三重県は私にとっては最後の実家のあったところです。私の両親は既に他界してしまい、今はもう実家はありません。というわけで、たまに仕事で三重に行くことはありますが、実家に立ち寄ることはありません。しかし私は三重県で小学校6年から高校3年まで過ごしており、私の青春時代は三重県(四日市)でした。
私たち一家が父の仕事の関係で長野県から三重県に引っ越してきた当時(昭和44年)は公害のピークでした。「四日市ぜんそく」といって、石油化学コンビナートから排出される亜硫酸ガスなどの工場排煙による大気汚染や、車の排気ガスが原因の光化学スモッグが大きな社会問題でした。
今から思うと本当に酷い時代でした。光化学スモッグ注意報が出ると外出禁止! 学校では校庭に出てはいけないと注意されました。またクラスメートでコンビナートに近い地区に住んていた友達は四日市ぜんそくで苦しみ、学校を休まなくてはならない日もしばしばでした。
それでも中学、高校を経て東京の大学に進学するまでの7年間をここで過ごしました。私はお陰様で元気に暮らしたのですが、母はやはりぜんそくに悩まされたため、一家は鈴鹿山脈のふもとの町に家を建てて引っ越しました。それが最後の実家です。
湯の山温泉といって古くからある温泉地で、御在所岳ロープウェイで鈴鹿の山の上に登れることから、近隣からの観光客が多く集まるところです。確かフーテンの寅さんのシリーズにも登場しました。
四日市は名古屋から近鉄で約40分と近いのですが、なぜか関西弁の町です。つまり文化的には大阪の影響を強く受けています。たとえば、毎週土曜日と日曜日のお昼には吉本新喜劇の番組が流れます。名古屋は名古屋弁なのに、木曽川を超えて南に下ると関西弁なんです。私もすっかり関西弁になりました。
三重県は伊勢神宮や鳥羽、賢島など日本を代表するような観光地が沢山あります。それらの説明は省きますが、ひとつだけアドバイスさせていただくと、三重県内の鉄道路線は圧倒的に近鉄です。JRも走っていますが、利便性では比較になりません。最近は豪華なリゾート型特急も走らせていますが、近鉄には昔からビスタカーという二階建ての特急電車が普通に走っていました。
【ひのとり】
【懐かしい近鉄ビスターカー】
それから是非お勧めしたいのが、鳥羽にある鳥羽水族館と「ミキモト真珠島」のパールです。日本で初めて真珠の養殖に成功した御木本幸吉は鳥羽の人で、ここにその記念館があります。真珠(アコヤ)貝を獲る海女さんの実演なんかも見られます。もちろん真珠のネックレス加工の作業なども見学できます。
食べ物と言えばまず最初に思いつくのは「松阪牛」でしょうね。ブランド物の牛肉の草分けで、松阪市に本店がある老舗「和田金」は有名です。和田金以外にも三重県には他に美味しい店はたくさんあります。是非ご賞味ください。
そしてなんといっても伊勢志摩、鳥羽の海の幸ですね。
はまち、伊勢海老、牡蛎、あわび・・・
新鮮さが違いますし、産地ならではの価格で食べられます。
賢島にある高級リゾートホテル「志摩観光ホテル」の「あわびのステーキ」は人気があります。
お菓子と言えば「赤福餅」でしょうね。♬伊勢ーの名物ー赤福餅はええじゃないかー♬というコマーシャルで有名です。
もし伊勢神宮に行かれたら、五十鈴川に掛かる宇治橋の近くにある赤福餅のお店に立ち寄ってみてください。野点風に抹茶と一緒に赤福餅を食べられます。
最後に一つ申し上げますと、四日市ぜんそくなどの原因となった大気汚染は現在ではありません。公害防止設備が整ったのと、石油化学コンビナートそのものが衰退したことも原因です。その代わりコンビナートの夜景がきれいだと言うことで、Instagramの「映える写真撮影スポット」として有名なのだそうです。面白いですね。
次回から近畿編です。