私は映画「エイリアン」シリーズが大好きです。なんといっても1979年の第1作「エイリアン」は
恐ろしいとか怖いという感想をはるかに超越して、途方もない未知との遭遇に言葉を失くしました。
その後は2作目から4作目はどちらかと言うと化け物としてのエイリアンを描いた娯楽作品が続き、正直いってマンネリ化の感が否めませんでした。
しかし2012年の5作目「プロメテウス」で一気に目が覚めました。ご覧になった方はご存じですが、冒頭に白いマッチョな人間のような宇宙人のような者が大きな滝の上に立ち、何やら器から飲み込んだと思ったら、全身の細胞がバラバラになって滝の中に落ち、DNAが分解していくという、衝撃的なシーンが描かれています。
この5作目と、それに続く6作目の「コベナント」は、エイリアンがいかにして誕生したのか、言わばエイリアン誕生の経緯を描いているのですが、その内容が実にユニークなのです。なぜかと言うと、人間はダーウィンの進化論に基づいて誕生したのでは無いこと前提としているからです。
だから既にその時点でSFなのでしょうが、実は世界中でダーウィンの進化論を全国民が信じている国は日本ぐらいで、欧米ではキリスト教徒を中心にダーウィンの進化論を信じようとはしない人が多いそうです。アメリカでは大統領選でダーウィンの進化論の信者だと言うと落選してしまうとも言われています。
言われてみれば一理あります。魚から両生類、爬虫類を経て哺乳類に進化し、猿から類人猿、そして人間に進化したという説は「そうなんだ」と思うのですが、しかし魚も両生類も爬虫類も猿も進化して消えていったわけではない、まだ今でも元気に生きています。実際に進化の過程を証明するものは無いのです。魚や蛙が人間の祖先だというのは、ちょっと理解がし難いですよね。
映画「プロメテウス」の中では、「エンジニア」と呼ばれる異星人が太古の昔に宇宙船で地球にやって来て、人間を地球に繁殖させた。エンジニアは、いわば神のような存在として描かれていて、彼らは宇宙の遥かなたに存在している。エイリアンもエンジニアが作り出した生き物。宇宙一狂暴な生物であり全ての破滅を司る。つまりエンジニアは「生物の誕生と破滅」の両方を行使できる唯一無二の宇宙の創造主ということになる。
こういう発想が実にユニークで面白いと思うのです。凄い映画だと思います。
