●戦争疎開映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

戦争疎開映画 ベスト10

 

1 あの日のオルガン

正しいことをしているのかとの葛藤を抱えながらも、保育所の子供たちを親元から話して、埼玉県の田舎で疎開保育園を始めた保母たち。逃げ出すもの、地元の男性とあらぬ噂を立てられて帰らざるを得なくなったもの、自信を無くして落ち込むもの…そんな中でも東京では戦火が激しくなり、子供たちや保母の中にも家族を失うものが現れ、それを子供に伝えるのも保母たちの辛い仕事になるわけです。終わらない戦争の中で、生活も厳しい中、未来を支える子供たちのために使命感をもって子供たちを預かる主人公の張り詰めた気持ちがひしひしと伝わってきます。一方で子供たちに好かれ愛されながらも、一方では日々先輩から怒られ続ける新米保母。仲良しの同僚を亡くしたショックを乗り越え、子供たちにみせる笑顔は、こんな時代だからこそ、癒しになったのでしょう。それぞれの立場で子供たちと向き合って、預かった命を守り切った彼女たちの姿には、心の中で拍手を送りたい気持ちになりました。

 

 

2 悪童日記

戦争という時代の中で翻弄されながらも強くなっていく兄弟、しかしその強くなっていくことが本当に良いことなのだろうか。母親や父親へのこだわりを亡くし、生きていくためにはどんなこともする。身近な人々の死に多く出くわしていく中で身に着けた生きていく術を使い、この二人は今後どうやって生きていくのだろうか。そんなことについつい思いを馳せたくなるような重苦しい作品でした。魔女と呼ばれた祖母に反発しながらも馴染んでいき、母親が来てもついていこうとしない。そしてその母親が目の前で爆死。それでも一切悲しい表情を見せず、さらには自らの命を守るために父親を平気で犠牲にしてしまうある意味の冷徹さ。戦争はどこまで人を変えてしまうものなのでしょう。

 

 

3 スカートの翼ひろげて

実際には戦争で人手不足の農家のために派遣されたわけですが、結果的には疎開のような形になった3人の若き女性たちの戦時下の青春を描いています。戦争中であっても、若い女性にとって大切なのは恋。大変な状況でも明るく前向きに日々を生きる彼女たちをノスタルジックなムードでつづった素敵な作品。邦題もいいです。

 スカートの翼ひろげて

 

4 美しい夏キリシマ

戦争映画ではありますが、疎開先の田舎ののんびりしたムードが相まって、普通の戦争映画とは違う味をかもし出しています。こんな田舎にも戦争の影は大きく落とされているのでしたが、徐々に癒されていく中で成長していく主人公がだんだん逞しく見えてきました。

美しい夏キリシマ 

 

5 紀ノ川

2代に渡る母娘の山あり谷ありの人生のポイントポイントを、戦前戦後の地方を背景描いた大河ドラマ。色んな人々を失くし、ぶつかり合いながらも生きていく辛さと強さを感じます。やがて戦争が激しくなると孫娘が疎開しにやってくるという展開があり、今回採用しました。司葉子と岩下志麻が熱演。

 紀ノ川

 

6 おもいでの夏

戦火を逃れるためにやってきた美しい島を舞台に、よくある思春期の性の目覚めを描いた作品です。この作品の命綱は瑞々しさ。海辺のバカンスという景色設定とあわせて、少年が大人になったひと夏の思い出をノスタルジックに映し出してはいますが、単純な展開にそれほど胸にしみてこなかったのが正直な感想。少年が憧れるには人妻というのがどうもしっくりこないし、悲しみから少年をベッドに誘った未亡人の心理も分かりにくいかな。

 おもいでの夏

 

7 戦場の小さな天使たち

最初は疎開を嫌がり待ちに残ったものの、戦火が激しくなり、一家そろって田舎のおじいちゃんの家へ。戦時下であっても、子供たちにとっては田舎での生活は魚釣りをしたり、クリケットをしたりと楽しいものであるというのが、なおさらその無邪気さと爆撃にさらされる町との対比により、戦争の悲惨さをクローズアップさせるようでもあります。

 

 

8 少年時代

戦中の疎開先での子供達の世界を描くもので、いじめや喧嘩などが中心の少年映画。田舎という舞台、戦中という時代、双方ともう少し生かした作りになっていたらより感情移入できる作品になったとは思います。個人的にはやや物足りなさは残りました。

 

 

9 はじまりのみち

木下監督への敬意は存分に伝わります。ただ木下作品の映像が長く、あまりに頼りすぎている印象で、この作品自体で勝負しきれなかったのが残念です。これならドキュメンタリーの体を取るべきで、少々ずるさとか安直さを感じずにはいられません。また浜松の人間からすると、登場人達の会話で使われる方言が不自然で、この地方の方言を片っ端から紹介しようと、短時間の会話に無理やりっ込んでいる感が見え見え。そのせいで、使い方自体もどこか変に感じられる部分も多々ありました。濱田岳も上手いのですが、どうもこの時代背景にそぐわないような気がして、違和感を持ったりと、全体を通して私にはしっくりこない映画になってしまいました。

 

 

10 かげろう

エマニュエル・べアールが出るフランス映画といったいかにも雰囲気な作品。戦中の田舎ということで、ノスタルジックなムードも描きつつ、ぎりぎりの中で生きていく術を見つける人々の強さと弱さを同時に感じさせます。ただベアールとウリエルが愛し合うという設定が、あまりに作り話ぽく感じてしまうのです。しかも過去は何も知らない、明かさない最後の最後まで謎のままで終わってしまい、すっきりしない感じが残ってしまいました。

かげろう