ゴルフと私の複雑な関係(3) ゴルフ場建設の裏話 | 今、私が考えていること

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毎日の出来事を、新聞やネット上の記事からピックアップして、私なりの意見などを書き綴ります。

このころになると日本はバブル崩壊による大不景気に突入し、あちこちで「不良債権問題」が発生して大きな社会問題になりました。大蔵省(金融庁の前身)銀行検査に当たって、非常に厳しい資産査定を行っていましたので、銀行としてはなんとか不良債権を積み上げないようにあの手この手を使って対応に奔走していました。

 

例えば、まだ造成中のゴルフ場はどうするのか? 開業していないゴルフ場は単なる田舎の不動産ですから、融資した債権金額に見合う価値はありません。ですから途中で放り出したら多額の融資額が不良債権となってしまいます。

 

銀行の経営層は、仕方ないので造成を継続するという判断になりました。とにかく完成させて開業させてから相当の価格で売却する以外に道は無いとゴルフ場開発会社は言うので銀行もそれを吞まざるを得ませんでした。

 

その結果、私が担当した茨城県のゴルフ場は完成までに約30億円以上もの資金を費やし、ようやく開業にこぎつけました。なぜこんなに莫大な資金がかかったのかというと、一つにはコースの設計をした設計士の拘りが酷く、芝や植栽に異常に金がかかったこと。クラブハウスが御殿のような造りだったこと。そしてもう一つは用地の買収に想定外の資金が必要だったことが挙げられます。

 

土地と言ってもほとんどが田畑か山林です。地価が高いわけではありません。土地の所有者の言い値で買い取っていたから高くついたのです。例えば16番ホールのグリーンのそばに養鶏場があって匂いがするから養鶏場の立ち退き費用を払って立ち退いてもらうとか、娘が結婚するのでお金が掛かるから高く買ってくれとか、とにかくめちゃくちゃな状態でした。私はゴルフ場会社の社長を呼んで、この点を見直してほしいと指摘しました。こんなやり方をしていたら建設コストが膨らんでしまい、開業後の採算が取れなくなると。しかし結局30億円近いお金が掛かってしまいました。こんなもの高すぎて売れないですよ。だからしばらくそのまま経営していましたが、結局赤字で倒産してしまいました。

 

私は当時の経営層のやり方には反対でした、これだったら途中で中断して損切りした方が損害が少なかった。わざわざ不良債権を積み上げるのはアホだと。

 

そんなことがあった後、私は日本の会社でハワイにゴルフ場を作っている案件があり、その現地視察を兼ねてハワイに調査に行きました。

(つづく)