- バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫)/入間 人間
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僕の夢は小説家だ。
そのための努力もしてるし、誰よりもその思いは強い。
お話をつくることを覚えた子供の頃のあの日から、
僕には小説しかなかった。
けれど僕は天才じゃなかった。
小説家になりたくて、でも夢が迷子になりそうで。
苦悩する僕のもとにやってきたのは、全裸のバカだった。
大学の新歓コンパ。
そこにバカが全裸でやってきた。
そしてこれが僕の夢を叶えるきっかけになった。
こんなこと、誰が想像できた?
現実は、僕の夢である『小説家』が描く物語よりも奇妙だった。
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まず最初に入間人間さん、あんたの勝ちだ。
どうしても第一章を読み返さない訳にはいかなかった…。
そして面白かったよ。
最近連作短編ばかり読んでいる気がするけど、この作品もそう。
小説家になりたい僕。
その友人(?)で全裸のバカ。
うだつの上がらない小説家。
死んでも小説家である事をやめない女性。
それぞれ色々な立場で小説を作る人達。
作品を生み出す気持ちも人それぞれ。
読書感想文なんかで、原稿用紙5枚を埋めるだけでも苦労したと
いうのに壮大な世界を作る事のできる作家さんは凄い!
出産を鼻の穴からスイカ出す位の苦労だと例えられたりするけれど、
無から有を生み出す創作活動もそれに匹敵する作業なんだろう。
と共に、作中の売れっ子作家である甲斐抄子が言っていたように
自分の内面をさらす、つまり全裸をさらすような行為でもある。
そんな事を仕事にできる作家さん、とても真似できる事じゃない。
僕は読み手で十分です、ハイ。
最終章で明かされる事実。
本当に驚愕した!
なにー!って感じ。
それまで疎結合だった各章が、一気に密な結合になるというか。
割と淡々と読み進めていたんだけど、最後にいきなり頭を
叩かれた感じ。
猿の惑星で自由の女神が登場した時に似た衝撃だったw
ネタバレ上等方針のこのブログでも一応伏せておく事にしよう。
事実は小説より奇なりとはよく言ったものではあるけど、小説だって
奇なものは奇だし、ドラマチックだ。
これからも才能溢れる作家さん達が晒す全裸の作品を
たくさん堪能していきたい。