●松本若菜 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

松本若菜 出演映画 ベスト10

 

映画によく出るようになったのは30歳近くになってからと、

遅咲きの女優さん。

死んでしまうことが多いみたいです。

 

1 愚行録

ずしりと重くてボリュームのある原作を、すっきりと2時間に分かりやすくまとめたという印象です。次第に明らかになっていく被害者家族の過去の愚行、彼らに関わった人々の愚行、その中で驚きの事実がまた明らかになっていく展開は、ミステリー映画の体裁もきちんと整え、作品として楽しむことが出来ました。事件とは直接的には関係ないと思っていた妻夫木聡演じる雑誌記者ですが、彼の抱えるものが次第に見えていくにつれ、果たしてどこまで知っていて、この事件の取材に取り組んでいたのか、そのあたりの別の謎が生まれだしたりして、心理ドラマとしても面白く観られました。そのあたりを掴むには、もう一度観る必要があるかもしれませんね。とにかく登場人物の皆が、利己心や思惑、野心、羨望といった良く言えば人間らしい感情を抱え、それが愚行へと導いていき、それが交差することで事件が起きていく、そんな連鎖が興味深かったです。冒頭に惨殺される一家の奥さんという悲惨な役柄の若菜さん。

 

 

2 ピンカートンに会いに行く

個性的な5人のおばさんたちを観ていると、アイドルとしてはやはり売れなかっただろうなとは思ってしまいます。40歳近くなっている5人。3人の子供に囲まれ賑やかに暮らしている一人、思春期の反抗期の娘に手を焼いている一人、芸能界の仕事に未練を残している二人、そして相変わらず優柔不断な一人。独身3人、既婚者3人、個性の強い5人ですから、遅かれ早かれぶつかったであろうことも想像がつきます。我が強く、自分の非をなかなか認めないメインのリーダーキャラはとくに強烈。ライブを行った後の周囲の反応も少し観てみたかったですが、最後の居酒屋での疲れてた黙り込んだ中でも、トイレに立った一人のお皿を取り返すシーンが、ひそかにおも白かったです。一番人気の元メンバーが松本若菜。

 

 

3 キセキ あの日のソビト

有名な音楽グループを題材に描いたということで、ある意味有名な話を映画にするという点で苦労はあったことが想像されます。大学受験勉強の中での進路変更、兄の挫折と方向転換、そして父親との確執といった、デビュー以前のエピソードに重きを置いた構成となっており、そのあたりはやや意外でした。音楽というものをあまりに低く遊びとしか思わない父親の態度は、観ていてかなり不快ではありましたし、その父親にすべて反発し自分の夢を追いかけ続けながらも時代に要求される音楽を作れず挫折した兄にも複雑な気持ちを抱いたのも事実です。一方で親の意向を受け入れながらも、音楽での名声も手に入れた弟は、ある意味器用に要領よく生きているなとも感じました。音楽を続けながら歯科医もしているということは周知の事実でありますし、実は本当に知りたかったのは、顔を隠して音楽を続けながら、歯科医をちゃんとしている、そのバランスのとり方、どう生活しているのか、間我からは気づかれていないのか、そんなところを実は興味本位で知りたかったなあという思いがあったので、多少拍子抜けの部分はなくもないですが、青春音楽映画はなかなかはずれが少なく、そういった意味ではこの映画でも音楽の力は十分に実感することが出来ました。若菜さんはラジオ・パーソナリティの役。

 

 

4 原宿デニール

オチはなくても良かったように思いますが、原宿に集まる現代の風俗感が現れた、個性的な作品になっていたと思います。スカウトされたい女、警官ながらも不倫をする一方で、地味な格好から抜け出せない女。友人と一緒に居て声をかけられずその悔しさをスカウト業に生かす男。パンストのデニールを当てて声をかける韓国人。なんとなくへんてこりんな彼らも実はまじめに悩んで生きている。そんな現代人賛歌ともとれるのではないでしょうか。松本若菜はスカウトされる女性の役で出演。

 

 

5 コーヒーが冷めないうちに

タイムスリップとそれにかかわる特異なルールをうまく活用して、ややトリッキーなラストのオチに持ってきたというところですね。一つ一つのエピソードは恋愛だったり、夫婦愛だったり、姉妹愛だったり、過去に戻り相手の本意を知ることで、これからの未来を変えることに繋げるというど真ん中の人間ドラマですが、そこにSFチックな技を使って、オリジナリティを出し、こうして映画にもなったということで、まあよく考えたなというのが正直なところ。ただただお涙頂戴の感動ドラマだけではないところで、逆に素直に観られたような気がしました。松本若菜さん、交通事故死する旅館の姉妹の妹役。

