●長谷川博己 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

長谷川博己 出演映画 ベスト10

 

1 散歩する侵略者

黒沢清らしさとらしくなさの混在したような作品は、SFスリラーの体を取りながらも、観方によってはコメディとしても捉えられる、なんとも捉えところのない映画となりました。ストーリー展開としてはいつになくわかりやすく、人間に寄生して人間というものを学びながら、侵略に備えているという状況。3人の宇宙人と人間とのかかわりを中心に物語は進んでいきますが、途中からなにやら国が動いている様子が顕著になっていきます。そあたりから、本当は宇宙人ではなくてウイルス性の感染症なのかとも思ってくるのですが、そうするとまたつじつまが合わないことが出てきて謎が深まるばかり。女子高生がいとも簡単にマシンガンやピストルで人を殺したり、会社のお偉いさんがオフィスではしゃぎまわったりと、ブラックな笑いに通じるシーンも多く、メリハリのきいた展開もまた黒沢らしくないところだったかもしれません。結末のつけ方もまた人間にとっては皮肉なラストに。長谷川博己はジャーナリスト役。

 

 

2 半世界

田舎の町で子供時代を過ごした3(長谷川博己、稲垣吾郎、渋川清彦)が、一人の帰郷により久しぶりに3人で会すことになったものの、それぞれに抱えているものがあり、問題の解決のためにもがき苦しむ様子がリアルに描かれた作品です。自衛隊時代のある出来事がトラウマとなって次の一歩を踏み出せないでいる長谷川博己、子供のいじめの前に子供との接し方が分からず悩み、一方で仕事の製炭も厳しい状況に置かれている稲垣吾郎、そして独身で中古自動車販売を営む中で客とのトラブルに悩む渋川清彦…。また3人の時間が続くかと思った中で起こる突然の出来事。その出来事には観客側も不意を突かれたように、唖然とするしかなく、これこそが人生なんだとも無理に納得せざるを得ない結末は実に驚きでしかありませんでした。そして同時に残された妻子のこれからがどうなるのか、気がかりで仕方ありませんでした。阪本順治監督しては抑えめのトーンで、じっくり人生の岐路に立つ40直前の男たちを描く、これまでとは一味違った作品に仕上がっていました。

 

 

3 舞妓はレディ

久しぶりの周防コメディでしたが、お得意のノウハウ的な要素はここでも十分に込められていました。一般の人がなかなか触れることのない世界を丁寧に説明しながら描くというのは、学生相撲の世界でも社交ダンスの世界でも裁判所でも一緒。過去の周防組の出演者が勢ぞろいで顔を見せるサービスの良さで、まずは安心して楽しめる作品になっていました。わざとチープさを出したミュージカルシーンの賛否はあるかもしれませんし、かつてのコメディでは竹中直人が一手に引き受けていたギャグも今作は控えめで、全体的にやや大人しい感はありますが、最後はほのぼのとした気持ちになれました。長谷川博己は言語役者役。

 

 

4 この国の空

空襲警報はときどき響くこともありながら、結局焼かれることなく終戦を迎えた住宅地区。なんとか食べ物も手に入れることができる、戦時下としては静かな環境が異様で独特の雰囲気を作り出しています。その中で「一番美しい時期」を迎えた女性が、自分の周りの唯一の若い(といえでも38歳の妻子持ち)(長谷川博己)に惹かれていくのも無理のないことかもしれません。この時代の普通のお嬢様としてはずいぶん思い切った行動ともとれなくはないのですが、それだけ熱い思いが湧き上がっていたのでしょう。戦争中であっても恋は止められないということでしょう。それにしても長谷川博己演じるこの男もどうかと思うので、この二人が結ばれたことを素直に喜べないところに、この映画に対する限界はあるかもしれません。

 

 

5 地獄でなぜ悪い

今までの作品の中でも特にコメディ色の強い作品で、コントテイストのセリフや映像が多かったです。その部分では、今までの園子温をまたちょっと捻ったような面を出してきたという印象。ただそうであるとすると、どうしてもコメディ映画として評価してしまいますが、コメディ映画としてはあともうひと押しという感じはありました。一方で、俳優の新しい魅力を引出していくのは、相変わらず長けています。今作では長谷川博己です。

