●女性医師の映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

女性医師の映画

 

女医さん(というと男医とはいわないじゃないかと

昨今は言われてしまいそうですが…)が主人公だったり

ヒロインだったりする映画の特集。

 

1 東ベルリンから来た女

女性医師である主人公に隠された秘密を早いうちに説明的に明かすことを極力せず、状況の中で小出しに観客に想像させる手法をとることで、ミステリー的な要素も含んだドラマとして、常に緊張感を持って観ることができました。監視や同僚の目を気にしながらの秘密の行動は、アクション映画のような間一髪セーフといった大げさでギリギリの展開はなくても、十分にスリリング。主人公の表情は常にこわばっていて緊張感にあふれ、一方で医師としての仕事を誠実にこなす常に柔和な表情の同僚男性医師との対比もまた、二人の置かれている心境をあらわしているようで、作品を象徴しているようでもありました。結末は、まさに運命としかいいようのないこれしかないタイミングでの出来事を前に、医師としてというよりは、人としてどういう行動をとるべきかというところからの選択であり、その意味では主人公が正しい人間で、ほっとした瞬間でもありました。もっとも、背中を押されたという部分もあるでしょうね。いずれにせよ、そのラストによって物語としても面白いと思うことが出来ました。

 

 

2 夜明けの祈り

戦争中の兵士の愚行によって妊娠してしまった修道女たち。本来は許されないポーランド人の診療を道義的な見地から行い出産を助ける女医、否がないとはいえ恥を外に出したくない修道院の院長、望んだ出産とはいえないといえ母性が芽生える母親たち。閉鎖された世界の中で行われた隠された悲劇を、実話に基づいて描いた作品です。兵士たちの蛮行、院長の決断とそれが引き起こした悲劇という重い出来事の一方で、人助けのためにこっそりと修道院に通い出産を助け、そして子供たちを助けるために考えたすべてが丸く収まる策には、希望の光を見出すことができたラスト。時代背景もあって重苦しい空気の中で進んだこの作品ですが、一人の女医の行為と機転が、多くの人の命と心を救ったと考えると、まさにこれは拍手喝采ものでしょう。

 

 

3 ジーン・ワルツ

想像以上に重いテーマで、しかも今作はミステリー的な遊びの要素も全くなく、否応がなく真剣にスクリーンを観ざるを得ませんでした。そして当然ながら、いろいろなことを考えさせる題材でもあり、問題を提起しておいて答えは観ている人がそれぞれ考えてくださいというスタンスに、改めて答えを出すのに難しい問題であることを認識しました。ただ同時に、そう難しく考えるなとも言われているようでもあり、倫理観や道徳観から答えを導き出そうとしている現代の日本の医学界に、一石を投じるような作品になったのではないでしょうか。映画としてまとまりは悪くないと思いますが、もう少し遊びがあってもよいかもしれません。また同時多発出産についても、某妊婦コメディで映画としては先に使われてしまっているのも、印象的にはマイナス要素。あと、菅野美穂よりももっと医師役に相応しい人がいたのでは?医師としてはやや貫禄不足ですし、演技的にも出来が良かったとは言えなかったかな。

 ジーンワルツ

 

4 午後8時の訪問者

自分が時間外の往診に対応しなかったということが、一人の少女を死なせてしまったかもしれない。なんとか遺族にはそのことを知らせたい、そんな思いから、自らの進む道までも変えてしまった主人公の女医。その過程では時に脅されたり、冷たい仕打ちを受けたりしながらも、一人で自分が納得できる答えを探ろうとする苦悩が、終始彼女を支配しているのが伝わってきます。若くてきれいな女医さんでありながら、男性の影はまったくなく、ストレスに対してはタバコで紛らわすのみ。厳しく当たって辞めてしまった研修医へのフォローにも気を配る本当は優しい人柄であることも分かります。大きな収入よりも困った人々の為の助けを選んだ彼女。ここまで危ないことをしなくてもと思いながらも、ついつい応援してしまいたくなるのです。最後には身内の人が見つかって救われた思いでした。

 

 

5 ティアーズ・オブ・ザ・サン 

いかにも米国的な映画で、自分たちが正義で、その他は悪だという自意識が強く現れた作品ではあリますが、後半の戦闘シーンはなかなか緊迫感があって、想像以上にひきつけられたのもまた事実。難民達をいたぶり殺す様子は、ここまで見せなくてもいいかと思わせられましたが、これも主人公たちのつまり米軍の行為を正統化するためでしょうか。医師を演じるモニカ・ベルッチが珍しく泥まみれの汚い役を地味に演じていました。

 

 

6 抱きたいカンケイ

このころの作品ではどこか無理に大人の女性を演じようとしている印象の強かったナタリー・ポートマンですが、ようやく役に追い付いてきたという感じがしました。内容自体に品はないし、極端な設定でいかにも映画的なお話なのですが、ポートマンの演技は悪くなかったです。いかにも人の好さげなお坊ちゃまという感じのアシュトン・カッチャーとの対照も、この作品にははまっていたのではないでしょうか。

 

 

7 ホワイト・バレット

気が強く頑固でくそまじめな女医、とにかく犯人を盗り逃さないようにだけを使命にすべてを支配しようとする警部、知恵を使って状況を打開しようと画策する被弾した強盗と、三者三様の思いから、仲間たちを巻き込んで激しくふづかりあぃ。前半は病院という限られた空間の中で、嵐の前の静けさのような展開で、小競り合いや駆引きが続きますが、後半になって事態が動き出すと一気にドカンドカンバンバンと激しい展開に。かなりの力技で、本当に病院でこんなことが起きたら、こんな流れにはならないだろうとは思うのですが、それぞれが頑固一徹で自分が一番正しい、賢いと思っていますから、そのぶつかり合いはかなりのもの。こんな医師もこんな警官も正直なところ願い下げなのですが。

 

 

8 心のままに

躁鬱病患者をギアが演じていますが、今作では嫌味の無い芝居をしていて好印象。医者役のレナ・オリンの気持ちはちょっと複雑でわかりにくい部分もありましたが、概ね興味を持続して見られることができました。

心のままに 

 

9 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日

今回は自ら身を引いて幕引きという結末。女医さんの木を持たせるような言動もどうかと思いますが、今回は押せばなんとかなったのではと思わせるだけに、そういうときに限って意外と冷静だったりするのですよね、寅さん。三田寛子の存在が作品に新風を吹き込んでいる印象です。

 

 

10 嘘の心

サスペンス風の題材ながら、内容の中心は男の嫉妬と女の揺れる心。ブルーがかった映像からは常に冷えた空気というものが伝わってくるのですが、主人公二人の間には愛が存在しています。それでいてこの冷たい空気にあることで異様なムードが漂ってくるのです。観ている側をも殺人事件に集中させ目先を焦点からわざと外させる独特の手法で迷わされました。最後の告白は結局そうだったのかということで、サスペンス映画の結末ではありません。意外性も何もなく、ただ嫉妬により起こした事の告白であり、そういった意味からすると、むしろ恋愛映画といった方がいいのかもしれないです。