 

 

6 ペコロスの母に会いに行く

認知症を患ったお父さんお母さんを抱えて日々苦闘している多くの人々に対し、少し目線を変えて気持ちを楽にしてくれるような作品ではないでしょうか。分からないことが増え、家族からも理解できない独自の世界に入り込んでしまうことが多くなる中ですが、当人側に立場を変えて考えてみると、死んでしまったはずの家族や友人に会えたり、若いころの気持ちに戻って再び青春を味わったりと、そう悪いことばかりじゃないと。認知症を扱う映画は、どちらかという介護する側の大変さにスポットを当てたり、或いはどうそれを受け入れていくかをテーマにしたりということが多い中、実は患者本人側の目線を大きく扱っているという点で、それまでのものとは違う独自性を感じました。松本若菜はグループホームの職員を演じています。

 

 

7 惡の華

青春映画の体をとっていますが、ターゲットは中学生高校生というよりも、大人の方が共感しやすいのかもしれません。今どきないであろうブルマでの授業から始まるあたりは、一昔前の設定なのでしょうか。スマホでなくガラケーでしたし。露骨にエロを意識したブルマのシーンは、いきなり井口昇らしさ全開といったところで、そこからの展開は驚きの連続。自分の中に潜んでいる変態性を持て余してどうしていいかわからなくなってしまっている女子中学生と同級生の男子生徒。そして清純派に思えるクラスのマドンナ的存在の女子生徒も、二人に感化されたのか、次第にその本能的な部分が露になっていくのです。ところがある事件を経ての3年後、二人は成長したのでしょうか、その潜んでいる部分をまるで抑える術を見つけ出したように、表面的な落ち着きを取り戻していきます。これが大人になるということなのかどうか、自らの変態性に振り回された時代に別れを告げて、真っ当な道へ進んでいこうとするスタート地点に立とうとしているようなラストのシーンは、逆にちょっと寂しかったりもしました。『月光の囁き』に匹敵するような青春変態映画の誕生でした。

 

 

8 無伴奏

学生運動が盛んな1969年代終盤のムードが、スピーカーに向かって席が並ぶ独特な形の喫茶店を中心に流れる作品。その雰囲気を味わうだけでも、この手の作品はいいものです。どこか謎めいた雰囲気を持つ男二人、そして性にもあっけらかんとした女性一人の3人組と出会った主人公。学生運動に興味を持ちながらも、とことんまでやりきる覚悟のない女子高生。雰囲気にのまれるようになんとなとく付き合っている感じになっていくのですが、常に彼のそばに居る男の友人。その存在をなんとなく重く思ううちに、とんでもない悲劇に見舞われるのです。そしてそこに隠された真実を、どう受け止めていいのか…。悩める時代の悩める若者たちの生態を生々しく描いた独特の作品になっていました。池松壮亮演じる大学生の姉役で松本若菜は出演。

 

 

9 GONIN サーガ

主力を若手にバトンタッチしての続編ということで、身内を殺されたりしたジュニアたちが、それぞれ違う立場であるにも関わらず結集し、その復讐を果たそうとするわけですが、彼らと自分との年齢差の関係か、かつての5人に比べて存在感というものがいまひとつの感は否めませんでした。しかしながら、それなら作品としてダメかと言うとそういうわけでもなく、現代なりのお坊ちゃんたちの復讐を果たそうとしていたのは伝わりました。もう少し鬼気迫るものを感じられたら良かったのですが、そのあたりはこのキャストでの、そして今という時代での限界なのかもしれません。一番迫力を感じたのは男3人よりも土屋アンナでしたから。でも5人じゃなくて4人というところが、なんとかして欲しかったかな。ゲスト的に顔を見せたかつてのメンバーのほうが、シーンは少なくても印象は強かったかもしれません。披露宴会場で、新郎ともども殺されてしまいます。

 

 

10 駆込み女・駆出し男

題材としては面白いと思いましたが、全体的にいろんな意味で中途半端さが残念。シリアスとコミカルの塩梅も中途半端、盛り込んだいろいろなエピソードもほとんどが中途半端であっさりと描かれ、大事件になりそうでならない突っ込み方がまた中途半端。芸達者の俳優陣が多数出演しているし、原田眞人監督ならばもっともっと面白く満足感の高い映画にできたのではないかとは思いました。それでも全体として観れば手堅い作品になっていましたし、ボリューム感もありました。