メロンランから半年が過ぎた。
その間、妻は放射線治療をはさんで少し休み、
また走りはじめていた。
もともと自分でフルマラソンを走ると言い出した妻だが、
なぜかことあるごとに、
「42キロなんて人間の走る距離じゃないよね~」
と言っており、その目標は潰えたかに思えていた。
しかし今回、我が母も参戦し、妻と三人で大会に出ることになった。
ただし、練習不足の面々のため、10kmのファンラン。
老体に鞭を打つこととなり心配された母だが、
犬の散歩で長年鍛えた足腰ゆえか、練習ではいきなり8kmを走破。
それを聞いた妻も「ひいい」と慌てはじめ、必死で走りはじめたのだった。
かくして11月末。大会の日を迎える・・・
早朝。
いきなり実家の母が寝坊して遅刻するというハプニング。
「いつも起こしてくるのに、犬が寝てた」と言いわけをしている。
アラームを犬任せにしていることがすごい。
妻に負けじと少しとぼけている母なのだ。
何とかスタート時間ぎりぎりに到着すると、
青空に映える美しい富士山が出迎えてくれる。
テンションは最高潮に上がり、10kmラン、スタート!
富士山に向かって走るファンランとあって、
序盤はみんな写真を撮ったりしながら、のんびりペースで走る。
そんな中、妻は一人悠々と歩いているではないか。
「いいのいいの。今は坂道だから」と余裕の回答である。
少し流れ始めると、妻もようやく走りはじめる。
当たり前だが、どれだけ走って風景が変わっても、
富士山はずっとその雄大な姿を変えない。なんという安心感。
沿道で町のおばあちゃんや子どもたちが応援してくれるのも、ほっと心が温まる。
富士山に向かうコースを終えると、今度は河口湖畔を走る。
妻も母も終始笑顔。
給食のバナナの美味しさに感動していた。
練習の成果か序盤の温存が効いたのか、
心配した体力も途切れることなく、
1時間24分で、無事ゴール!
これだけ長い間妻が走り続けたのは初めてだ。
2,3キロでひいひい言ってたのに、よく頑張ったなと思う。
今年のランは、ひとまず終わり。
「来年はどこ走ろうかね!」
妻は楽しそうに言いながら、家でごろごろする日々に戻っている。
きっと妻は妻らしく、
のんびり自分のペースで気ままに走り続けるのだろう。
もしかしたら、いつか本当にフルマラソンも?
ふと見ると「昨日体操しただけなのに筋肉痛が~」とうめいている妻。
きっとそれは、まだまだ遠い先のお話。

