『あなたがうまれたせかい』『美によせることば』『簡素に生きることば』 | 富田林・じないまちの 本と雑貨 『緑の小道』日記

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富田林市には大阪府唯一の重要伝統的建造物群保存地区の寺内町があります。古本&雑貨屋店主の日々の雑記や愛読書紹介のブログです。2021年に母を亡くした後から苦しい日々となり、心はまだ鬱状態で動悸もありしんどいですが、毎日なんとか乗り越えてます。



これも、大人向きな絵本だと思いました。




『あなたがうまれたせかい』

ウィリアム・ホール 文
ロジャー・デュボアザン 絵
童話館出版


「女子の古本市」へ出品したので、今、店にはありません。
売れ残ったら戻ってきます。

写真だけ撮っておいて、なかなか紹介できずにいました。

ちょうどここ数日、久々に、まじめに、
人間のこと、生き物のこと、
地球のこと....を考えていたので...。
色々 調べ事もしてました。


この絵本、内容はとてもいいのですが、なんとなく、いそぎ足な感じがしてしまい、
もし、もっとページをたくさん使って、

ひとつひとつのものや生きものや現象を
じっくり ゆっくり
かみしめられるように構成されていたら、
もっと読む人の心にせまるものになっていただろうに...と思いました。

いつも本をほめてばかりだけど、今日はちょっと辛口です(笑)。

これから読む人は、意識して
ひとつひとつゆっくりと読み進められることをおすすめします。


さて、この絵本は、

あなたが生まれたこの世界は、なんでもないようだけど、
とてもすてきなものや現象であふれているのだよ...と伝えているのですが...、

果たして本当に私たちは、
すべての子供たちに胸をはって、
この世界はとてもすてきな所だと言えるのだろうか..?
言っていいのだろうか..?

...私は言えないな...などと考えていました。

そんなこともあり、紹介できなかったのです。

確かに、すてきな部分だけかき集めてみたら とてもすてきでしょう。

というより、本来、すてきなはずのことを、わざわざ汚している、壊している...、
それが人間なのでしょう。


人間どうしの世界で起きている、悲しいこと...。

人間が動物・植物に対してしている、ひどいこと...。

そして動物どうしの世界でさえ、悲しいことは起きていて....。


もしかしてこの絵本は、そんな悲しい気持ちになってしまった時こそ、
"あなたの身のまわりのすてきなものに気がついてね。それは神秘と奇跡だから。"
と教えてくれる絵本なのかもしれません

そして何より、
そのすてきさを壊すようなことは、決してしてはいけないのだと...。


私の好きな小さな本からまた、こんな言葉も思い出しました。


「この世界にはもう

うつくしいものなどはない―――

けっしてそう言ってはならない

一本の木のたたずまい

一枚の葉のおののきのうちにさえ

きみをハッとさせるものが

かならずあるはずだ。」


アルバート・シュヴァイツァー


ヘレン・エクスレイ 編
『美によせることば』より



「あなたが

この世の偉大なものとともに、

ささやかなものにも歓びを見出だすことを

わたしは願っています。

一輪の花、

ひとふしの歌

あなたのてのひらにとまる蝶にも。」


エレン・ラヴァイン


ヘレン・エクスレイ 編

『簡素に生きることば』より

(2冊とも 偕成社)