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ガンになった妻がフルマラソンを走ると言い出した

30代男。甲状腺癌の手術を終えた妻が、フルマラソンを目指すことに。そんな妻の走る日々をつづります。

先日の駒沢公園がよっぽど気に入ったのか、

またも砧公園でピクニックランを慣行。

 

今度は僕も学習し、妻の昼寝時間にそなえて仕事道具を持って行った。

 

緑の風を感じながら、ブルーシートを広げて弁当を食べる。

眠る妻を横目に、まったりと仕事をする。

これもまた、ぜいたくな時間だな、と思う。

 

「私、ここに住める! 住みたい!」

 

起きた妻が突如叫ぶ。

とても気に入ったようで嬉しい。

 

そして、やっとランニングスタート。

駒沢公園はランニングコースがわかりやすいけれど、

砧公園はどちらかというと、広場がメインなイメージだ。

 

 

っすり昼寝したばかりの妻は、

 

「だめだ~寝起きでパワーが出ない~」

 

ふらふら走り、3キロも満たないところでランニング終了。

 

練習は未だ、ほとんど進んでいない……。

 

2016年夏。

妻の首にしこりを見つけた後のこと。

 

風邪ならじきに治まるだろうと思ったが、なかなか治らない。

 

 

病院に行くのを勧め続けるけど、妻はなかなか行こうとしない。

 

やっと重い腰を上げて近くの内科に行くと、

「一度詳しく診てもらってください」と大きな病院への紹介状を渡された。

 

そこで首のしこりから細胞をとり、病理に回す検査を行い、

 

数日後、その結果を聞きに行く日。

 

どちらからともなく、

一緒に行って、帰りについでに夕飯の買い物をしよう、という話になった。

 

「まあ、何もないと思うけどね!今日何食べよっかねー」

 

道中も、妻はいつもの笑顔で、明るかった。

 

病院に着く。

まだ妻の番までかかりそうだったので、僕は先にトイレに入った。

 

すると、すぐに妻からメッセージが届く。

 

「なんか、もう呼ばれちゃったから行ってくるね!」という。

 

変だなと思いつつ待合室に戻ると、先に来ていた人たちはやっぱりまだたくさんいた。

 

妻は、順番を飛ばして先に呼ばれたようだった。

 

来月には初めて5kmの大会に出る予定だが、

目標はブログタイトルどおり、フルマラソン。

しかしまだ全然練習不足で、3、4キロしか走れてない妻である。

 

これはやはり、ちゃんとした目標を設定しておかなきゃならないのでは……?

 

ということで、先の大会に思いきってエントリーしてみることに。

 

横浜マラソン

このフルマラソンの部に夫婦ペアでエントリー。

先日の横浜ランが楽しかったこともあって選んでみた。

 

倍率は去年だと3倍くらい。当たるか分からないけれど。

 

「まあ私10kmくらいでリタイアしちゃうと思うけど、いいよね!」

 

妻はひょうひょうと言っているが、早速ジムに走りに行った。

 

少しはやる気が出たのかもしれない。

 

妻のたっての希望により、

ピクニックラン?なるものをすることに。

 

駒沢公園にて、ブルーシートを広げて手作り弁当を食べる。

 

前々からやりたがっていたので、妻はとてもご機嫌だ。

僕も、近くで大学生サッカーの試合がやっていたので、観戦を楽しむ。

 

食後。

さていよいよ、と僕がランニングシューズを履こうとすると、妻は言った。

 

「やっぱりピクニックといったら、これだよね!」

 

そして、昼寝をはじめた。

 

妻の特技は昼寝である。

冗談ではなく一日に2度、3度と昼寝をする。

これは病気になる前からそうだった。

 

一緒に住んで初めて、妻の真の姿を知って愕然としたものだ。

起きているときの妻は、かりそめの姿だったとは。

 

 

起きたあと、やや面倒くさそうに妻はランニングをはじめる。

 

この公園は一周2.2kmほど。

キロ7分前後で走り、案の定一周でバテていた。

 

帰宅すると、疲れた妻はこの日二度目の真の姿を見せた。

 

今日は息抜きに、前々から行ってみたかったカフェに行った。

雪乃下

ここは日本一おいしいマカロンがあるという。

といっても来てから知ったのだけど。

 

 

気持ちの良い晴れの日。

こういうときはやはりテラス席。

 

新緑の木漏れ陽の中、美味しいマカロンとお茶を楽しみ、

こんな時もたまにはいいね、と妻も喜ぶ。

残念ながら五月で閉店してしまうらしい。最後に来られて良かった。

 

だが優雅な時間を過ごし、席を立った瞬間、事件は起きた。

 

「あー楽しかったねえ。また来たいね!」

 

妻がにこやかに言いながら、なぜかもう家の鍵を取り出し、ひょいと放り投げた

(ように少なくとも僕には見えた)。

鍵が、テラスの木の目の隙間に滑り落ちていった。

 

「きゃああしまったああ!

 

パニックになるのはこっちだ。

手から滑り落ちたらしいのだが、なぜここで鍵を取り出したのか永遠の謎である。

 

 IMG_20170429_115157979.jpg

この中の、絶対取れなそうなところに落ちてしまった。

 

そこから小一時間、テラスに這いつくばり、鍵を探し続ける。

床の木の目に長い棒を差し込み探すが、とても見つかりそうにない。

妻には店員さんに借りた懐中電灯で照らしてもらっていたのだが、

 

「ええい。私、磁石とか買ってくる!」

 

止めるのも聞かず、妻は駆けだして行ってしまった。

 

取り残された僕は、一人何も見えなくなった暗闇の床下を、探り続ける。

かすかに鳴った金属音を頼りに、木の棒を差し込んでいると、

突然木の枝に重みを感じる。

引き抜いてみると……

 

 IMG_20170429_115216563.jpg

(イメージ図)

なんと木の棒が、鍵のリングを通っているではありませんか。

 

男三十代、一人興奮した歓喜の叫び声が、世田谷の森に響き渡った……。

 

そんなこんなもいい思い出となった休日。

 

ところで妻の用意した秘策は、こんな物だった。