石破新総裁が誕生したことで、金融市場は円高、株安に反応した。つまり嫌気を示したと言うわけだ。それをメディアは「石破ショック」と呼んでいる。石破氏は法人税の引き上げとか。金融所得課税の強化など財界や金融市場に対して厳しい政策を打ち出すものと言われているため、歓迎されていないようです。
そりゃそうです。高市氏とはそこが決定的に違う。高市氏は安倍派の後継者ですから、アベノミクスを受け継いでいく方針。それはつまり金融緩和であり、企業優先であり、株価押上第一という考え方です。この方針は本来決して間違っていない。しかしアベノミクスの歴史を振り返ると、そのとおりにやってきたにもかかわらず日本の景気は一つも回復しなかった。
石破氏が「そろそろアベノミクスの評価を下すべきだ」と言っているのはそういう意味です。アベノミクスと言う経済政策は、金利をゼロに固定し、利率0%の国債を乱発して日銀に引き受けさせる、それによって市中にお金をじゃぶじゃぶに放出して景気回復を図った。さらに加えて法人税を大幅に下げた。しかし、その結果企業は空前の大利益を確保したにもかかわらず、賃金と雇用は増やさなかった。下請けの中小企業にも厳しい価格引き下げの要求を出し続けた。これでは景気が回復するはずがない。
しかし企業の業績が良いから株価はどんどん上がった。バブル時の日経平均株価を超えて4万円台に上がった。これでアベノミクスは成功したと言いたいようだけど、国民の消費は低迷したままで、円安による物価高が追い打ちをかけている。
私はアベノミクスは失敗だったと思う。なぜ失敗したかと言うと、企業の行動をコントロールできなかったからだ。日本人の生活を豊かにしてくれない企業の法人税は見直したほうがいい。
故安倍首相は財界の要人に集まってもらい、「賃金を引き上げてほしい」と頭を下げていたが、あんな惨めな姿は国民に見せてほしくない。結局、安倍さんは企業に裏切られたのだ。この傾向は今も変わっていない、高市氏がもし総理になっていたとしても、今度は高市氏が頭を下げることになる。総理大臣が財界に頭を下げてお願いするのは止めてほしい。
お掛けで日銀は560兆円近い国債の山が出来ている。この状態で長期金利が上がると国債の市場価格が下落するので、日銀は債務超過に陥る。つまり赤字会社になる。日銀は民間企業ではないから赤字になっても倒産するわけではないが、日本の中央銀行としての信用力、つまり円の信用力は低下することは避けられない。
そうなると海外勢は円を手放す。それは円安を加速する。その場合は160円とかいう程度ではなく1000円とか2000円という水準での円安も想定しないといけない。
それにもかかわらず日銀は金利の引き上げをすると言っているのはなぜか? それは日本の金融市場が10年以上も続けた「異次元の金融緩和策」によって正常な市場機能を失っており、日本経済そものが大きなリスクにさらされているから、その状態を一刻も早く直さなくてはいけないと日銀は認識しているからである。
このような状況で、高市氏が言う「日本をもう一度てっぺんにもっていきます」という公約は何を根拠にしているのか不明です。
アベノミクスを継続したらもっと事態は深刻になる。
こういうことを考えたら、今回は石破氏にバトンを渡すべきだと私は思うのです。しかしかなり困難です。
