●失踪・行方不明映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

失踪・行方不明映画 ベスト10

 

突然居なくなってしまった人。

謎を探ったり、隠された背景が明かされたり。

このテーマには面白い作品が揃っています。

 

1 ゴーン・ガール

とんでもないこの上ない悪女の悪行をヒリヒリとするような緊張感の中で描き切ったデヴィッド・フィンチャーの巧みな演出と構成。得意の分野になるとは思いますが、最後まで目が離せずとにかくスクリーンに釘付けでした。面白かったです。マスコミに囲まれた中で上げられたり下げられたりする主人公、さらには警察にも被害者扱いから加害者扱い、そしてまた被害者になったりと、周りに翻弄つれ続けるのですが、それでも精神バランスを崩して狂気に走ったりしない、いい意味での鈍さはベン・アフレックがぴったりとはまります。そしてすべての元凶である失踪妻を演じるロザムンド・パイクもまたはまり役。夫をはめるつもりの予定が思わぬ横槍に会い方向転換、さらにそこで頼った男がとても自分の支配下に置けるような人間でないと判断すると、さらに計画の練り直し。まだましな夫を使って身の安全を確保。そんな妻をとんでもない悪女と認識しながらも、これまた逃げられないように仕向けられる夫。さんざん振り回された挙句に、結局は妻の思うままに転がされ続けなければならない人生。最後はゾクッとしました。

 ゴーンガール

 

2 チェンジリング

さすがイーストウッド、きちんとした良作を作ってきます、実話だけに説得力がありますし、腐敗しきった警察の体制を露にし、時代は変えても、もしかして今の時代にも通じているものがあるのかもしれません。実際にこのようなことが当時行われていたとすると、それは実に恐ろしいことです。アンジェリーナ・ジョリーがやせこけて疲弊したヒロインを熱演。面白かったです。

チェンジリング 

 

3 ホワイト・ライズ

凝っていて、時折視点軸と時間軸の境目が分からなくなるのは難点ですが、全体としては斬新なラブ・ミステリーに仕上がっていて面白かったです。根底には恋愛ストーリーがあるのですが、展開の主軸は恋人の失踪を追う謎解きミステリー。それらが次第に融合していき、ラストシーンは感動さえ覚えます。最後までお人よしの友人役のマシュー・リラードの存在も、恋する想いから嘘を重ねながらも最後は自分の罪を白状してしまうアレックス役のローズ・バーンも、それぞれが切ない。だからこそ人を愛する思いが伝わってきて、単なる謎解きだけに終わらないラブ・ストーリーに酔ってしまうのでありました。

 ホワイトライズ

 

4 彼女が消えた浜辺

終始緊張感を緩めることのない見事な集団心理ドラマを、ミステリー調の味付けで、娯楽作品としての要素も十分に備えたものに仕上げています。一人の女性が行方不明になったことをきっかけに、様々な事実が少しずつ明かされていく中、ストレスがピークにたまった人々の思惑が交錯し、実にスリリングともいえる心理戦が繰り広げられるのです。怒りを感情のままにぶつけるもの、なんとか嘘で乗り切ろうと策を講じるもの、自分のしたことに対する責任で押しつぶされそうになっている者、まさに他人事でなんとかその場を逃げたいと思っている者、とにかく自分には責任はないと人を責めてばかりいる者…。刻々と状況が変わっていく中でのこの描写は、観ている者をひきつけて離さないには十分でした。そしてエリを演じた女優さん、これが恐ろしく奇麗なのですよね。

彼女が消えた浜辺 

 

5 台北に舞う雪

チェン・ボーリン演じるモウ青年の徹底した「いい人」ぶりが見事にはまっていて、静かではかないラブ・ストーリーとして好感を持ちました。失踪して見知らぬ町にやってきた新人歌手という、いかにも何かが始まりますといったような設定ですし、そのあとの展開も、この設定から創造できるど真ん中のストーリー展開。しかしながら、すべてのことを受け止めるような主人公の包容力の中に、観ている方まで包まれてしまったようなそんな感覚に陥ってしまいました。都会の真ん中から外れ、人々の人情がまだ残るそんな町の雰囲気が、癒してくれるようでもあり、ついつい優しいムードに引き込まれてしまったのです。そんな中で描かれる、本来なら会うはずのない別々の世界で生きる二人。いつかは戻らないといけない、戻さないといけないとお互いに理解していながらも、離れがたい気持ちが日ごとに増していき、戻るタイミングについても、周りが探してくれるのに任せているような、自分で決めたくないようなメイ。その時がついにきたときのモウの心の内がとても切なく響いてきました。タイトルのつけかたも情緒的で、作品自体の印象にも貢献していたように思います。とても好きな映画でした。

