3週間の激闘も今日で終わり。恒例のシャンゼリゼの10週レースで幕を閉じた。
まず昨日(7月22日)のTDF 第20ステージから。
この日タイムトライアルのスタートとゴールに選ばれたのはマルセイユのサッカー競技場。名前は「オランジュ・ヴェロドローム」と競輪場となっているが、主に使われるのはサッカー。昨年2016年のサッカー・ヨーロッパ杯の会場に使われる際、改造工事を施し、名前も「Orange-Vélodrome 」と改称された。
女子のTDFも始まり、男子の前にスタート。
パリ北の郊外サンドニの「スタッド・ド・フランス」に次ぐ、フランス二番目に大きな競技場(67,000人収容)。サッカーチーム、オランピック・ド・マルセイユ Olympique de Marseill のホーム・グラウンド。サッカーの他にもラグビー、コンサート(セリーヌ・ディオンなど)に使われる。
バルデ選手が所属するAG2R LMの巨大なジャージを拡げ応援する観衆↑
フランス人選手がTDFで個人総合優勝を飾ったのは1986年のベルナール・イノー Bernard Hynault が最後。イノー選手はTDFで5回総合優勝を飾った3人の選手のひとり。以来主催国のフランスが優勝者を出していない。
開催国のフランスが優勝を飾れないのは、日本の柔道がオランダのヘーシンク選手に優勝を奪われ、相撲が横綱、大関など三役をモンゴルやエジプトなど外国生まれの関取に占められたのと似ている。
応援に熱をあげる観衆↑
フランス大衆はバルデ選手の優勝を夢見たのだった。本人は気にしていない様子だったが、やはり期待に応えねばという心理は働いただろう。前夜、チーム仲間と飲んだり励ましや作戦会議などで夜ぐっすり眠れなかったかもしれない。
ウオーミングアップするバルデ選手↑
ウオーミングアップに集中するフルーム選手↑
スタート後、数分と経たないうちに、レポ―ターが2分前にスタートしたウラン選手のラップタイムと比べバルデ選手が10秒遅れていると報告。この時点で、バルデの優勝は儚い夢と化した。マリア様の立つ丘の登りでダッシュしたが、これも疲労を増しただけ。その後の直線でのスパートも勢いを欠き、ゴール直前では2分後にスタートしたフルーム選手に追いつかれそうにさえなった。ウラン選手との差が6秒しかなく、抜かれないようにとの危惧が現実となり、総合2位をウラン選手に譲り、トップとは2分以上の遅れ、4位との差がたったの1秒という、ぎりぎりで、かろうじて3位入賞となった。
装備し終わってウラン選手のスタートを見守るフルーム選手↑
スタート台に立ったバルデ選手↑
スタート直前の二人の表情↑
期待され過ぎが裏目に出て、プレッシャーに負ける結果となった。インタヴューに答えバルデ選手はこう答えている。
「僕は大勢で一緒に走るレースが好きなので、タイムトライアルは苦手だ。巨大なスタジアムで大勢の人が僕の名前を叫び感激したけど、スタジアムからスタートしスタジアムにゴールする競技なんて、気乗りしなかった。
今朝目が覚めた時は体調が悪く、闘志が湧かなかった。昼寝をして少し気分がよくなったけど、勝てるとは思えなかった。頭の中でスパートしただけで身体がついてこなかった。
いちばん嬉しかったのはピレネーのフォワとアルプスのイゾワール峠で勝った時。
あの時が最高だった。イゾワールの後、体力を使い果たし疲れを感じた。TDFは日により調子がいい日と悪い日がある。イゾワールでキャッシュ(現金)を使い切ってしまった。わずか1秒差で表彰台を守れたのは運がよかった。ここまで来れたのもチーム・メイトのおかげ。支えてくれたみんなに感謝してます。」
バルデ選手の答え方が変わっていて面白い表現をするので、プロフィールを調べてみた。
ロマン・バルデ選手
1990年11月9日 オート・ロワール県生まれ。 26歳。父親は学校教諭、母親は看護師。8歳の時バイクを始めた。
アマチュアのレースで成績を残した後、2012年からプロ・レーサーとなる。チームは最初からAG2R La Mondiale。
TDF の成績は2015年からステージ優勝。2016年のTDF個人総合で2位となった。この時の優勝はC.フルーム、3位がナイロ・キンタナだった。
バルデのスタイルは登坂、パンチ型。急こう配の登りと下りに強い。
プロとなってからもレースを続けながら学校へ通い、グルノーブル・ビジネス・スクールを卒業した。なのでバルデ選手は「学生サイクリスト」と呼ばれてきた。
気持ちと頭でスパートするも身体がついていかなかったバルデ選手↑
個人総合で2位となったリゴベルト・ウラン選手は1987年1月生まれ(30歳)。
コロンビアではスター的人気がある。
所属チームは Cannondale Drapac Proffessional Cycling Team。
フルーム選手の走りは伸びがあって力強い↑
この日のタイムトライアルの注目選手の順位:
1位と2位ともにポーランド人。
1 位 マシエジ・ボドウナール Maciej Bodnar 28'15"
2 位 クウイアトコウスキー Kwiatkowski (SKY) + 01"
3 位 クリストファー・フルーム Christphar Froom + 06"
4 位 トニー・マーテイン Tonny Martin Kathusha + 14"
5 位 インペックス Impex + 20"
6 位 アルベルト・コンタドール + 21"
8 位 ウラン・リゴベルト Uran Rigoberto + 31"
15位 ランダ LANDA + 51"
コンタドールが6位に入ったのが嬉しい。
コンタドールはまだまだ走れる↑
この結果 最終日を待たず個人総合の仮順位は以下の通りとなった。
1位 クリストファー・フルーム 83時間35分16秒
2位 リゴベルト・ウラン + 54秒
3位 ロマン・バルデ +2分20秒
4位 ランダ +2分21秒
5位 アルー +3分05秒
フルーム選手とバルデ選手のデスマッチはなく、気抜けがした土曜日でした。
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