今日は息抜きに、前々から行ってみたかったカフェに行った。
雪乃下
ここは日本一おいしいマカロンがあるという。
といっても来てから知ったのだけど。

気持ちの良い晴れの日。
こういうときはやはりテラス席。
新緑の木漏れ陽の中、美味しいマカロンとお茶を楽しみ、
こんな時もたまにはいいね、と妻も喜ぶ。
残念ながら五月で閉店してしまうらしい。最後に来られて良かった。
だが優雅な時間を過ごし、席を立った瞬間、事件は起きた。
「あー楽しかったねえ。また来たいね!」
妻がにこやかに言いながら、なぜかもう家の鍵を取り出し、ひょいと放り投げた
(ように少なくとも僕には見えた)。
鍵が、テラスの木の目の隙間に滑り落ちていった。
「きゃああしまったああ!」
パニックになるのはこっちだ。
手から滑り落ちたらしいのだが、なぜここで鍵を取り出したのか永遠の謎である。

この中の、絶対取れなそうなところに落ちてしまった。
そこから小一時間、テラスに這いつくばり、鍵を探し続ける。
床の木の目に長い棒を差し込み探すが、とても見つかりそうにない。
妻には店員さんに借りた懐中電灯で照らしてもらっていたのだが、
「ええい。私、磁石とか買ってくる!」
止めるのも聞かず、妻は駆けだして行ってしまった。
取り残された僕は、一人何も見えなくなった暗闇の床下を、探り続ける。
かすかに鳴った金属音を頼りに、木の棒を差し込んでいると、
突然木の枝に重みを感じる。
引き抜いてみると……

(イメージ図)
なんと木の棒が、鍵のリングを通っているではありませんか。
男三十代、一人興奮した歓喜の叫び声が、世田谷の森に響き渡った……。
そんなこんなもいい思い出となった休日。

ところで妻の用意した秘策は、こんな物だった。