台北に舞う雪 

 

6 ジャンプ

恋人が行方不明になるミステリー調の前半から、最後は人間の生き方まで問うような展開の中、特に運命というものを強く感じさせられる物語でありました。偶然が重なったことで、帰宅しないまま出掛けることになった恋人、その重なり方は来るべき結末のための運命だったのか、最後に達観したようにそのことを悟る主人公に、5年半の間の成長をうかがえます。よくよく考えると、連絡ひとつできなかったのかとも思える部分はあるのですが、謎解きをするように観る者をひきつけていく構成は、行き着くところがやや意外なところであったにしろ、なかなか上手でした。

 

 

7 アズミ・ハルコは行方不明

ラストシーンを観るまで、時間軸のずれがよく分かっていませんでしたが、それを観て納得、腑に堕ちました。実際にはかなり空白の時間があって、観ている方はそれを埋めていかなければならないという作業があり、かなり想像に任される部分は多いです。原作はまた違った流れの用で、映画用にかなり組み替えているようですが、小さい町で冴えない暮らしを続ける安曇春子の息苦しさは充分に分かりましたし、失踪するのも仕方ないとは思います。一方で別の大きな街へと旅立っていく思い切りもないようで、安曇に限らずその同級生たちも、羽ばたけずに、うだつの上がらない日々に彷徨っている様子もまた、痛いものがあります。正社員でなくアルバイトで過ごす同級生の男、結婚してもすぐ出戻りしてきた同級生のキャバ嬢、認知症の親をもてあまし怒鳴り続ける母親、小さい会社で安月給で働き続けるOL、そのOLを陰でからかうことしかできないセクハラ社長…。一方でそのうっぷんを集団暴行という形や、落書きというもので紛らわす若者たちもいて、日常の鬱屈感をちまちま貯め続けるか、爆発させるのか、いずれにせよ健康的でないこの街の人々の様子が、物悲しくもおかしさを誘うのでした。

 

 

8 僕等がいた 後篇

回想形式で懐かしさを誘う構成や映像は、大いなる前振りである前篇を生かしたものになっていて、自然にドラマに引き込まれていきました。一途に思い続けながら平静を装う女の強がりが痛いほど伝わってくるだけに、自分の意図に反して思わぬ運命に巻き込まれていく男を観ていると、観ている方までも切なさでいっぱいになりそうでした。ただ一点残念なのは、3人の心のうちの描き方のバランスの悪さ。高橋、竹内の思いと言うものは、それぞれ丁寧に描かれていて、二人がどう思って過ごし、決断してきたかということは手に取るように分かるのですが、矢野の本心というものの描き方がいまひとつ見えてきません。おそらく敢えて表現していない部分だとは思いますが、序盤には矢野主観の描き方になっている部分もあるわけなので、彼の高橋に対する本心や、ままならない苦悩も伝わるように描いてもよかったのではないでしょうか。ラストがやや唐突で、そこに至る変化の過程がもう少し見えていたら、もっとグッとくるラブストーリーになったと思うと、少し残念でした。

 

 

9 ミレニアム ドラコン・タトゥーの女 

ボリューム感もたっぷりな作品。ミステリーにサイコスリラー的な要素、さらには心理ドラマも盛り込んで、見ごたえとスリルのある作品になっていました。ヒロインの鼻ピアスはどうも好きになれませんが、先の見えない展開は最後までわくわくさせてくれました。

 

 

10 蛇のひと

上司の失踪というミステリアスなところから始まるドラマは、やがて失踪した課長の謎の人格と背景がクローズアップされていくという展開で最後まで興味が尽きません。西島秀俊がミステリアスで正体不明の男をリアルに演じていたのが光ります。

 

 

11 隠された日記   母たち、娘たち 

12 ミシシッピー・バーニング

13 ナイロビの蜂

14 ミッシング

15 ジュリエッタ

16 ゼロの焦点

17 誰も知らない

18 パリ、テキサス

19 火車 HELPLESS

20 コールガール

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