つれづれログ -17ページ目

つれづれログ

色々な事を徒然なるままに書いていこうと思います

バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫)/入間 人間
¥599
Amazon.co.jp

僕の夢は小説家だ。
そのための努力もしてるし、誰よりもその思いは強い。
お話をつくることを覚えた子供の頃のあの日から、
僕には小説しかなかった。
けれど僕は天才じゃなかった。
小説家になりたくて、でも夢が迷子になりそうで。
苦悩する僕のもとにやってきたのは、全裸のバカだった。
大学の新歓コンパ。
そこにバカが全裸でやってきた。
そしてこれが僕の夢を叶えるきっかけになった。
こんなこと、誰が想像できた?
現実は、僕の夢である『小説家』が描く物語よりも奇妙だった。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

まず最初に入間人間さん、あんたの勝ちだ。
どうしても第一章を読み返さない訳にはいかなかった…。
そして面白かったよ。

最近連作短編ばかり読んでいる気がするけど、この作品もそう。

小説家になりたい僕。
その友人(?)で全裸のバカ。
うだつの上がらない小説家。
死んでも小説家である事をやめない女性。

それぞれ色々な立場で小説を作る人達。
作品を生み出す気持ちも人それぞれ。

読書感想文なんかで、原稿用紙5枚を埋めるだけでも苦労したと
いうのに壮大な世界を作る事のできる作家さんは凄い!

出産を鼻の穴からスイカ出す位の苦労だと例えられたりするけれど、
無から有を生み出す創作活動もそれに匹敵する作業なんだろう。

と共に、作中の売れっ子作家である甲斐抄子が言っていたように
自分の内面をさらす、つまり全裸をさらすような行為でもある。

そんな事を仕事にできる作家さん、とても真似できる事じゃない。
僕は読み手で十分です、ハイ。

最終章で明かされる事実。
本当に驚愕した!
なにー!って感じ。

それまで疎結合だった各章が、一気に密な結合になるというか。
割と淡々と読み進めていたんだけど、最後にいきなり頭を
叩かれた感じ。

猿の惑星で自由の女神が登場した時に似た衝撃だったw
ネタバレ上等方針のこのブログでも一応伏せておく事にしよう。

事実は小説より奇なりとはよく言ったものではあるけど、小説だって
奇なものは奇だし、ドラマチックだ。

これからも才能溢れる作家さん達が晒す全裸の作品を
たくさん堪能していきたい。
チルドレン (講談社文庫)/伊坂 幸太郎
¥620
Amazon.co.jp

「俺たちは奇跡を起こすんだ」独自の正義感を持ち、
いつも周囲を自分のペースに引き込むが、なぜか憎めない男、陣内。
彼を中心にして起こる不思議な事件の数々―。
何気ない日常に起こった五つの物語が、一つになったとき、
予想もしない奇跡が降り注ぐ。
ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

あらすじにある「陣内」大活躍の連作短編。

時系列も主人公も各エピソードでバラバラになっている本作。

陣内については各エピソードで、それぞれの主人公からの
目線で描かれる。
主人公は友人であったり、職場の後輩であったり。

これまで読んだ伊坂作品の中でもかなり個性的な彼。

屁理屈では向かうところ敵無し。
言っている事の一貫性が皆無。
時に突拍子も無い行動に出る。

う~ん、友達として欲しいような、そうで無いような…。

でもハッとさせられるような良い事を、たまに言うのが陣内。
それを否定するような正反対のセリフも出てきたりするのだけどw

彼に振り回される周囲の人達がかわいそうでもあるけれど、
どこかうらやましくもある、そんなお話。

最後のシーンのダメ親父への熊パンチ、かなり面白い絵だろうなw

解説で紹介されていた伊坂作品のファンサイト「無重力ピエロ」の
作品間リンクは面白かった。

過去の作品の人物が登場する情報がまとめてあります。
伊坂さんファンは一見の価値あり。
俺のコンビニ (メディアワークス文庫)/峰月 皓
¥578
Amazon.co.jp

東京暮らしに挫折して、故郷へと舞い戻った青年、牧水良平。
実家の小さな商店を手伝うわけでもなく、悶々とした日々を送っていた。
そんな彼が一念発起!
人口の少ない田舎町で、コンビニを起ち上げようと決意する。
当然のごとく次から次へと難題が降りかかってきて、若き店長は
行き詰まるのだが―。
いつも立ち寄るコンビニの裏でも、こんなドラマが
繰り広げられているのだろうか!?
何事にもへこたれず、前へ進んでいく青年を描いた、
元気の出る爽やか青春小説。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

コンビニ立ち上げの悲喜こもごもを描いた作品。

店長は大学を卒業したばかりの青年、牧水良平。
コンビニでのバイト経験は豊富で優秀な店員。

王手の競合コンビニが同時期に立ち上がるという事で、色々な苦労が
発生する。

シュミレーションゲーム「ザ・コンビニ」を思い出した。
単調であまり面白かった記憶が無いけれども…。

オープニングスタッフがベテランフリーターが1人と高校生4人だけと
いうのがとにかく苦しい。

それでも高校生達は研修を頑張って、自らの苦手分野を克服し、
チームワークを築いていく。

なかでも万引きグセ(精神障害のため、悪意は全く無し)のある純は
問題児であり、研修も一筋縄ではいかなかった。

しかしバイト仲間の瑠美や主人公の良平のサポートもあり、
人として、店員として着実に成長していく。

土壇場で思わぬ(伏線は張られていたけど)ハプニングもあったが、
皆が力を合わせて店を立ち上げていくのはいい感じだった。

コンビニって何気なく利用しているけど、バイトがやる仕事って
色々あって思ったより大変そうだなと思った。

業績の不振を扱ったニュースや閉店になった店舗を見ていると
コンビニ業界も苦しい事が分かる。

まぁ、定価での販売とか弁当の種類とか、僕自身も不満が結構
あるのは確か。

とはいえ、やっぱり便利なコンビニ。
今度行く時は店員さんの動きにもちょっと注目してみようかな。