ガンになった妻がフルマラソンを走ると言い出した

ガンになった妻がフルマラソンを走ると言い出した

30代男。甲状腺癌の手術を終えた妻が、フルマラソンを目指すことに。そんな妻の走る日々をつづります。

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メロンランから半年が過ぎた。

 

 

その間、妻は放射線治療をはさんで少し休み、

また走りはじめていた。

 

もともと自分でフルマラソンを走ると言い出した妻だが、

なぜかことあるごとに、

 

「42キロなんて人間の走る距離じゃないよね~」

 

と言っており、その目標は潰えたかに思えていた。

 

しかし今回、我が母も参戦し、妻と三人で大会に出ることになった。

 

 

富士山マラソン

ただし、練習不足の面々のため、10kmのファンラン。

 

 

老体に鞭を打つこととなり心配された母だが、

犬の散歩で長年鍛えた足腰ゆえか、練習ではいきなり8kmを走破。

 

それを聞いた妻も「ひいい」と慌てはじめ、必死で走りはじめたのだった。

 

かくして11月末。大会の日を迎える・・・

 

 

早朝。

いきなり実家の母が寝坊して遅刻するというハプニング。

 

「いつも起こしてくるのに、犬が寝てた」と言いわけをしている。

 

アラームを犬任せにしていることがすごい。

妻に負けじと少しとぼけている母なのだ。

 

何とかスタート時間ぎりぎりに到着すると、

青空に映える美しい富士山が出迎えてくれる。

 

テンションは最高潮に上がり、10kmラン、スタート!

 

 

富士山に向かって走るファンランとあって、

序盤はみんな写真を撮ったりしながら、のんびりペースで走る。

 

そんな中、妻は一人悠々と歩いているではないか。

 

「いいのいいの。今は坂道だから」と余裕の回答である。

 

 

少し流れ始めると、妻もようやく走りはじめる。

 

当たり前だが、どれだけ走って風景が変わっても、

富士山はずっとその雄大な姿を変えない。なんという安心感。

 

沿道で町のおばあちゃんや子どもたちが応援してくれるのも、ほっと心が温まる。

 

富士山に向かうコースを終えると、今度は河口湖畔を走る。

妻も母も終始笑顔。

給食のバナナの美味しさに感動していた。

 

 

練習の成果か序盤の温存が効いたのか、

心配した体力も途切れることなく、

 

1時間24分で、無事ゴール!

 

これだけ長い間妻が走り続けたのは初めてだ。

2,3キロでひいひい言ってたのに、よく頑張ったなと思う。

 

 

 

今年のランは、ひとまず終わり。

 

「来年はどこ走ろうかね!」

 

妻は楽しそうに言いながら、家でごろごろする日々に戻っている。

 

きっと妻は妻らしく、

のんびり自分のペースで気ままに走り続けるのだろう。

 

もしかしたら、いつか本当にフルマラソンも?

 

ふと見ると「昨日体操しただけなのに筋肉痛が~」とうめいている妻。

 

きっとそれは、まだまだ遠い先のお話。

 
 
 

茨城メロンメロンランの日。

 

朝から車で開催地の水戸、千波湖へと向かう。

会場近くの駐車場は満車。

隣接した偕楽園の駐車場が結構空いていたのでそこを使う。

 

すでに会場では10kmの部が行われており、

それを見た妻の声はひときわ高くなる。

 

「ええっみんな全然歩いてない!どうしよう!」

 

歩くつもりだったのか……?

 

しかし、参加賞のTシャツを先にもらい、

それに着替えると、妻のテンションも次第に高まっていく。

 

スタート時間の15分前、列に並ぶ。

その間も黙々とストレッチに励む妻。

 

予定時刻よりなぜか少し前に号砲が鳴る。

たった5km。だけど妻にとっては長い、初めての大会が始まった。

 

 

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走り始めると、みんな早い。

子どもに、おじいちゃんに、仮装集団に、

次々と抜かされていく妻。

 

それでも妻はペースを崩さない。

 

「きれいなところだねえ!」

 

と、湖の風景を楽しみながら。

 

「あ、水戸黄門だ!」

 

と、写真もパシャリ。

 

気持ちよさそうのんびりと走っているようだった。

 

 

そしてお待ちかね、給メロン所に到着!

