TDF 8日目 痙攣を押さえ優勝 | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

出だしから今までとは違ったレース展開となった。先行する数人の選手を追いかける選手が続出し、Pelotpn 先頭集団が形成できない状態がレース半ばまで続いた。

 

 

前へ出た選手はチームの仲間を確認しようとして後ろを振り返る。遠くにいる仲間を見つけるのに道路を斜めに移動する。

数十人の選手が道路をジグザグに走るので列は乱れっぱなしだった。

コースの半ばに至ってやっと先行の選手が8人、それを追う40人ほどの集団、ずっと後にpeloton がやっと態勢を整えた。プロトンにずっと距離を置いて遅れた10人ほどのグループがいて全体が4つに分かれて走る態勢となった。

プロトンの先頭を走るチームが全体のペースを決める。長い距離を長時間走るにはペースが極めて大事、これはマラソンと同じだと思う。

先頭チームはやはりSKY 。チームリーダーのフルーム選手のイエロージャージが白のジャージの一番後に見え隠れしている。


ゴールまで30kmほどの地点で、プロトン(先頭集団)が2番目の40人ほどの集団を吞み込んだ。

そして先行する8人の中から一人がスパートを掛け脱け出した。リリアン・カルムジャンヌ Lilian Calmejane 選手。黒に黄色の丸が入ったダイレクト・エナジー Direct Energie チーム所属。

 

 

この日のコースはゴールの3kmほど手前に9%を超える急な上り坂が20kmも続く難易度1の難関がある。ここでスパートするには登坂によほどの自信がなければならない。

先頭集団は徐々にペースを上げ、差を縮めるが、フルームもコンタドールもキンタナもアル―も登坂の強豪はだれもスパートを掛けない。

カルムジャンヌ選手を追走する選手が一人だけいた。ロバート・ゲシンク Robert Gesink 選手。二人の差は500mほど。

ゴールまで15kmのあたりでもカルムジャン選手の快走は続き、フランス選手の2人目の優勝がなりそうだ、と報道陣も興奮し始めた。

SKY チームがどこまで追い上げ、ゴール直前でフルーム選手が出てカルムジャンヌを抜き去るか? ふたりの闘いが予想された。

9%の勾配は急坂だ。そこを時速21kmで登ってゆくのはすごい。自転車を始めてみて思い知らされた。3%の勾配が100mも続くと、年寄の素人には苦役になる。息を切らし顎をだして歩速と同じくらいにえっちらおっちら登る。脚力のみならず腰と腹筋、背筋、それに脇腹の筋肉を総動員してペダルを漕ぎ続けねばならない。

スプリントの瞬発力、ゴール前100mでの数秒間のダッシュとは全然異なる。

 

登坂には、耐久力、長時間の粘り、精神力が必要とされる。

 

そんな登りが20kmも続くのだ。苦役に耐えきり、全員の追随を振り切ってゴールする選手には掛け値なしに敬意を覚える。

 

めのおがそういった人間的に敬意を覚えるのが、コンタドール、キンタナ、フルーム、アルーといった選手なのだ。

ゴールまであと4・9kmの地点、プロトンと4分あった差が1分22秒に縮まった。

と、突然カルムジャンヌ選手の動きが止まった。手で太腿を押さえている。

 

「クランプ! 脚が痙攣したようです」報道陣は不安を隠せない。

サドルから腰を浮かせ、右脚、左脚と交互に伸ばして凝り固まった筋肉をほぐしたようだ。

 

数秒間の危機を脱し、以後何もなかったように登坂を続け、ついに20kmを逃げ切ってゴールした。ゴール前で両手を挙げ、振り回し、ほんとうに嬉しそうだった。

ゴールを切った直後には路上に仰向けに倒れた。脚の痙攣と全体の疲労に立ってはいられなかったのだろう。

カルムジャンヌ選手は、これが初めてのトウール・ド・フランス出場。

表彰式では、登坂の最優秀選手に贈られる赤の水玉ジャージと、この日もっとも闘志を見せた選手に贈られる真紅のジャージを贈られた。

イエロージャージは辛うじてフルーム選手が保持した。インタヴューでは支えてくれたSKYチームの仲間のおかげ、と感謝していた。


今日9日目はヴォージュ地方の山岳地帯ナンチュア→シャンベリー Nantua→ Chambery の181・5km

 

 

恒例のアルプスを今年はジュラとヴォージュの山に替えた。

途中、3か所も特別ランクHCの難度1よりもっと急な上り坂があり、登り下りが連続する難しいコース。

ゴールは谷の底にまっしぐらに落ちた下にある。ベテランがどんな活躍を見せてくれるか楽しみだ。

 

 

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