中、一人で考えていてあることに気づいたのです。「これは寅子だけが主人公じゃないんだ」と。前半は寅子に焦点が当たっていますが、後半は寅子とその仲間たちみんなの活躍を描いている。つまり群像を描いていると。
最後の最高裁の判決は寅子ではなくよねさんの活躍だし、その前の原爆の裁判も轟とよねさんらで、寅子ではない。事件の中身ではなく、その問題に取り組んだ人たちの勇気ある群像が描かれている。
日本の戦後の社会と法曹界の歴史を描くうえで大事なことだったのだと思います。そう考えるとこのドラマは単に寅子の生きざまだけを描いているんじゃなくて、寅子を通してその周りの人々の生きざまをドラマにしていたのかと思いました。
よいドラマを見させてもらいました。