 

ここは立ち止まって存分にメロンを堪能する。

 

みずみずしくて甘くて、とても美味しかった。

 

そして、飲み終わった給水の紙コップを使い、

ちゃっかりメロンを片手に持ちながら、後半は走ることに。

 

すると後半戦。意外なことが起こる。

 

今まで走っていた人たちが、

ほとんどみな歩いていた。

 

相変わらずのんびりペースながら走っていく妻が、

ぐんぐんと徒歩軍団を追い抜いていく。

 

僕は、妻が人を追い抜く瞬間を見たのは初めてだったという……。

 

「今私はやい! 撮って撮って!」

とご満悦の妻である。

 

千波湖を一周すると、そのまま偕楽園を走る。

ここも花や緑が美しく、素敵なコースだった。

 

最後の方は妻も息が切れてきたものの、

無事5kmを歩くことなくゴール!

 

 


 

 

「楽しかった!また来年だー!」

 

嬉しそうにはしゃぐ妻。

マラソンの醍醐味はこの終わった後だよなあ、と思う。

 

走るのがたぶんそんなに好きでない妻も、

その魅力に少しはとりつかれたのかもしれない。

 

帰り道、助手席でぐっすり眠る妻。

 

おつかれさまでした。

 
 

 

妻が所要で実家に戻っていた。

 

僕は仕事があるので留守番。

 

といっても自宅で仕事しているので、

こんな時この狭い部屋に、妻の不在を実感する。

 

改めて見回すと、この家のほとんどのものが、

妻によって選ばれ、買われ、持ち運ばれてきたものだった。

 

自分の半分はもう妻でできているのだなあ。

 

 

写真が送られてきた。

 

 

さも「やってますよー!」というアピールのような、

実家のランニングマシンの写真だ。

 

メロンラン直前、妻も妻なりに仕上げているのだろう。

 

楽しく走れますように!

明日本番です。

 

18日に迫った茨城メロンメロンラン。

ゼッケンと簡単な案内のチラシが届いた。

 

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たった5kmだし、そんなに心配することはないか。

いやしかし、何せ妻はこれまで結局、最長でも3kmしか走れてないのだ。

 

途中歩いてしまったのを含めると、最初の練習だった皇居ランの5kmが最長。

まさかあれが自己ベストになるとは思わなかったが……。

 

「フムフム、半分くらいまで頑張ればいいんだな」

 

夫の嘆きをよそに、

妻は早速、給メロン所の場所をチェックしていた。

 

「大丈夫かな~遅く行ってメロンなくならないかなあ」

なんて心配もしている。

 

妻の初大会まで、いよいよあと10日を切った。

 

 

仕事が忙しくなり、なかなかブログ更新できず……。

 

しかしその間にも、妻は少しずつだが練習を積み重ねていた。

 

この日は江ノ島まで出かけてランニングへ。

 

わー海だー!とはしゃぐ妻。

だが、砂浜のランニングは足が思ったよりも進まず、

ひいひい言いながらの練習となった。

 

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やはり今回も3kmと走れずにリタイア。

朝とはいえ、だんだん暑くなってきたこともあり、妻はへばっている。

ちょっと疲れさせすぎてしまっただろうか。

 

しかし着替えを終えた後、突如、妻の目がきらりんと光った。

 

「おいしいお店リサーチしておいたんだよね~!」

 

妻のテンションが上がり始める。

なんと、ラン後の観光を考えて、したたかに力を温存していたのだ。

 

なかなか侮れない我が妻である……。