 

 

6 シン・ゴジラ

日本映画としてはスケール感もあるし、カメオ的出演まで含めて、登場するキャストもかなりのボリューム。力の入れようがヒシヒシと伝わってきました。ゴジラの顔がいまひとつコミカルだったりとか、大杉漣演じる総理大臣がまったく自分の意志がなく頼りなかったりとか、どこか抜けているような部分もありましたし、放射能をレーザービームのように発するゴジラの姿は、どこか機械的で生物感を感じられなかったりと、必ずしも期待どおりなことばかりではなかったですが、それでも常に緊迫感のある中で奮闘する若き政治家たちの姿は、それなりにワクワクさせられるものはありました。主人公の内閣官房副長官を長谷川博己が演じています。

 

 

7 サムライマラソン

物語としてはひっかかりもなくスムーズに流れた印象ですが、その分いまひとつ深みが足りなかったのは感じました。江戸からやってきた兵たちの迫力がやや不足、一方守る側の藩士たちも、将来を嘱望されている一番手が「遠足(とおあし)」大会にずるしてみたりと、いまひとつ頼りない。主人公以外の江戸の隠密たちもあっけなかったですし、もっと戦いにおける駆け引きや、技のぶつかりあいのようなもので、バチバチ火花のぶつかる展開があれば、もっと面白くなったのではないかと思うと惜しい気はしました。長谷川博己は安中藩主・板倉勝明訳。

 

 

8  映画 鈴木先生

思ったより妄想シーンは少なく、教師と生徒とのまともな人間ドラマになっていたのは、逆に残念な気もしますが、教師ですからね、そんな変なことも実際にはできないでしょう。なんだかんだいっても素直ないい生徒たちばかりで、その部分ではほっと安心できました。ただ屋上からのジャンプシーンは、ちょっとやり過ぎかな。鈴木先生が長谷川博己です。

 

 

9 セーラー服と機関銃-卒業-

アイドル映画としては充分な出来とみます。実際に女子高生でもある橋本環奈の女子高生感はばっちり出ていましたし、ぎこちなさ、拙さは新人アイドルらしく、それでも一生懸命さが出ていたので良かったと思います。組長といっても可愛らしすぎますし、いざという時にも人を撃てないか弱さ。でもアイドルが人を簡単に殺してしまうわけにもいかないでしょうから、やはりこれで良かったのだと思います。そもそもが奇抜な設定、あり得ない設定なので、そのあり得ない設定にリアルを求めるのではなく、とせこまであり得ない設定を楽しんでしまえるかということで、その点では貫くことができたのではないでしょうか。冒頭とラストに「か・い・か・ん」を持ってきたり、主題歌をアカペラで最後に唄わせるなど、前作を意識し過ぎと言う面はありましたが、これもファンに向けたサービスととらえれば、やはり鉄板のアイドル映画なのでした。長谷川博己もヤクザの一人。

 

 

10  二重生活

論文のために尾行を始めた大学院生が、対象者の不倫現場に出くわし、尾行にはまっていく一方で、実際の生活にも影響を及ぼしていくという、なんとも不思議な感覚の日々を描いています。本来自分とは無関係であるべきはずの他人の生活が、いつの間にか自分の生活そのものに影響を与えていき、さらに自分が尾行の対象となる(と思われる。あの影は恋人?)ことでさらに日常が壊れていくという皮肉。さらにさらに尾行を薦めた教授が尾行の対象となるブラック的な終盤まで含め、人間の満たされない闇のようなものを感じさせるような展開。長谷川博己演じるセレブ夫の開き直ったいけ好かない態度も真に迫っていました。ただもっと面白くできるような設定だっただけに、尾行がばれて以降の展開がややだれてしまったのが残念でした。尾行の対象となる男の役で長谷川博己は出演。