三浦 しをん
「乙女なげやり
」
太田出版
「乙女」と「投げやり」。これほど相反する言葉でありながら、一緒にした時に生ずる、このそこはかとないおかしみはどうでしょう。元々は、担当編集者が章タイトルの候補として考えたものを、しをんさんが全体のタイトルとし(て分捕っ)たとのことだけれど、このそこはかとないおかしみ、微妙な脱力感がぴったりと合うエッセイです。
今回も、何回も吹き出しながら読みました。この手のエッセイ、電車で読むのは危険すぎる…(なので、自宅で読みましたですよ)。「のだめ」の二ノ宮さんが表紙を描いていらっしゃいますが、しをんさんの愛する漫画の話、BLの話、周囲の友人、家族のお話などが語られます。
このエッセイから何となくしをんさん熱が高まって、しをんさんのブログを発見した私は、ついつい読みふけってしまいましたよ。
→ 「ビロウな話で恐縮です日記 」
最近、私が読んだ本の関連で言えば、「風の影」の話(しをんさん記事:長っ尻 )、「ねにもつタイプ」の話(しをんさん記事:危険 )が面白かったです。
特に、「ねにもつタイプ」における記憶力の話をするに及んで、中勘助とくらもちふさこを持ってくる感覚が好きだなぁ。
日常の面白い話もそのセンスが好きなんだけど、しをんさんはとにかく、この読み方の確かさに信頼がおけると思うのです。
目次
まえがき
一章 乙女寄り道
二章 乙女病みがち
三章 乙女たぎる血
四章 乙女総立ち
あとがき
■関連過去記事■
・「人生激場」「月魚 」/三浦しをんさん
・「三四郎はそれから門を出た 」/汝、愛なくして語るなかれ
・「私が語りはじめた彼は 」/愛って何だ?