法定相続分の割合はどうなっていますか?-虎に翼 6/24,6/25放送より- | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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仙台弁護士会所属。

NHK朝ドラ”虎に翼” 
戦後に入り
主人公の寅子さん
裁判官として活躍始めました。

毎日、何が起こるか楽しみですニコニコ

今週は梅子さんが再登場し
波乱の様相ピリピリ

ドラマを見ていない方のために
説明しますと...
 
 
 

梅子さんは
寅子さんの大学の同級生。
梅子さんの夫は弁護士なのですが
これがモラハラ夫なのですよショボーン

梅子さんの夫が亡くなり
夫の遺言書が出てきました。
 
遺言書の検認手続きのために
家庭裁判所に来た梅子さん。

寅子さんが裁判官として
担当することになり
2人は久々の再会となりました。
 
 

検認手続きについては
以前書いた記事があります。
読んでいただけたら嬉しいです。
私の父の遺言書を
検認したときのエピソードも
遺言書の中身を確認したところ...
 
そこには、なんと
不貞相手の女性にぜんぶあげる
という遺言が書かれていたのですびっくり

してやったりという表情の女性ニヤリ
憤懣やるかたない姑、長男ムキー
やや影のある二男。
梅子さんに寄り添う三男。
 
展開にドキドキするわーびっくり
 

 


ドラマの中で
 
  • 配偶者梅子さんの
    法定相続分が3分の1
  • 子の法定相続分が3分の2
 
というくだりがありました。
 
 
これを聞いて
 
あれ?
 
と思った方もいるのではないかと。

このドラマの設定は昭和20年代。

当時と現在とでは
法定相続分が異なるのです。
 
 


法定相続人は誰か?

 


まず、法定相続人について。
 

配偶者がいれば
配偶者は常に法定相続人です。
 

配偶者以外の法定相続人は
  • 第1順位 子
  • 第2順位 直系尊属
  • 第3順位 兄弟姉妹
 
 
 

ここでちょっと注意事項です。
 

上差し配偶者について
 
法律上の夫婦
つまり婚姻届を提出している夫婦
であることが必要です。
 
事実婚だと相続人にはなりません。
ですから、いろんな事情で
事実婚を選んでいる場合
遺言書を作るとか
何かしらの手当をすること必須!
 
 

上差し子について
 
子が親より先に亡くなっている場合
代襲相続と言いまして
孫が相続人となります。

養子も相続人です。
認知した子も相続人です。

元配偶者だった人との間の子も
相続人です。
 
最後のところ
誤解している人、たまーにいます。
 
子が小さい頃に離婚
相手の配偶者が親権者となり
子が自分の戸籍から抜けると
関係ないと思ってしまうようです。
今年に入って半年間で2人
勘違いしている方に遭遇しました。
配偶者とは離婚すれば
赤の他人ですけれど
親子関係は切れません!!
 

上差し直系尊属について
 
直系血族とは父母、祖父母など
自分より前の世代で
血のつながった親族のこと。
養親は血はつながっていませんが
直系尊属になります。

親等の異なる者の間では
その近い者から相続人になります。
つまり、父母、祖父母が存命の場合
父母が相続人となります。
 
 

上差し兄弟姉妹について
 
兄弟姉妹が被相続人より先に
死亡している場合
代襲相続で甥姪が
法定相続人となります。

 

 



法定相続分の割合は?

 

法定相続分とは
民法で定められた相続割合です。
 
遺産分割では法定相続分に縛られず
協議で自由に分け方を決めることができます。
 


配偶者がいる場合
ドラマ設定の昭和20年代
配偶者1/3 子2/3
配偶者1/2 直系尊属1/2
配偶者2/3 兄弟姉妹1/3
 

これが昭和55年の改正で
配偶者の相続分が上がりました。


配偶者1/2 子1/2
配偶者2/3 直系尊属1/3
配偶者3/4 兄弟姉妹1/4
 
 

子、直系尊属、兄弟姉妹は
同順位の人が複数いる場合
頭割りとなります。
(たとえば子が2人いれば1/4ずつ)

ただし、兄弟姉妹の場合
全血兄弟(両親を同じくする兄弟)
半血兄弟(片親を同じくする兄弟)
では相続分が異なり
半血兄弟は全血兄弟の半分です。
 
こうなると
計算ややこしくなってきますガーン
 
 
 
 

配偶者の相続分割合が
上がったということ以外で
これまでにあった
法定相続分に関する大きな改正は
非嫡出子(ひちゃくしゅつし 婚外子のこと)
の法定相続分です。
 

かつては
 
非嫡出子の法定相続分は
嫡出子の半分
 
という定めでした。

これが
2013年9月4日最高裁判決
この民法の規定は違憲と判断。
 
 
嫡出子と非嫡出子との間の
法定相続分に関する区別が
合理的理由のない
差別的取扱いに当たる
と判断したのです。
 
 
この最高裁判決を受けて
2013年12月5日、民法改正され
相続分は同じとなりました。
 
 
 

非嫡出子の法定相続分に関しては
2013年の違憲判決の前にも
最高裁の判断がありました。
 
1995年の最高裁大法廷決定は
合憲と判断。

その後も最高裁小法廷ですけど
2000年、2003年、2004年、2009年
合憲という判断をしています
(反対意見を述べる裁判官はいました)
 
その後、2013年になり
違憲判決が出たのです。


家族の在り方が多様化していること
国民の意識が変わってきていること
諸外国の状況
児童の権利に関する条約の批准
などを踏まえ
最高裁の判断が変わったのです。
 

面白いですね。
法律って生ものだなあと思う瞬間。

あと
これ、おかしいよね
と思った当事者、弁護士が
あきらめず訴え出たことで
違憲判決を得ることができたのですから
その視点の高さ、行動力、意志の強さに
心から敬意を表したいと思います。
 
 
憲法14条1項
すべて国民は、
法の下に平等であつて、
人種、信条、性別、
社会的身分又は門地により、
政治的、経済的又は
社会的関係において、
差別されない。
 
 
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