円ドルの為替レートが1ドル153円台に下がりました。既に円安に慣れているためか、さほど驚かなくなってしまいましたが、この円安水準は34年ぶりの「大円安」だとのこと。
しかし円安が進むということは日本にとって良いわけはない。通貨としての「円」の価値が下がるのですから、我々の大切な預金の価値がどんどん下がっていくからです。つまり我々日本人の金融資産がどんどん減少していくからです。
そこで我々日本人が今すぐにやらねばいけないことは、日本の価値を高めることです。日本の企業が世界的に画期的な技術や製品を開発することで、日本への投資を呼び込むようにすることが必要です。
この失われた30年間に政府はいろんな景気政策を実行した。それにもかかわらず経済が回復しなかったのは、大企業にも責任があると思います。大企業はリスクを恐れて何も新しいことに手を出さず、リストラの大義名分をかざしてコスト削減にばかり終始し、見せかけの利益で決算の数字を良くして株価を上げる経営をし続けてきた。その結果、雇用は縮小し、賃金は上がらず、減量経営の果てに、ここへ来て人手不足という致命的な事態を引き起こしている。
政府は企業の経営再建のためと称して、国民の大反対を押し切って消費税を10%に引き上げて法人税減税をしたことが、結果的には大企業の何もしない経営を支える結果となってしまった。
大企業はあえてリスクを取って、今すぐにでも新しい製品の開発に力を入れるべきです。同時に必要な人材を確保し、従業員を大事にし、賃金をもっと上げるべきです。企業の売り上げを支えているのは個人消費です。それは経済の基本概念です。賃金を挙げれば、生産性も上がり、個人消費も上がり、その結果企業も潤うのです。
これまで大企業がやってきたことは、中国やアメリカなどの海外での旺盛な個人消費で売り上げを伸ばし、国内では人員削減、賃金抑制でコストを削って利益を増やしてきた。このやり方では国内は絶対に景気回復しない。しかし製品や技術開発の面で後れを取ってしまい、海外競争力が低下しているのも事実。このままでは海外での売り上げも伸びなくなる。
台湾の世界的に有名な半導体メーカーTSMCが熊本に工場を立てて日本人従業員を雇用しています。高い賃金を払うので、工場周辺の物価が高騰しているらしいです。
それはともかく、こういう形で日本はアジアなどの海外企業の下請け生産拠点になっていくのでしょうか? 半導体はかつては日本が世界一の技術とシェアを誇っていましたが、開発を放棄してしまい今では世界に太刀打ちできる技術水準にはありません。
こういうのを「凋落」というのではないでしょうか。恥ずかしいことです。大企業の経営者は恥ずかしいと思わないのでしょうか。大企業が凋落しているから、その下請けをしている中小企業はもっと苦しい。
先日銀行員の退職増の話を書きましたが、同じことはメーカーなどの大企業でも起きています。優秀な人材は日本の大企業を見捨てていきます。
じゃあ、その代わりに外国人を雇えばいいと思うかもしれませんが、そこには致命的な問題があります。一つは語学の壁。英語が話せる日本人が少ないので外国人を思うように管理、指導できない。日本の大企業が海外の企業を買収してもその多くの場合で失敗して撤退を余儀なくされるのは結局ここに問題があるからです。だから日本の英語教育は間違っていると私は思います。日本人の英会話教育は会話学校に任せるのではなく、義務教育の段階から教育目標とすべきなのです。
二つ目は、海外の生活習慣を理解していないこと。特に宗教を知らないことは大変な欠陥です。日本人は冠婚葬祭用の宗教しか知りません。しかし外国人は日々の生活習慣が宗教の教えに基づいて営まれています。これを無視すれば反発されるのは当然です。
アメリカに国賓として招かれて、気分を良くして帰国した岸田総理に、私は是非一言言いたい。
「あなたは何のために、誰のために総理大臣を務めているのか? 次期選挙対策のことばかり考えていないで、自民党内の綱紀粛正を徹底し、財政改革と企業活動活性化策を実施しろ! 」と。
どうみても、今の政権は財界に舐められている。傀儡政権みたいなものだ。
