私の趣味遍歴(旅と地理)その17 近畿編 滋賀県② | 今、私が考えていること

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毎日の出来事を、新聞やネット上の記事からピックアップして、私なりの意見などを書き綴ります。

(前回からの続編)

明日の朝まで車は動かない?!さあ、困りました。この寒さと不便さの中で1人で車中泊なんてとんでもない❗️ガソリンが切れたら凍死してしまいます。私は全身から一気に血の気が引きました。この時の気持ちは経験してみないと分からないと思います。よく冬になると豪雪で道路に足止めされている車のニュースを見る事がありますが、私にはこういう体験があるので、特別な感情を持って見てしまいます。


とにかく私は多賀サービスエリアまでは行かねばなりません。もう日が暮れてきました、ますます気持ちが焦ります。あともう少しなんです、数百メートル。その時閃きました、路肩を走らせてもらおう。私のクルマはスタッドレスタイヤなので積雪には強い。周りの車に断って路肩に出た私はそのまま路肩を徐行して何とか多賀サービスエリアに辿り着く事が出来ました。


サービスエリアはオアシスでした。ここにはトイレはもちろん、食堂もあるし、暖かい休憩所もある、そしてなによりたくさんの人がいて賑やかです。しかしその時の私にはそんなことよりも大事なミッションがありました。脱出です。この高速道路という閉ざされた空間から脱出しなくては何も解決しません。


案内所を探して係の人に尋ねました。私はこの雪で立ち往生してしまったので、とりあえず車を置いて最寄りの駅まで行きたいのだと。すると従業員用の通用出入り口を教えてくれました。


因みに、ここのサービスエリアから車ごと一般道に降りることは出来ないのか?と聞いたら、それは管理局の許可がないと出来ないから無理だと言われました。


車には鍵を掛けて、私は荷物を持って脱出しました。サービスエリアの外に出ると、夜ということもあり静かです。雪が音を吸収するからです。しかし積雪が半端じゃない。月は出ていませんが、雪明かりのお陰で周りがうっすら見通せます。民家はまばらで駅はまだ遠いと思いました。私は膝あたりまである深い積雪をかき分けて進みました。もはや革靴が濡れるとか、ズボンが濡れるとかどうでもいい。早く駅に行かなくは!終電になったら最悪だ!


多賀大社はイザナギとイザナミが祀られている由緒ある神社です。「お多賀さん」の名で親しまれている古くからの大神社です。国歌「君が代」の歌詞にある「さざれ石」が境内にあります。私は夏頃に来たことがあります。参道のお店で売られている名物「糸切り餅」が有名で、これが本当に美味しい。生物なので日持ちしないため、遠方へのお土産に向かないのが残念です。


近江鉄道の多賀大社前駅は彦根駅から分岐している多賀大社線の終点です。本線と接続する高宮駅までとの間のピストン運転と米原まで直通運転の2種類がありますが、この日は米原まで行かなくては意味がありません。私は新幹線で新大阪まで帰るのですから。


やっとの思いで多賀大社前駅にたどり着いた私はとりあえず時刻表を確認しました。ちょっと前に高宮行きが出たばかりで、次は20時28分の米原行きまで30分ぐらい待たなくてはならない。駅の建物は大きいのですが夜なので無人駅になってます。乗り降りする客もいませんから、駅には私1人です。寒いので自販機で缶コーヒーを買って暖を取ります。何だか侘しいなあ!なんでこんな目に遭わなくてはならないんだ、と恨めしく思いました。でもまあここで電車に乗れば大阪に帰れる。その望みが私を支えていました。


幸いな事に近江鉄道は通常運行なので助かりました。米原までは約30分。暖房の効いた車内でやっと生きた心地が戻りました。米原からは新幹線で新大阪まで約30分。新大阪駅には22時過ぎに着きました。無事にその日のうちに帰れたのが何よりでした。もう2度とこんな経験はしたくない。

ということで、私はこう決めました。1人での雪道の高速道路は避ける。なぜならば、途中で引き返す事が出来ないし、トイレや食料調達、ガソリン給油も不自由だから下手をすると命に関わる恐れがある。今回の様に、自分が準備万全でも他人の引き起こしたトラブルに巻き込まれる恐れがあります。


最後になりましたが、このトラブルを無事に乗り越えられたのはレンタカーのお店の方のアドバイスのおかげです。日産レンタカー草津駅前店の方々には改めて御礼を申し上げます。


あの時、多賀サービスエリアに車を置いて帰ってくださいと言って頂かなかったら、私は雪の降る高速道路で一晩明かしていたでしょう。多分体調を崩したかもしれません。翌日レンタカーのお店の方には私が乗り捨てた車の回収に行って頂きました。仕事とはいえ、私は大変助かりました。滋賀の人は本当に親切です。それと、お多賀さんが守って下さったのかもしれません。

続く