中井貴一 出演映画 ベスト10
1 キネマの天地
当時は映画にも興味がなくなんとなく観ていたこの映画ですが、いろんな映画を見た後に松竹の撮影所を舞台にしたこの映画を観ると、映画に対する大きな愛が感じられてくるのです。特に渥美清演じる主人公有森也実(これがまた初々しい!)の父親の気持ちがとっても優しい!戦前当時に娘を女優にするということは、たいへんな思いのはずなのですが、それを健気に一生懸命心配し応援している姿は、可愛らしいとさえ思えてきます。そのほか監督から裏方から映画館主から皆が皆映画が好きで仕方ないという愛に満ち溢れ、さすが当時の松竹が全力を注ぎ込んだだけのことはあります。キャストも凄いですね。当時はまったく気づきませんでした。まだ演技では拙い有森ですが、周りにこれでもかというほどの芸達者を集め、映画の中でも実際でも新人の彼女を支えているのです。この映画、こんないい映画だったのかと、今回観て初めて認識されました。中井貴一は助監督役。
2 RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語
丁寧に描かれた好感の持てる作品です。この映画に背中を押されて、実際に仕事を変えてしまう人も、一人以上は必ず発生するのではないでしょうか。それだけ主人公(中井貴一)の決断には説得力がありましたし、嫉妬さえ感じる生き方でもありました。現実的には経済的なこともありますので、そう簡単にはいかないとは思いますが、好きでもない仕事を嫌々毎日こなしている身にとっては、刺激にはなりましたね。作品としても奇をてらわない、そして急がない、腰を据えた演出が心地よく、キャストも堅実派を揃え、全体としてのまとまりも良かったのではないでしょうか。
3 麒麟の翼~劇場版・新参者~
原作が東野圭吾ということで、組立もそつがなく、安心して観ることが出来ましたし、最初から最後まで全く飽きることもありませんでした。それでいて東野らしく、現代的な孤独の中にある人と人の絆も事件の謎解きと交差するように盛り込まれ、ドラマとしてもきちんと鑑賞できるものにもなっています。キャストもチョイ役まで含めてなかなかの豪華メンバー。ベテランから売出し中の若手までバランスよく配置され、そのあたりも手堅さを感じました。中井貴一はいきなり殺されてしまう役どころ。
4 映画女優
実在の大女優田中絹代の役を演じることは吉永にとっては思い切った挑戦であったことでしょう。不世出の先輩女優を熱演しているのが光ります。同時に日本の映画史もなぞり観られたようで、興味深い作品でもありました。中井貴一はここでも助監督を演じています。
5 ザ・マジックアワー
さすがうまいなぁというのが感想です。今回は「勘違いコメディ」ということで、言葉のあやや、動作の二面性を巧みに利用した脚本はさすが三谷監督といったところです。技が先立ってしまった分、爆笑という場面はあまりなかったのですが、くすくすニヤニヤしながらの鑑賞は、まずは期待通りといったところでしょうか。特に最初の港での取引現場の場面は秀逸で。事情を知らない登場人物たちを、すべて事情を知っているわれわれ観客が見ている優越感の上に成り立つ笑いを上手に引き出し、まさに面目躍如でした。ただし前半に比べ後半はややテンポダウン。ギャグよりも人情がらみのエピソードに重心が移ったこともあるかもしれません。ただ、映画に対する愛情のようなものがあちこちにあふれていて、その点では観ていて心地よかったです。まあ、全体としては無難にまとめあげた感じで、三谷ブランドの信用性はやはり確かなものであったということですね。中井貴一は映画の中のスター俳優役で出演。
6 アゲイン 28年目の甲子園
中井貴一主演。原作が重松清ということで、誰にも分かりやすい人間ドラマが丁寧に描かれていました。ベタといってしまえばそれまでなのですが、離婚により娘と疎遠になってしまった父親としての思いと、高校時代に思わぬことで中途断念せざるを得なくなった甲子園への思い、そして死んだ友へのわだかまり、そういった要素が繋がり合って、観ている者がどこかに共感できるような話になっていたのではないでしょうか。どこか人生の停滞感に襲われる年代の人々に、まだまだ続く人生へのリセットのチャンスはあるのだと背中を押してくれるような作品でした。
7 亡国のイージス
豪華キャストはなかなかの壮観。とっちらかってしまった部分はないではなく、やや説明不足に感じる部分はありますが、全体としては面白く見られました。それぞれ別の立場に立った人間たちが任務を全うするために、ぎりぎりの選択を緊張感の中で何をどうしていくべきか、戦っている様子が熱く伝わってきました。最後は日本的な人情がらみのシーンが戦いを左右しはじめ、緊迫の中でじれったさを感じます。それでも娯楽作品として邦画の中ではという注釈つきながら頑張っていると思いましたし、この荒っぽさが力に感じるのです。中井貴一は特殊工作員役。
8 燃ゆるとき
とにかく飾り気の全くないくそまじめな映画ですが、内容は分かりやすいし、ストーリーの無駄もなく、余計な演出も省き、ストレートに伝えたいことを描こうという姿勢は感じました。遠回りがないので、退屈しないし、観ている時間はあっという間に過ぎていきます。大衆に観せる映画であるならば、もう少し色をつけてもいいのにとは思いましたが、実直な姿勢は良い意味で呆れるほどです。配役も奇を衒ったキャストが一切なく正攻法そのもの。ビジネスにおいても欧米企業のドライで割り切った経営スタイルが可とされつつある現代に敢えて逆行するように、情と和を大事にする日本的な企業スタイルの良さを前面に押し出してきています。その意味ではかえって新鮮さはあります。どこかNHK的な匂いがしますし、テレビドラマ的でもあるのですが、けっして悪くもつまらなくなもないしっかりした作品であることは確かです。主人公の営業マンを中井貴一が演じています。
9 記憶にございません!
中井貴一主演。ひどい総理大臣時代の悪態をもっと観たかったというのが本音で、すっかりいい人になってしまった総理大臣の姿は、コメディとしてはやはり面白くなく、面白いのはやはり悪態。そこにもう少し時間を取ってくれた方が、笑える作品になったのではないでしょうか。心を入れ替え、政治にも家族にも真摯に向き合う姿は、どちらかというと感動の方向に行ってしまうので、コメディとしては緩く感じてしまいます。しかも草刈演じる官房長官を除くと、登場人物の多くが、改心していい人になってしまうので、ちょっと物足りなく思ってしまうのです。
10 グッドモーニングショー
ワイドショーで扱うニュースの順番や企画などがどうやって決まっていくのか、番組の裏側を見られたというのがまず面白かったのと、思い込みの激しい勘違いキャスターを演じた長澤まさみがいい味を出していて、特に前半は笑わせてもらいました。ただ人質と澄田との交渉が始まってからは、どこか人情ものの方に走ってしまっていて、笑いの要素は激減。オチもこれといってつかず、なんとなく終わってしまったような形はちょっと残念でした。それでもフジテレビらしい賑やかなキャストと混乱した現場の描写は、気楽に楽しむには充分なものでした。
11 愛を乞う人
12 国士無双
13 日本の黒い夏 冤罪
14 落下する夕方
15 ビルマの竪琴
16 どろろ
17 男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎
18 鳳凰 わが愛
19 壬生義士伝
20 世にも奇妙な物語・映画の特別編