マクロン新政府誕生 | 雷神トールのブログ

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新内閣発足

マクロン/フィリップ新政府の組閣が完了し、17日午後、大臣の顔ぶれが発表された。

大臣は首相が推薦し、大統領が任命する。

大臣18人に加え閣外大臣(政務次官 secretaires d'Etat )4人、計22人。

男女11人ずつ、半々となった。(大統領と首相を入れると男性が2人多くなるが)
男女半々にするとの大統領の事前の発言は守られたが大臣の数は予定より増えた。

民間からの登用が半数を占めた。これはマクロン氏の「前進」運動の要である「革新」を言葉どおり実現したまったく新しい政治的事件でもちろん第五共和制始まって以来。

既存政党出身者のバランスも考え、社会党から4人、急進左派から2人、中道から3人、右派から2人、という構成となった。

トピックは環境派のニコラ・ユロ Nicolas Hulot の入閣で、シラク、サルコジ、オランドと歴代大統領からの要請を拒み続けて来たのをマクロン氏が説き伏せ、テレビ番組Ushuaia のキャスターだった当時から国民の信望を集め待望の環境大臣が誕生した。10年来環境保護団体がかつての日本の成田闘争のように住みついて反対闘争を続けているノートル・ダム・デ・ランド Notre-Dame-des-Lande 新空港建設プロジェクト、さらに老朽化した原発の廃炉解体問題を巡り、閣内には意見の対立がもちろんあるので、大統領はユロ氏に調停役を期待しているとみられる。

内務大臣には社会党でマクロン氏を当初から支持していた現リヨン市長のジェラール・コロン Gerard Collomb が就任。

 

 

党派を超えて支持を得ていた前国防相のル・ドリアン Le Drian はヨーロッパ兼外務大臣となり、代わって国防相には女性でヨーロッパ議員、英語、ドイツ語、イタリア語を話すENA出身のシルヴィ・グラールSylvie Goulard 女史が就任した。

保守のLR(レピュブリカン)からマクロン支持に回ったブリュノ・ルメール Bruno Le Maire は経済・産業・財務大臣に。

大統領選の中盤にマクロン支持を表明し「前進」の躍進に貢献した中道のバイルー Francois Bayrou は法務大臣(国璽尚書 Garde des Sceaux)に。


 

民間から迎えられた大臣の顔ぶれは、非常にユニークなもので、女医のアニエス・ビュザン Agnes Buzyn が厚生大臣。

出版社 Actes Sud 社長のフランソワーズ・ニッセン Francoise Nyssen が文化相に。

労働大臣は乳製品大手 Danon の人事部長 ミュリエル・ペリコー女史。彼女は「週35時間制」の創始者、社会党書記長も務め現リール市長のマルチンヌ・オブリーの秘書も務めたことがあり労働問題に知悉している。あと1週間もすれば倒産し従業員280人が失業するPSA(プジョー・シトロエン)系列の部品製造メーカGMS との困難な交渉がはや待ち受けている。 GMS の労働組合は「工場はおれたちのものだ。もし閉鎖するならガスボンベに点火し液体酸素のタンクを爆破する」と威嚇している。新大臣がどう対応するか見守って行く価値がある。

教育・研究開発を分け、教育相にJ-M Blanquer 。高等教育・研究開発・イノヴェーション大臣に Frédérique Vidal 女史。

変わり種はスポーツ大臣で、オリンピックのフェンシング・エペに2度ゴールド・メダリストとなったローラ・フレッセル Laura Flessel 女史。彼女はギュイアンヌ出身の黒人女性。

運輸大臣には元 RATP パリの地下鉄を主に運営する公社社長エリザベス・ボルヌ Elisabeth Borne 女史。

マーレンヌ・シアッパ Marlene Schiappa女史は若干34歳で「男女平等」大臣となった。

ソフィー・クルーゼル Sophie Cluzel 女史が障碍者担当大臣に。

ムニール・マジュビ Mounir Mahjoubi は33歳の最年少でデジタル( Numerique )担当相となった。

 

18日11時からマクロン大統領を中心に第一回の閣僚会議が開かれている。